「結果的に人間関係が円滑になることが多い」『ソロ活女子のススメ』著者が語る、1人時間を楽しむ“意外な心構え”

「結果的に人間関係が円滑になることが多い」『ソロ活女子のススメ』著者が語る、1人時間を楽しむ“意外な心構え”

  • 文春オンライン
  • 更新日:2022/08/06

2021年、あるドラマが話題を呼んだ。その名も『ソロ活女子のススメ』だ。2022年にはシーズン2も放送されている。

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出版社の編集部に勤める女性が、退社後にお一人様時間を満喫するドラマである。飲みに行ったり、食事を楽しんだり、時にはサバゲーや遊園地といった、“ソロ”=1人での楽しみ方が気になるものにもチャレンジする姿が、コロナ禍で1人時間を持て余す女性たちの心を掴んだ。

ドラマの原案となったのは、フリーライターの朝井麻由美さんが書いた同タイトルの書籍である。この本が上梓されたきっかけは、朝井さんがSNSで1人時間を楽しむ姿を発信していたことだった。

ソロ活の第一人者とも言える朝井さんに、ソロ活を始めたきっかけや楽しみ方を伺った。(全2回の1回目/後編を読む

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ソロバーベキューをした時の写真 朝井さん提供

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「昔はラーメン屋にも1人で入れなかった」

ーー朝井さんがソロ活をはじめたきっかけは?

朝井麻由美さん(以下、朝井) 正直、きっかけは特にないんです。「ソロ活のコラムを書いてください」って依頼があって、「あ、私のやっていることってソロ活だったんだ」と気づいたという感じです。でも、多分ソロ活をしている人って私みたいな人が多いと思います。

ーー朝井さんのような人が多いとは?

朝井 「ソロ活をしよう!」と思ってしているのではなくて、振り返ってみたら「私ソロ活しているじゃん」と気づく人がほとんどだと思うんですよね。

例えば、大好きなアイドルがいて、1人でコンサートや握手会に行く人に「充実したソロ活をしていますね」と言うと「これもソロ活なんだ!」と驚かれることがあって。他にも、「今日のお昼はラーメンが食べたい」と思ったから1人でラーメン屋さんに行くとか、友だちとの待ち合わせ時間より早く着きすぎちゃったから、近くにあったカラオケ店に入ってヒトカラしながら待つとか、大なり小なりすでにソロ活を楽しんでいる人はたくさんいると思うんです。

ーー朝井さんは昔から1人で行動するのに抵抗がなかった?

朝井 いえ、昔はラーメン屋にも1人で入れなかったですね。15年くらい前に私が大学生だった頃は、まだ女性が1人でラーメン屋に入るのは珍しいとされていて。「ラーメン食べたい、でも1人じゃ入れない、でも一緒に食べてくれる人も簡単には見つからない……」ってモヤモヤしていました。

ラーメンって、食べたい衝動がどうしても抑えられない時ってありませんか(笑)? 私は“今”食べたいのに、誰かと一緒じゃないとお店に入ることすらできないって不便さを感じていました。1人でお店に入れるようになれば簡単に解決できるのに、当時はそんな勇気もなかったんです。

ーーそこからどうやって1人で行けるようになったんでしょうか?

朝井 ある時大学の友だちと話していると、「私1人でもラーメン屋入るよ」って子がいて。当時の私にとっては、目からウロコでした。「ラーメン屋に1人で入っていいんだ!」って。

本当にちょっとした出来事なんですけど、それから私も「1人ラーメン」を楽しめるようになりましたね。結局大学生の時は、近所のラーメン屋さんに行きまくっていました(笑)。

でも、その時も「私はソロ活をしている」っていう意識はなかったです。当時はまだ“ソロ活”って言葉もなかったですしね。

ーー「1人でラーメン屋に入るのがなんとなく怖い」のはよくわかります。「この人、友だちいないのかな」と思われるんじゃないかと……。

朝井 私もそうでした。冷静に考えると、お店の中にどんな人がいて何を食べているのか1人1人観察している人なんてほとんどいないはず、とわかるんですけどね。これまでいろんな人のソロ活の話を聞いてきましたが、「あの人1人で来てる!」と言われた経験のある人はたったの2人でした。

