
一般のビール好きから募ったアイデアを製品化してきたサッポロビールの「HOPPIN’ GARAGE」(以下ホッピンガレージ)が、この春ブランド化。4月から定期便サービスを開始する。

2か月に1回、誰も知らない新作ビールが届く
ホッピンガレージは2018年10月、サッポロビールが開始したビールプロジェクトだ。一般のビール好きから、こんなビールがあったらないいなのアイデアを募り、審査をクリアした選ばれしアイデアが、サッポロビールのブリュワーの技術によって極小ロットで試作される。これまで500以上のアイデアが寄せられ、その中から20本が試作され、そのうち9本を商品化された。

これまで商品化された9本。フラッグシップの「ホッピンおじさんのビール」(右手前)はモザイクホップを使った多彩なアロマが感じられる爽やかな1本。
当然ながら9本はどれもユニークだ。たとえば、ボードゲームカフェのオーナーが提案したゲームしながら飲みたい、飲みながらゲームしたくなる「ボードゲームビール」はホワイトIPAというめずらしいスタイルのビール。おにぎりブロガーが発案した、おむすびとよく合う「和musubi」は原材料にあきたこまちを使用、玄米茶の香りがするビール。「佐世保スイングエール」は佐世保を旅した女性がフラリと入ったジャズバーが原風景の、ウイスキーが似合う店で飲みたいビールというひねりの効いた味わい。と、聞くからにヒトクセありそうな、好奇心そそられるネーミングが並んでいる。
そのホッピンガレージが4月から「ホッピンおじさんの新作定期便」サービスを始める。2か月に1回、フラッグシップ「ホッピンおじさんのビール」と新作のセットが届く。
定期便を予約するとはじめにスターターボックスが届けられる。「ホッピンガレージ」の専用グラス2個、ストーリーブック、2種のビールのマグネットコースターが小さなガレージボックスに詰め込まれている。
第1弾の新作は“腹黒い”らしい
それにしても、なぜ定期便なのか?
昨年からビールの定期宅配サービスが盛んだ。キリン、アサヒ、オリオンなどメジャーを始め、クラフトビールのサブスクも続々登場している。しかしホッピンガレージの場合、飲んだことのない新作が届く。知らないビールという点で、届く前からドキドキ感が高い。
ホッピンガレージを担当するサッポロビール新規事業開拓室の土代裕也さんは、「ホッピンガレージはその人の人生ストーリーをビールにしていくBREW YOUR STORYがコンセプトです。ストーリーには続きがあり、定期的に楽しんでいただくには定期便の形が合うと思います」と話す。
キーワードは人生ストーリーだ。そのビールはどんな背景から生まれてきたのか。
今、日本にはビールはあふれている。クラフトビール人気の高まりとともにビアスタイルの多様性も広がっている。そんな中、ビール好きが振り向くのは、おいしいビールだけではなく、背景が気になるビールだ。そのビールが生まれた背景を知って飲むと、同じビールが味わい深くなるから不思議というもの。
ホッピンガレージは、そんな人ひとりひとりのストーリーが醸すおいしさを最大限活かしたビールブランドといえる。味の多様性だけでなく、そのネーミングやラベルデザインも斬新で楽しい。ビールを楽しむシチュエーションを広げ、さらにその場を盛り上げてくれそうだ。
こんなビールがあったらいいなというアイデアは、ホッピンガレージ公式サイトから応募できる。サッポロビールのブリュワーに、自分のストーリーを醸造してもらうまたとないチャンスである。
「ホッピンおじさんの定期便」は4月スタート。第1弾のビールは、大阪のバー店主、森シュンロウさんのアイデアから生まれた「ナイトラリー」という黒っぽいビール。そのココロは「裏切りがあるから、人生は面白い。」だそうだが、飲んでみてのお楽しみだ。

定期便は12本セット/24セットの2サイズ。いずれもフラッグシップ「ホッピンおじさんのビール」と新作のアソート。新作のストーリーブックとマグネットステッカー付き。
HOPPIN’ GARAGE 公式サイトhttps://www.hoppin-garage.com
取材・文/佐藤恵菜