クラウドシフトはこの2-3年がピーク - アクセンチュア  西村氏

クラウドシフトはこの2-3年がピーク - アクセンチュア 西村氏

  • マイナビニュース
  • 更新日:2021/01/13
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コロナ禍でクラウドシフトは進んでいるといわれているが、実際はどうなのか。また、海外に比べ、日本のクラウド化は遅れているがその要因は何なのか。新春にあたり、アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントクラウド アンド インフラストラクチャー グループ日本統括 マネジング・ディレクター 西村雅史氏に、日本のクラウド利用の現状と、今後の展望を聞いた。

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西村雅史

アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントクラウド アンド インフラストラクチャー グループ日本統括 マネジング・ディレクター

1991年入社。金融機関のM&Aなどに従事した後、2010年以降、クロスインダストリーで全業界のテクノロジー、IT戦略のコンサルティングに携わり、18年より現職。クラウドを注力領域に日本企業のデジタル変革、統括を担う。

2020年、クラウドシフトは進んだのでしょうか?

西村氏:肌感覚としては圧倒的に加速しています。3月4月時点では大きなトレンドを感じることはありませんでしたが、6月以降は経営環境の悪化、キャッシュフローの抑制などがあり、コスト削減が近々の課題として出てきました。ただ、IT部門はPoCなどをちょこちょこやってきたものの、クラウドシフトをスケール感を持ってやってこれなかったという実情があります。しかし、コロナ禍でコスト削減への動きが加速する中、よりスケールを伴ったクラウドシフトが起きていると思います。COVID-19の影響が長引き、経営の見通しが立たない中、コスト削減だけでなく、その先を見据え、DX(デジタルトランスフォーメーション)と一緒に一気に同時並行で進めたいという意向もあり、それが加速要因の1つになっていると思います。

また、DXは中期計画の中では想定されていたと思いますが、それが前倒しになり、加速しているという面もあると思います。目的は新しい機会の創出などいろいろあり、PoCなどもやっていく中で、いかにマネタイズするかという点が大きなハードルになっています。小さく始めて、トライ&エラーをしながら大きくしていくという流れはこれまでもあったのですが、『そんな悠長なことは言っていられない。ドラスティックに大きく変えていく』という風に変わってきていると思います。
クラウドに移行する上での障害は何でしょうか?

西村氏:カスタムメイドのレガシーシステムが多いということがあると思います。そう簡単にクラウド移行できず、頓挫している例が結構あります。経営層からクラウド化を検討しろといわれているものの、アーキテクチャーが分散している、レガシーな部分がある、カスタムメイドでいろいろ作りこんでいるなどの問題があり、クラウドに移行できない、移行するには費用がかかるため投資効果が得られないということに直面すると思います。

また、日本のITの投資は年間予算を取り、基幹システムを順次更新していくというスタイルになっていますが、クラウドはそういう投資のスタイルではなく、クラウドベンダーが提供しているサービスを、自分たちのビジネスに活用していくスタイルです。クラウドを活かしていくには、投資スタイルやIT部門の人の知見とビジネスを紐づけできる人がIT部門にどれだけいるかだと思いますが、それを考えると、まだまだだと思います。
パブリッククラウドはAWSやAzureが圧倒的に強い印象ですが・・・

西村氏:2017年、2018年は、クラウドベンダーが群雄割拠している状況でしたが、2年経ってかなり集約されています。プライベートクラウドを売りにしていた日本のベンダーは太刀打ちできなくなってきています。理由としては、クラウドに行く理由は、コストが平準化され、削減されることですが、プライベートクラウドに移行しても、なかなかコストが下がらなかったという事実があると思います。

ただ、本質的な違いは、AWSやAzure、Googleさんは莫大な投資をしている点だと思います。また、インフラだけでなく、ソリューションにも投資しています。日本のベンダーは箱物のコンサルティングモデルで、目的性が大きく違っており、大きな投資によって、ソリューションの幅やスピード感に差が出きてしまっていると思います。この流れはこれからも続いていくと思います。
今後、クラウドシフトは加速していくのでしょうか?

西村氏:これまで、SaaSがクラウドを牽引してきましたが、SaaSはここ数年で頭打ちになるとみています。クラウドに移行するという市場は、2023-2024にピークを迎え、その後は落ちていくとみています。そのため、ここ2-3年のクラウドマイグレーション市場を取りいくことが、われわれの意識となっており、それがCOVID-19によって、よりスケールをもってマイグレーションするという傾向になっています。これまで、IT部門はPoCなどにトライはするものの、スケールするに至らなかったのですが、今後はよりスケールする方向に加速すると思っています。われわれはこの市場を取らないと、その次のDXも取れないと思っており、クラウド移行にDXをバンドルしてビジネスに仕立てたいと思っています。そのための余力を創出するためのオンプレのアウトソーシングがあります。
クラウド移行に成功する企業とそうでない企業の違いは何だど思いますか?

西村氏:1つは目的が明確かどうかで、必然性が御旗として掲げられるかどうかだと思います。つまり、クラウド移行が経営課題として考えられているかだと思います。クラウド移行された先で、データプラットフォームやイノベーションに資する環境にするという目的で進められるかどうかだと思います。

一方、コスト削減を目的にPoCを実施する中では、レガシーの壁にぶつかって、なかなかスケールできません。ITのコストだけでなく、運用部分のコストも含めて考えるとか、移行後の開発コストがどれだけ削減できるのかといった視点も合わせて考えていかないと、なかなか進まないと思います。
DXでは、どこから手を付けていいのかわからないという話をよく聞きます。投資効果が大きい用途をどうやって見つけていけばいいのでしょうか?

西村氏:われわれもコンサルティングを生業にしており、クラウド移行を促進するというのは、ビジネスケースをいかに売っていくかというテーマでもあります。その観点で考えると、変革というのは、ITとビジネスの2つしかありません。IT変革の場合は、ITの効率性、機能強化、業務標準化という視点になります。

ビジネス視点の場合は、業務の効率性、売上伸長になります。これはどちらかでもいいと思いますし、同時並行でやってもいいと思います。結局は、目的と創出する価値によると思います。対応は個社別になると思いますが、5年でやることを、いかに3年で成し遂げるかど思います。
DXを推進していく場合、どういう組織がリードしていくのがいいと思いますか?

西村氏:IT部門が主導すると、移行することが目的になってしまいます。クラウド移行自体も1つのメリットですが、移行した先でクラウドネイティブに行動変革していく、イノベーションにつなげていくべきなのに、移ったことで終わりになるというのは、だめなマインドセットだと思います。ビジネス価値どう生み出していくかでは、テクノロジーの目利きができて、投資額に見合う能力や強みを持てるようにしていかなければなりません。これが、クラウド移行の本質だと思います。

IT部門がリード、ビジネス部門がリード、3つ目は両方のジョイントになります。

ITから切り離したほうが、新しいガバンス、新しいメソッド、新しい原則が生まれてくる可能性があります。その会社のCIO、CFO、CDOの力関係とガバナンスもあるので、なんともいえませんが、ITを切り離す1つの方法としてジョイントというがある思います。その事例が一番多いと思います。

順序として。現在のIT技術で何ができるかではなく、ビジネス視点でまずはどうしたいかを考え、後から、それを実現するのに、どういったITが使えるかを考えたほうがいいと思います。それは、IT部門にビジネス視点でITを語れる人がそれだけいるかだと思います。ITベンダー頼みになったときにビジネス視点やビジネスマインドがあるITの人がリーダーになれば、ビジネスも推進できると思います。

丸山篤

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