たまたま自分の周りにそういう人がいないだけかもですが……。仮に言われたとしても、それで自分のしたいことを制限されてほしくないな、と思います。

30歳をすぎて、今でこそいい意味で周りの目が気にならなくなってきましたけど、10代から20代前半くらいまでは、「みんなと同じでなきゃ」と必死でしたね。

ーー朝井さんもそうだったのですね。

朝井 とにかく自分に自信がなかったんですよね。「これが好き」とか「これがしたい」って個性を出して、「あの子ちょっと変わってるね」って周りから距離を置かれるのが怖かった。だったら、そんなに好みじゃなくても流行の服を着たり、本当は1人でラーメン屋に入りたくても我慢した方がいいと思っていたんです。

特に中学や高校の頃は朝から晩までずっと同じクラスの子たちと過ごすから、「この輪から外れてしまうと3年間地獄だ……」と強迫めいた気持ちもあって。1人で過ごしたいときがあっても、仲間はずれになることが怖くてできなかったんです。

「学校や職場とは別に居場所を作るのがいい」

ーー今でも、当時の朝井さんと同じように悩んでいる人はいそうです。

朝井 いますね。TwitterのDMで相談を受けることも。学校や会社の雰囲気に馴染めないって悩みはよく聞きます。それでも、多少無理してでも周りに溶け込まないと、後ろ指をさされないか怖い、と。

ーーそういう方が、1人の時間を持つためにはどうしたらいいんでしょう?

朝井 別に、学校でも職場でも1人で全然いいんですよ。集団行動ってマナーでもルールでもないから。“そういう雰囲気”があるだけで、みんなと同じ行動をとらなくても誰にも迷惑はかからないんです。だから、勇気を持って集団から離れてみましょう。

……と言われても、一歩踏み出せないですよね。私もそうだったからすごくわかります。現実的なところで言うと、学校や職場とは別に居場所を作るのがいいと思います。

ーー別の居場所?

朝井 例えば、自分の趣味を語るSNSのアカウントを作るとか。最近だと、友だちとつながっているアカウントの他に、“推し”の情報収集のためのアカウントを作ることも珍しくないですよね。

他にも習い事を始めるだったり、趣味のコミュニティに入るだったり何でもいいのですが、自分の属性をとっぱらう人間関係を持つようになると、学校や職場の人間関係に囚われなくなると思うんです。

ーー他にも居場所があると、既存の人間関係に囚われなくなる?

朝井 学校や職場にしか居場所がないと、何が何でもその居場所を守らなきゃと固執してしまいがちになります。そこを失ったら、孤立してしまうから。

でも、他の居場所を持っていると、仮にメインの居場所を失っても「私にはまだあの場所があるから、まぁいいか」って思える。居場所をいくつも持つことで、1人で行動することが怖くなくなってくるんですよね。

そして、1人で過ごせるようになると、結果的に人間関係が円滑になることが多いんです。人間関係の悩みって、ほとんどが自分と人との適切な“距離感”を把握できていないために起こるものだと思うから。

ーー“距離感”とは?

朝井 自分はどのくらい人と関わるとストレスを感じるのか、というラインです。「起きている間は人と関わっていたい!」という人は、学校や職場でずっと誰かと一緒にいても楽しめるかもしれません。でも、「5時間連続で人と関わるとストレスを感じてしまう……」という人は、休憩時間やお昼の時間に1人の時間を作らないと、学校や職場がしんどくなってしまいますよね。

時間の長さだけでなく、どれくらい人に依存するか、密に関わるか、といった精神的な面での“距離感”もです。誰かと長く、濃く過ごせば過ごすほど、互いの嫌な部分を見せ合うことにもなるでしょうから。

朝井 学校や会社といった“誰かと一緒にいる時間”だけではなく、1人の時間もきちんととることで、自分の“心地よい距離感”が少しずつわかってくるんです。そうすると、自分に必要な1人時間が明確になって、集団生活の中でも意識して息抜きできるようになります。

