
住居の防犯対策はどんなご家庭でも気になるものですよね。まして不審者が家の周りをうろついていたとしたら…。不審者情報が届いたとき、三世代同居のわが家は、夫不在、義父母、私、息子、娘の5人という状況。怖い思いをしましたが、各人の動きもさまざまでした。
そろそろ危険?餅にかける情熱が半端ない高齢義母への不安と対策
不審者情報に動揺する家族
その知らせは、ある日の夜更けに、突然わが家にやってきました。
隣のお宅の方から、不審な様子の男が、わが家の門扉周りをしばらくうろついているのが見えたという電話が入ったのです。
突然の不審者情報に大騒ぎになるわが家。あいにくいちばん頼りになりそうな夫は仕事で不在、家には後期高齢者の義父母と私、そして高校生の息子と中学生の娘がいました。
恐る恐る外に出てみると、すでに不審者は立ち去った後。お隣のご家族に様子を聞くと、男はわが家の周りをうろうろと歩き回り、郵便ポストをのぞき込むような仕草をしていたとのこと。
門扉周りをよく確認しても、何か壊されたり悪戯をされたような形跡はなかったのでとりあえずはホッとしたのですが、目的がわからないので不安で仕方ありません。
木刀を構え興奮気味の義父
とにかくその場で通報だけはしておこうと、管轄の警察署に電話して相談したり、お隣のご家族にお礼を言ったりと慌ただしくしていたのですが…ふと後ろを振り返ると、そこには、木刀を構えて家の周りを警戒する義父(80代半ば)の姿が…。
いや、かえって危ないので木刀を持ち出すのはやめてください、もし不審者が来たら逃げてください、振り回して怪我する未来しか見えないっていうかよくそんなすぐに木刀出てきましたね?
「いや大丈夫、これで私がやっつけるから」と興奮している義父を必死でなだめ、半ば無理やりに家に押し込めたのでした。
…ちなみにこの木刀は、義父が数十年前に温泉地に旅行したとき、お土産に買ってきたものだそうです。なんと物持ちのいい…。
フル装備でくつろぐ息子
不審者の正体がわからない不安はありつつも、深夜でもあるので、とにかく家に戻った義父母と私(娘はぐっすり寝ていました)。
居間に戻った3人を出迎えたのは、思いがけない光景でした。
そこには、アーミーグリーンのジャケットに防弾ベスト、フルフェイスのヘルメットを装備し、手には1メートルほどもあるマシンガンを手にした…高校生の息子が、格好だけは完全に臨戦体制で、居間でくつろいでいたのです。
あっけにとられる大人3人に、「あ、もう不審者どっか行ったの?」と拍子抜けした様子の息子。
息子と夫は、以前からサバイバルゲーム(専用のフィールドでエアガンを使いプラスチック弾を撃ち合う遊び)に大ハマりしているのです。
倉庫代わりになっている息子の自室には大小さまざまなエアガンをはじめ、ゴーグルやマスク、衣類に至るまであらゆる装備品が揃っています。
そのなかでも特に防御力が強そうなものを身につけ、見た目にいちばんいかつい武器(マシンガン)を手にして不審者を威圧しようとしていた息子…その心意気は立派です。ですが、
「そこまで装備するなら外に出てきなよ!!」と思わず叫んだのは私。
「いや、万が一踏み込まれたときのために家を守ってたんだよ」という息子の台詞は本心なのか、ただの臆病なのか….。
いや、もし不審者がまだうろついていたとしても、子どもを矢面に立たせるつもりはもちろんないのですが、しかし後期高齢者の義父が木刀を持って戻ってきた先に、万全の装備の兵士(風の人間)が居間でくつろいでいるのは、あまりにシュールな眺めでした。
防犯カメラ導入のきっかけに
結局、数か月たった今でも、不審者の正体はわからないままです。やはり怖いので、早々にモーションセンサーつきの監視カメラを門扉付近に取りつけることになりました。
これからのわが家の生活を思うと、高齢者だけが家にいることも多く、防犯カメラを導入するきっかけになったのはむしろ良かったのかもしれません。
一抹の不安をかき消すことができぬまま、よりいっそう防犯には気をつけていかなければな…と気を引き締めなおす日々です。
文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ
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