「機会」か、「脅威」か...SWOT分析を用いた経営計画の作り方

「機会」か、「脅威」か...SWOT分析を用いた経営計画の作り方

  • 幻冬舎ゴールドオンライン
  • 更新日:2021/11/25
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企業を取り巻く環境はそのときどきで大きく変わってきます。時流をよくみる習慣を身につけ、自社の状況を冷静に判断する必要があります。自社とってチャンスなのか、脅威なのか…。どのように経営計画に反映したらいいのでしょうか。※本連載は、宮内健次氏の著書『経営計画100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋、再編集したものです。

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チャンスか脅威か「外部環境」を知る

■SWOT分析

経営計画では、自社を取り巻く「外部環境」と、自社の「内部環境」を分析します。

その手法には、SWOT分析があります。これはアメリカ合衆国のスタンフォード大学で考案され、経営戦略のツールとして利用されている方法です。

SWOT分析の名前は、strengths(強み)、weaknesses(弱み)、opportunities(機会)、threats(脅威)の頭文字からきています。外部環境を「機会」と「脅威」から、内部環境を「強み」と「弱み」から分析します。

■外部環境について(「機会」か「脅威」か)

まず外部環境とは、企業の外部にあって企業の意向だけでは左右できないような環境のことで、政治環境、経済環境、社会環境、技術環境、市場環境、労働環境、資金環境などがあります。これらについて、ポジティブな「機会」なのかネガティブな「脅威」なのかを分析していきます。

「機会」とは、自社にとってチャンスとなるような外部環境です。たとえば建設業の企業にとって、政治環境面で住宅ローンの減税などにより住宅税制が充実した場合、チャンスとなります。

一方「脅威」とは、自社にとって問題となるような外部環境です。同じく建設業を例に取ると、社会環境での人口減少の傾向は、住宅着工の総数の減少につながるため問題だといえます。

外部のさまざまな環境は、そのときそのときで猫の目のように変わっていきますので、時流をよく見る習慣を身につけ、自社の現状を冷静に判断し、「機会」を逃さぬよう「脅威」を退けられるよう分析することが重要です。

ワンポイント
企業の意向だけでは左右できない外部環境が企業の経営に干渉してくる。
具体的行動
外部環境が「機会」になるのか、「脅威」になるのかを分析し、経営に反映させる。

自社の強みと弱み「内部環境」を知る

■内部環境について(「強み」か「弱み」か)

次に内部環境とは、自社の財務力、人材力、商品力、サービス力、営業姿勢などのことです。これらについては、「強み」と「弱み」に分類していきます。「強み」に挙げられるのは、他社より優れている点です。たとえば商品について、「独自の工法が開発されており、他社より低コストで製造できる」といったことがあれば、商品力の「強み」になります。逆に「弱み」となるのは、他社より劣っている点です。「人材教育が行われておらず、社員の退職率がきわめて高い」などは、人材力の「弱み」です。

内部環境の中で、特に重要なのが財務力です。財務力に問題があれば、設備投資や資金繰りに影響が出てきます。仮に他の面がよくても企業の活動に問題が生じるので、財務力をしっかり把握する必要があります。この財務力の状況は、経営計画の経営目標や利益目標に大きく影響してきます。

■財務力を3つの視点から分析する

①収益性から見た財務力

収益性とは、会社がどれだけ利益を上げているかを見るもので、2つの視点があります。1つ目は、売上高に対してどれだけ利益を上げているかを見る売上高利益率です。2つ目は、会社の全資本(資産)でどれだけの利益を上げたかを見る総資本利益率です。

②効率性から見た財務力

効率性とは、「会社の資本をどれだけうまく運用できたか」を見るものです。指標としては、「会社の全資本を使い資本の何倍の売上高を上げたか」を見る総資本回転率があります。

③安全性から見た財務力

安全性とは、「会社を維持する体力がどのくらいあるか」を見るものです。この指標としては、流動比率と固定比率があります。流動比率は、「1年以内に支払われなければならない負債(流動負債)に対し、1年以内に現金化できる資産(流動資産)がどれだけあるか」を見るものです。また、長期的視点から「純資産で固定資産をどのくらい賄っているか」を見る固定比率(純資産に対する固定資産の割合)があります。

ワンポイント
内部環境の分析により、自社の強みと弱みを認識できる。
具体的行動
内部環境として、財務、人材、商品力等についての強み、弱みをきちんと分析しよう。

経営には「定量的な目標」と「定性的な目標」が必要

■単なる願望ではない到着点

「経営目標」は、経営ビジョンの実現のための具体的な目標です。会社の将来のあるべき姿(夢)は、単なる願望だけでは実現しません。具体的な経営目標を掲げる必要があります。

経営目標としては、定量的な(数値で判断できる)目標と定性的な(数値・数量では表せない)目標があります。以下、いくつか例を挙げていきます。自社の経営形態に適した目標を設定してください。

■定量的な目標

①売上高

売上高は、非常にわかりやすい計数であるため、よく目標として使われます。しかしこの目標だけだと、売上は上がっても利益が出ないという場合が想定されます。このため、売上高を目標の数字とする場合は、利益目標の設定も望まれます。

②営業利益

会社の第1の目的は利益を上げることです。特に、営業活動で得た営業利益は、わかりやすい目標となります。

③総資本営業利益率(営業利益÷総資本)

総資本営業利益率は、会社の全資本に対してどのくらいの割合の営業利益を上げたかを判断するもので、会社の収益性を総合的に見られる点で優れています。業界の指標や過去の指標などを参考にして、目標とする率を決定しましょう。

④売上高営業利益率(営業利益÷売上高)

売上高営業利益率は、売上高に対してどれだけ営業利益を上げたかを示すもので、利益率の高さを見られる点で指標として優れています。これも総資本営業利益率同様、業界の指標や過去の指標などを参考にして率を決定していきます。

ワンポイント
3年後をメドに、実現しうる利益の計数を掲げる。
具体的行動
経営目標は、定量的な目標と定性的な目標がある。

「定性的な目標」の設置…4つのポイント

■定性的な目標

①自社固有の技術開発中小企業は、取引先企業の下請けになっている場合が多くあります。下請けの場合、親企業から決められた単価や、度重なるコストダウン要請などのせいで、なかなか思うような利益が上がらないのではないでしょうか。こうしたことに対応するために、自社固有の技術開発が求められます。「脱下請」をめざすのであれば、独自の専門的な技術開発が目標となります。

②新分野への進出既存市場が成熟してしまっている場合は、新たな事業分野に活路を見出すことも、選択肢の1つです。培ってきた技術を応用するなどして、新分野進出を目標にしましょう。

③社内の仕組みの再構築コンピュータの導入などにより業務を迅速化・合理化し、新しい仕組みを作ることも、目標になり得ます。ただし、機械類の導入は相当の初期費用が必要となるため、費用対効果をよく検証してください。

④サービスの向上業種にもよりますが、接客業などであれば、サービスの向上も重要な要素となります。従業員の訓練や方法の転換などでサービスを向上させられれば、顧客からの信頼も増すでしょう。

ワンポイント
数字では表せない会社の価値を上げていく。
具体的行動
独自の技術やサービス、社内の合理化など、企業を伸ばす要素は数字だけではない。

宮内 健次

中小企業診断士 社会保険労務士

宮内 健次

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