コロナ禍の緊急支援に関する長野県の交付金を水増して請求し、現金1046万円余りをだまし取ったとして、須坂市の会社役員の男が逮捕されました。
男は過去に長野市や須坂市の市長選挙に立候補したことがありました。
【写真を見る】長野・須坂市長選立候補経験ある70歳男を逮捕…工事費水増し請求でコロナ支援の県の交付金1046万円余りをだまし取った疑い、容疑を否認
詐欺の疑いで逮捕されたのは、須坂市墨坂南の会社役員 永田栄一(ながた・えいいち)容疑者70歳です。
調べによりますと永田容疑者は、2020年9月、農業関連の施設整備に支給される県の交付金について虚偽の工事費用を申請し、現金1046万円余りをだまし取った疑いが持たれています。
交付金は県のコロナ禍の緊急支援事業。
事業者が輸出先の国の市場変化に応じて、施設整備を行う際に、費用の半額を支給するものです。
当時、永田容疑者は輸出するリンゴを冷凍して保存するための施設の工事費を請求していました。
実際の工事費用はおよそ1800万円でしたが、永田容疑者は3900万円と水増しして申請。
本来は実際の費用の半額にあたる900万円しか交付されないはずでしたが、永田容疑者は1950万円を会社の口座に送金させました。
この差額1046万円余りをだまし取ったとされています。
県の調査で発覚し、県が今年1月に刑事告発していました。
警察の調べに対して永田容疑者は容疑を否認しているということです。
永田容疑者はかつて、長野市と須坂市の市長選挙に立候補をしたこともありました。
永田容疑者の周囲の人は取材に対し「後継者がいないリンゴ農場を引き継いで事業を行っていた」。「事業がうまく行ってない話は聞いていた」などと話しています。
県農政部農業政策課 高橋敬三室長:
「見積書とか設計書であったりとか、すべての金額が入っている申請書が偽造されて申請されていて県では気づけなかった」
「なかなか特殊な機械で、県内でそういった事業を整備するのが他に事例がなかった」
県は過去に事例がない事業で比較ができず、申請された金額は妥当と判断したとしています。
永田容疑者は県に対しては不正を認めていますが、だまし取られた金は戻ってきていないということです。
農政部農業政策課 高橋敬三室長:
「なかなか信じられないレアなケースだと思っています。非常に悪質だと思っています。一刻も早く真相が解明されることを期待しています」
コロナ禍の支援事業について多額の不正受給が明らかになった今回の事件。
県警が詳しく調べています。