【ゲネプロ観劇レポ―ト】ミュージカル『ニュージーズ』▷京本大我がリーダーのカリスマ性を体現

【ゲネプロ観劇レポ―ト】ミュージカル『ニュージーズ』▷京本大我がリーダーのカリスマ性を体現

  • metropolitana
  • 更新日:2021/10/14
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京本大我(写真右)、咲妃みゆ 写真提供/東宝演劇部

躍動する肉体を駆使して新たなジャック像を創造

新たなミュージカル主演スターが誕生した。ミュージカル『ニュージーズ』の京本大我である。

元々は2020年5月に上演が予定されたがコロナ禍のため全公演中止に。約1年半の年月を経て、ついに幕が開いた。

作品はブロードウェイのヒット作。19世紀末のニューヨークを舞台に新聞少年たち(ニュージーズ)がストライキを起こした実話を元とした同名映画が原作だ。作曲は『美女と野獣』『アラジン』などで知られるディズニー・ルネッサンスの立役者アラン・メンケン。脚本は『キンキーブーツ』『ラ・カージュ・オ・フォール』のハーヴェイ・ファイアスタイン。

2012年、筆者はトニー賞受賞後の公演をブロードウェイで観ているが、主役ジャック・ケリーを演じるジェレミー・ジョーダンの野性味あふれる個性と歌声が印象的で、客席は大いに盛り上がっていた。歌はジェレミー、アクロバティックでアスレチックなダンスはアンサンブルキャストに概ね特化させる演出で、ジェレミーが踊るシーンは少なかった記憶がある。今回の小池修一郎による演出ではどうなるだろうと思っていたのだが、ダンス巧者である京本は歌のみならず数々のダンスシーンでも新聞少年たちを牽引。躍動する肉体を駆使して、ストライキのリーダー・ジャックのカリスマ性を体現する。ブロードウェイ版とは異なる、新たなるジャック・ケリー像を創り出して、大いに説得力があった。

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(中央)京本大我 写真提供/東宝演劇部

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(中央)京本大我 写真提供/東宝演劇部

さらに、京本は歌唱面でも目覚ましい進歩を見せる。ジャックを象徴するナンバー「Santa Fe」は1幕冒頭と1幕ラストに歌われるが、希望にあふれた冒頭と苦悩に苛まれるラストとまったく違う曲のように表現して、非常にドラマティックだった。

何より心に残るのは、少年たちを率いるジャックの力強さだ。京本に対してこれまで繊細なイメージを抱いていたが、良い意味で予想を裏切られた。ジャックのエネルギーは役柄にかける京本自身の強い思いが反映しているものであるかもしれない。

振り返れば京本を『エリザベート』のルドルフ役で拝見しているが、最初に登場した2015年は儚い皇太子。2016年公演を経て2019年では国民のために立ち上がろうとする皇太子の力強さが感じられた。そして今回のジャックでは堂々たるリーダーぶりを見せる。一方で、咲妃演じるキャサリンとの恋や、自分が起こしたストライキで仲間を傷つけたことに対する葛藤する場面では細やかに心情を揺らす。ミュージカル俳優として、京本の大きな成長が感じられる公演だった。

小池修一郎がエンターテインメント性豊かに演出

日本のミュージカル界を代表する演出家、小池修一郎にとって初のディズニーミュージカルであり、初のアラン・メンケン作品。エンターテインメント性豊かにテンポよく、魅力的に『ニュージーズ』の世界を造形する。大勢の新聞少年たちの渦巻くパッションを手際よく見せる技は宝塚歌劇の演出で培ったものだろう。少年たちが奮起する「Seize the Day」「Once and For All」はアラン・メンケンの名曲と桜木涼介とAKIHITOのダイナミックな振付とあいまって、高揚感に包まれる。コロナ禍のため客席降り演出が使えない今の状況だが、ステージ下部からキャストが出入りし、2階建てのセットも登場する立体的な演出が臨場感をもたらした。

咲妃みゆは新聞記者のキャサリン。ミュージカルのヒロインとして堂々とした存在感を放った。女性の立場が弱かった当時、ニュージーズに共感して行動を起こす姿にリアリティがあり、ソロナンバー「Watch What Happens」は圧巻。ジャックとのデュエット「Something to Believe In」のロマンティックさも忘れ難い。クラッチ―役の松岡広大はジャックとの友情を熱く演じ、松葉杖をつきながらも奮闘する1幕ラストが印象に残る。デイヴィ役の加藤清史郎は歌にダンスにと確かな実力を見せる。ニュージーズたちを懐深く支えるメッダ役の霧矢大夢が舞台を華やかに彩る。ニュージーズたちを抑圧する新聞社オーナー・ピュリツァー役は松平健。ピュリツァ―とジャックと対峙する場面では火花が散るほどの気迫で二人が拮抗する。

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メッダ役:霧矢大夢 写真提供/東宝演劇部

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ピュリツァー役:松平健 写真提供/東宝演劇部

『ニュージーズ』の舞台から感じるのは熱いエネルギーだ。1年半前の公演中止以降今まで、それぞれのキャストが常に心に『ニュージーズ』を持っていたのではないだろうか。物語と現実の被膜を超えて、自由に思うままに羽ばたきたいという熱い想いが劇場を包む。観客に力強いパワーを送り込むミュージカルだ。

取材・文/演劇ライター 大原 薫

▶information ブロードウェイミュージカル 『ニュージーズ』

作曲:アラン・メンケン
作詞:ジャック・フェルドマン
脚本:ハーヴェイ・ファイアスタイン
演出/日本語訳/訳詞:小池修一郎

出演:京本大我、咲妃みゆ、松岡広大、加藤清史郎、霧矢大夢、松平健 ほか

公演期間:2021年10月9日(土)〜10月30日(土)
会場:日生劇場(東京)
製作:東宝/TBS
>>>詳細は公式HP

■NEWSIES JAPAN 2021 Official Trailer

マチ★ソワ

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