だから、ソロ活をすればするほど人間関係が円滑になるというのは、ある意味理にかなっていると思いますね。

ーーソロ活が人間関係の悩みを軽減する可能性があると。

朝井 ただ、ソロ活はあくまで数ある手段の中の“選択肢のひとつ”なんです。「人間関係を良くするためにソロ活をしよう」とか、ソロ活自体に意味を求めるのは違うかなと。

それよりも、自分のしたいことや好きなものをシンプルに楽しめる状態を作り出すのがいいと思っています。その結果、大勢とわいわいするほうが楽しいと思うなら仲間を集めたらいいし、1人のほうが楽しめそうと思うならソロ活をしたらいい。どんな場面でもソロ活を推奨しているわけではなくて、選択肢のひとつとしてソロ活を選べるのが健全な状態だと思います。

自分の“好き”に気づく方法

ーーいざ自由な時間ができてみると、「1人だと何していいかわからない」という悩みもよく聞きます。

朝井 多分、自分のために時間を使うことに慣れていない人が多いんですよね。仕事や勉強に日々追われている人もそうだし、誰かのためにばかり時間を使ってきた人もそう。

ーー誰かのために時間を使ってきた?

朝井 よく相談であるのが、「子どもが大きくなって手がかからなくなってきて、自分の時間を持てるようになってきたのに、何をしたらいいのかわからない」と。作るご飯も家族の好きなもの、遊びに行くのも家族の好きなところ。ずっと家族優先で過ごしてきたから、自分が何が好きだったのかすらわからないと悩む方って結構多いんですよね。

ーーせっかく1人時間ができても、自分のやりたいことや好きなことがわからなくて時間を持て余してしまうと。朝井さんはどうやってやりたいことを見つけているのですか?

朝井 私は食べ歩きが好きなのですが、これに気づいたのって実は『ソロ活女子のススメ』を書いた時なんです。

ーー本を書いた時? どういうことでしょう。

朝井 興味のあることややってみたいことをリストアップしていった時に、食べ物に関することがやたら多かったんですよね。それに、食べ物に関する原稿を書いている時はめちゃくちゃ筆がのるんです。本を出すまでも1人で食べ歩きはよくしていたのに、「自分は食べ歩きが好き」ってまったく思っていなくて。本を書きながら気づいて、自分に驚きました(笑)。

自分の好きなことややりたいことがわからない人でも、ちょっとでも興味のあることや気になることをとにかくリストアップしてみると、自分も気づかなかった“好き”に気づけるかもしれません。

ーー「食べ歩きが好き」と気づいてからは、どうしていますか?

朝井 気になるお店を見つけたら、ひたすらiPhoneのメモ帳に記録しています。店の名前のほかに、最寄り駅とかの情報も記入して。そうすると、早く仕事が終わって急に時間ができた時でも、「この近くだとこのお店があるから寄ってみよう」とすぐに“ソロ活モード”になれるんです。

ーー事前に「行きたい場所・やりたいことリスト」があるとソロ活が捗りそうですね。

朝井 そうですね。ただ、ソロ活をするうえですごく大事だと思っていることがあって。“何もしない1人時間”を過ごしても、自分を責めないでほしいんです。

ソロ活は自分のやりたいことや好きなことを、心行くまで楽しむ時間です。だから「家でダラダラしたい」とか「今日は1日寝ていたい」と思うなら、それが今一番したいことのはず。その気持ちを大事にしてほしいなと思います。

ーーたしかに、せっかくの1人時間を有意義に使わなきゃ、と無意識に思っていたかもしれません……。

朝井 特に社会人あるあるだと思うのですが、「ソロ活を有効活用して何かを生み出さなきゃ」って人が結構いるんです。何か資格を取るとか、MBAを取るためにビジネススクールに通うとか。もちろん、それが好きならいいのですが。

ソロ活ってとことん自由でいいと思うんですよね。ゲームが好きだから一日中ゲームをやるとか、フルーツが好きだからいろんなフルーツパーラーを回るとか、寝るのが好きだから熟睡できる枕に出会うためにいろいろ使い比べてみるとか。

誰の目も気にせず、自分の好きをとことん追求できるのがソロ活の魅力なんです。

お寿司、フルコース、ディズニー…『ソロ活女子のススメ』著者による、“次の休みに試してほしい”おすすめソロ活8選へ続く

(仲 奈々)

仲 奈々

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