「セよりパのほうが100%レベルが高い」元DeNA監督のラミレスが断言する理由

「セよりパのほうが100%レベルが高い」元DeNA監督のラミレスが断言する理由

  • Sportiva
  • 更新日:2021/02/21

特集『セ・パの実力格差を多角的に考える』

第9回 選手・監督時代に感じたレベルの差

@アレックス・ラミレス インタビュー(前編)

◆江本孟紀がセの弱体化に物申す。「ソフトバンクのコーチ人事を学べ」

昨年までの5年間、横浜DeNAベイスターズの監督として指揮を執ったアレックス・ラミレス氏。セ・リーグで育ち、セ・リーグの指揮官を務め上げたラミレス氏は、近年話題となっている「セ・パ間格差」について、どのような見解を持っているのか。インタビューの前編で選手、監督時代に感じた力の差について聞いた。

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2017年の日本シリーズで、DeNAはソフトバンクに2勝4敗で日本一を逃した

【「パはセの5年先を行っている」発言の真意】

DeNA監督退任後、YouTubeにて「ラミちゃんねる」を始動させたラミレス氏。2月17日時点でチャンネル登録者数は16万人を突破。次々と意欲的なコンテンツを発表し続けているが、昨年11月28日に公開された「【両リーグの●●の秘密!?】ラミちゃん セ・パ徹底比較【DH制】」の中では、衝撃的な発言を残している。

――パ・リーグはセ・リーグより5年先を行っている。

ついこの間まで、現役で指揮官を務めていた人物の言葉だけに、その意味は重い。この発言の真意を尋ねてみると、ラミレス氏は大きくうなずいて持論を展開した。

「私はDeNAで5年間、監督を務めさせてもらいましたが、『パ・リーグはセ・リーグより5年先を行っている』という思いはずっと感じていました。私の見解が正しいとするならば、セ・リーグがパ・リーグに追いつくのはなかなか難しいし、かなり時間もかかると思います」

何の躊躇もなくラミレス氏は断言する。その根拠は何なのか? まずは彼が考える「パ・リーグの特徴」を聞こう。

「パ・リーグのピッチャーは全体的にボールが速い。私の感覚では、パ・リーグの先発投手の70%は150キロのスピードボールが投げられます。対するセ・リーグの先発投手陣は40%ぐらい。この差はとても大きいと考えています」

リーグ全体で先発投手陣の球速が速ければ、当然、対戦する打者にも大きな影響が生じる。

「対戦投手のスピードが速ければ、打者はそのスピードボールに対応すべく対策を講じます。具体的に言えば、スイングするタイミングを早くする必要が出てきます。始動を早めて、しっかりと自分のタイミングで投手と向き合う。こうした切磋琢磨の影響によって、パワー対パワーの対決が日々、繰り広げられ、打者の能力も大きく向上します」

ラミレス氏の目に現在のパ・リーグは、「いい投手が多いことによって、いい打者も育っている」と映っているようだ。

【パ・リーグのキャッチャーは徹底的にインコースを攻めてくる】

さらにラミレス氏はパ・リーグの特徴として、「インコースを徹底的に攻める」というキャッチャーの配球を指摘する。

「私が現役の頃から、交流戦においてもパ・リーグのキャッチャーはインコース中心の配球をしていましたし、その傾向はいまだにあるのかなと思いますね。パ・リーグのピッチャーはストレートにすごく自信を持っています。ということは当然、キャッチャーも自信を持っているので、かなりインコースのストレートを多用できます。仮にツーボールノーストライクでも、パ・リーグの場合は平気でインコースにストレートを投げてきます。逆にセ・リーグの場合は、ストレートに自信がないからなのか、外にかわすというのか、アウトコースにシンカーとかツーシームを投げることが多いですね」

現役時代、ヤクルト、巨人、DeNAに在籍していたラミレス氏は生粋のセ・リーグ育ちだ。彼は当時から「セ・リーグの投手は内角攻めが非常に甘い」と感じていたという。DeNA監督時代に出版された『CHANGE!』(KADOKAWA)には、次のような記述がある。

「元打者として言うと、内角球を打つのは実に難しい。仮に次のボールが内角に来るとわかっていても容易ではないのだ。これに加え、投手がなかなか内角攻めをしてこないとなれば、いつまで経っても内角球を打ち返す力は育ってこない」

打者にとって「内角球を打つのは実に難しい」から、パ・リーグ投手は当然のごとく、自慢の速球で打者の内角を徹底的に攻める。しかし、セ・リーグ投手陣はパ・リーグに比べてストレートの球速が劣るので、コントロールミスによる痛打を恐れてなかなか内角を攻められない。それが、ラミレス氏の見立てだった。

【「セ・リーグよりも、パ・リーグのほうが100%レベルが高い」】

新型コロナウイルスによって、昨年の交流戦は中止となった。もし、予定どおりに交流戦が行なわれていたとしたら、どんな心境で、どんな作戦で臨むつもりだったのか。この質問に対しても、ラミレス氏の言葉は意外なものだった。

「監督時代の私は、交流戦前には選手たちに必ず『交流戦は5割を目指そう』と言っていました。つまり、"勝率5割で御の字"という考えです。パ・リーグを相手に戦う交流戦は、通常のレギュラーシーズンよりもずっとタフな戦いを強いられますから」

この発言の裏には「セ・リーグよりもパ・リーグのほうが強い」という意識が見え隠れする。この点について問うと、ラミレス氏はキッパリと言った。

「セ・リーグよりも、パ・リーグのほうがレベルが高いというのは、100%間違いないですね。そもそも、毎年交流戦ではパ・リーグチームが上位を占めるし、セ・リーグのチームで勝率5割を超えるのは、せいぜい2チーム程度しかない。ならば、確実に勝率5割をキープできれば、レギュラーシーズン再開後、セ・リーグ内においてジャンプアップできるんです」

「交流戦は勝率5割で御の字だ」と考えているからこそ、先発投手のローテーションについても、対策を講じることになる。

「たとえば、週末にビジターでソフトバンク3連戦が控えているとします。相手の先発投手予想では150キロを超える速球派がズラリと並んでいる。一方で、火曜日からは横浜スタジアムで楽天3連戦が控えていて、少し実力が劣る相手投手のローテーションが予想されているとする。そう仮定した場合、『もしかしたら(楽天に)3連勝できるかもしれない』となれば、確実に勝利を得るために、日曜日に登板予定の投手をあえて火曜日に登板させるということはしばしばありました。もちろん、決して日曜日の試合をあきらめたというわけではないけど、それも作戦のひとつでした」

そこでラミレス氏は、現在のDeNAの中心投手である今永昇太の名前を挙げた。

「もちろん、この考えは交流戦に限った話ではなく、ペナントレースの場合でも同様です。例えば今永の場合、毎週金曜日に先発する機会が多かった。すると、毎週のように相手チームのエースとの対戦が続きます。いくらいいピッチングをしても最終的には9勝10敗とか、五分程度の成績で終わってしまう可能性がある。けれども、金曜登板にこだわらずに、ちょっと登板日をずらすことで、ひょっとしたら13勝6敗でシーズンを終えられるかもしれない。そんなことは常に考えていました」

ここまで聞いてきたように、ラミレス氏の根底には「100%パのほうが強い」という考えがあり、同時に「パ・リーグはセ・リーグの5年先を進んでいる」という思いがある。では、DeNA監督時代、彼はどのような対策を講じ、どのような考えで「打倒パ・リーグ」を目指していたのか? 次回は「DeNAのパ・リーグ対策」について掘り下げてみたい。

(中編につづく)

長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

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