数々のオリパラ問題 お台場の「トイレ臭」や「かぶる日傘」の今は?

数々のオリパラ問題 お台場の「トイレ臭」や「かぶる日傘」の今は?

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  • 更新日:2021/07/21
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橋本聖子組織委会長、小池百合子都知事は何を思う (c)朝日新聞社

いよいよ東京オリンピック・パラリンピックの幕が開く。アスリートたちのひたむきな姿が、そこにはある。だが観客はいない。こんな五輪にしたのはだれだ。私たちはどう応援すればいいのか。懸念されていた問題は、どうなった?

【テレビ各局のキャスターの顔ぶれはこちら】

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まずは、テレビ各局のキャスターの顔ぶれを見よう。NHKは当初、アイドルグループ嵐を起用し、米津玄師が作詞作曲して嵐が歌う「カイト」をテーマ曲、同じ米津作品でFoorinの歌う「パプリカ」を応援曲に使う予定だった。

「ご存じのように嵐は昨年末で活動を休止。五輪は、ラストイヤーの5人の大きな見せ場となるはずでした」と、あるテレビ関係者は語る。

結局、相葉雅紀と櫻井翔がナビゲーターを務める。「嵐の活動休止の延期や、期間限定で5人が再集結するうわさも流れましたが、かないませんでした。2人を起用したのは4人だと大野(智)くんの不在が強調され、3人だと残る1人が仲間外れのように見えるからです」(前出の関係者)

民放は昨年発表から変わりなし。昨年、公式発表がなかったテレビ朝日は2004年のアテネから9大会連続となる松岡修造がメイン。どの局も「スペシャル」やら「応援団長」やらにメダリストや芸人、タレントが多数登場する。

大会運営を巡る問題は解消されただろうか。

トライアスロンなどが行われるお台場海浜公園は、19年のテスト大会で「トイレのようなにおいがする」と選手から指摘が相次いだ。その後、アサリがすむことで水質が良くなると期待して砂の投入などの対策に取り組んだが、根本的な改善にはなっていないようだ。ただ大会組織委員会は「晴天時なら問題ない」としている。

真夏の開催で、「暑さ対策」は当初から懸念されていた。国立競技場は「風の大庇(おおびさし)」「風のテラス」と呼ばれる構造で熱気を外に逃がす。3階などには「気流創出ファン」を設置し、涼しさを運ぶという。だが無観客開催で、観客がその効果を実感するのは難しくなった。

マラソンコースの暑さ対策として、東京都は遮熱性舗装の道路工事などに計300億円の予算をかけてきたが、その後、マラソンは札幌市での開催が決まり、札幌で改修が進められた。

暑さ対策といえば、編み笠のような「かぶるタイプの日傘」を覚えているだろうか。19年、小池百合子都知事が試作品をお披露目した記憶は鮮烈だが、実際に使われるのか。一般販売の話もあったが、公式ショップの商品一覧にはなかった。ボランティアには貸与されるという。

数々のグッズが販売される公式ショップはコロナの感染拡大で、次々と閉店や休業に。7月にようやく日本橋店や銀座店などがオープンした。マスコットの「ミライトワ」と「ソメイティ」もめっきり影が薄かった。名前やネーミングの由来がすぐに頭に浮かぶ人は、まずいまい。

各地で計画されていたパブリックビューイングは中止や計画の見直しを余儀なくされた。臨海部に設けられる聖火台の観覧も自粛を迫られる。

HIVの危険性を啓蒙するためとはいえ、濃厚接触の危険性が叫ばれるさなか、選手村で約15万個のコンドームが配られる予定とわかり、物議をかもした。最終的に、大会期間中でなく帰国時に配ることになった。

今月14日、開・閉会式のエグゼクティブプロデューサーに、スポーツブランディングジャパンの日置貴之氏の就任が発表された。式典のディレクターを務める予定だった野村萬斎氏がアドバイザー、「クリエイティブチーム」の一員としてミュージシャンの小山田圭吾氏らの名も発表された。「Moving Forward」のコンセプトのもと、コロナ禍、無観客の中でどんな演出になるか注目だ。前出のテレビ関係者は言う。

「当初担当するはずだった振付師のMIKIKOさんらの辞任や渡辺直美さんの『ブタ』演出騒動など、開・閉会式のマイナスイメージを払拭したいところ。ですが発表早々に小山田さんが以前、音楽雑誌のインタビューでクラスメートや障害のある生徒をいじめていた過去を語っていたことが発掘され、炎上中です。最悪、降板かもしれず目が離せません」

五輪は、新技術や商品のアピールの場でもあった。最新鋭ロボットが大会運営をサポートする国や都のプロジェクトも、観客がいないのではどうにもならない。席に観客を案内したりするロボットを開発したトヨタ自動車は、「(無観客開催は)当社はどうすることもできませんが、ロボットは五輪に限らずこれからもニーズを探っていきたい」(広報担当者)。

当初の五輪開催時期に合わせ、都が390億円をかけて整備した「東京国際クルーズターミナル」(江東区)は、コロナの影響で2カ月遅れの昨年9月にオープン。大型客船も寄港できる「新たな首都の玄関口」との触れ込みだったが、これまでの入港回数はたった5回。海外からの船はゼロだ。大会中も入港の予定はないという。

世界が注視する祭典がいよいよ自国で始まる。スポーツライターの小林信也さんはこう話す。

「いくつもの問題が生じたのは事実ですが、今の世論は冷静さを欠く。五輪そのものの課題と、政府のコロナ対策への批判とは切り離して論じられるべき。今回は家で楽しむしかない状況ですから、テレビ局だって後ろめたさを感じずに堂々と報じていい。競技に打ち込むアスリートやスポーツ本来の醍醐味を味わう機会に五輪がなってほしい」

せめて、後に「いろいろあったなぁ」と苦笑まじりに振り返れる大会となることを願いたい。(本誌・太田サトル、池田正史)

※週刊朝日  2021年7月30日号

太田サトル,池田正史

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