アニメ映画「金の国 水の国」の渡邉こと乃監督にインタビュー、原作愛の強い監督は人気作品をどうアニメ化したか?

アニメ映画「金の国 水の国」の渡邉こと乃監督にインタビュー、原作愛の強い監督は人気作品をどうアニメ化したか?

  • GIGAZINE
  • 更新日:2023/01/25
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宝島社の「このマンガがすごい!」2017年オンナ編第1位を獲得した岩本ナオさんの漫画を原作とした映画「金の国 水の国」が2023年1月27日に公開されます。本作を手がけた渡邉こと乃監督は、岩本さん作品のファンだったということで、原作好きの監督はいかにして映画制作に取り組んだのか、そして原作からのアレンジ部分はどのように膨らませていったのか、細かい話をうかがってきました。
映画『金の国 水の国』オフィシャル | 2023年1月27日(金)公開
https://wwws.warnerbros.co.jp/kinnokuni-mizunokuni-movie/
映画『金の国 水の国』スペシャルガイド 2023年1月27日(金)公開 - YouTube

一部、作品内容に踏み込んだ話も出てくるので、一切の情報をシャットアウトして映画に臨みたいという人は、鑑賞後に読んでください。
GIGAZINE(以下、G):
作品に携わった経緯のところからうかがえればと思います。2022年12月にまんたんウェブに掲載された監督のインタビューで「原作が好きな気持ちは誰よりありましたし、原作を愛するクリエイターが集まった現場だったので大丈夫だろうという気持ちになり、制作を始めることができました」という話を読みました。原作連載時期は2014年から2016年、アニメ化発表は2022年で「おっ、やるのか!」と発表時に思ったのですが、監督はどのタイミングで本作を手がけることが決まったのでしょうか。
渡邉こと乃監督(以下、渡邉):
原作は2017年に『このマンガがすごい!2017』オンナ編 第1位になったときに読んでいたんですが、そのときはアニメ化の話とかはまったく知らず、ただの趣味として読んでいました。実際、アニメの企画がマッドハウスに来たのはもうちょっと後だったんじゃないかなと。企画の営業さんに聞いたら「数年前のことだった」そうです。それで、会社が監督を誰にしようかと考えて、私を選んでいただいたという形になります。なんだかんだと、4、5年ぐらいになりますね。
G:
監督が「この原作、好きです!」と手を挙げたわけではなかったんですね。
渡邉:
私は結構目ざとくて、プロデューサーの席に「金の国 水の国」が置いてあったので「このマンガどうしたんですか?」って聞いたんです。そのときはまだ話が進んでいないからふわっとした答えだったんですけれど、「このマンガ、すごい好きなんですよね」と、アニメを作るなら演出とかで入れたらうれしいな、ぐらいの気持ちでアピールをしました。まさか監督をやれるとは思っていなかったですね。
G:
アピールが功を奏しましたね(笑)
渡邉:
本当に、アピールしてみるものだなと思いました(笑)
G:
原作は「このマンガがすごい!」の受賞をきっかけに「こういう作品があるのか」と手に取ったのでしょうか?
渡邉:
岩本ナオ先生の「町でうわさの天狗の子」はもともと読んでいたんですが、どちらかといえばコミックス派だったので、ちょうど「金の国 水の国」は賞を取ったタイミングで書店に並ぶようになったので、そこで買って読んだという感じです。
G:
原作はコミックス1冊、全8話と短いお話で、読むとすごい勢いで話が展開していきます。アニメ映画化にあたっては「1冊だからちょうどいいボリュームのような、でもだからこそ足し引きが難しいのかな……?」といろいろ考えたのですが、監督としては、映像化することへの意気などはいかがでしたか?
金の国 水の国 (フラワーコミックスアルファスペシャル) | 岩本 ナオ |本 | 通販 | Amazon

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渡邉:
伏線が結構ありますし、キャラクター数も多いし、映画になると色がついて世界観がどんどん広がっていってボリューム感が出ちゃうということもあって、客観的には120分では収まらず、普通にやればプラス30分くらいはかかっちゃうんじゃないかなと思いました。
G:
2時間オーバー。
渡邉:
特に、異国のスペクタクルであり、割と対話的なドラマでもあるので、時間はかかりそうだなと。ただ、アニメ映画であれば120分に収めるのが鉄則というのがありますので……まとめるにあたって、尺の問題が大変でした。
G:
最終的に120分に収まっていますが、これは120分に向けて細かく削っていったのか、ばさっと短めにしたところから盛っていったのか、どのように調整していったのでしょうか?
渡邉:
原作そのままだと絶対にオーバーするというのは確信めいたものがありましたので、スーパーバイザーとして入ってくださった増原光幸さんとも相談していきました。この作品は伏線が多く、漫画であれば繰り返し読むことで「そういうことだったのか」と理解できるんですけれど、アニメは一方に時間が進む中で理解できなければいけないんです。
G:
確かに。
渡邉:
どこを主軸にするか、原作が表現したい物語の根幹的な部分とかをブレさせないようにしつつもわかりやすくすることに気をつけていきました。
G:
根幹については公式Q&Aでも質問が出ていた部分なのですが、今回、監督が作品の根幹として絶対に動かさないと最初に決めた部分はどこでしたか?

渡邉:
自分が読んだときに「すごく特殊な作品だ」という感触があって。大きな出来事がある作品というよりも、いろんなことを積み重ねた末にある最後の多幸感、集結したところでの多幸感が特徴的で、その多幸感が長続きするという、本当に類を見ない作品だなと思ったので、映像化したときにも、その多幸感が同じように得られるようにしなければいけないというのが自分としてはありました。そして、ストーリーの根幹になるのは、ナランバヤルとサーラ、2人の思いですよね。もちろん、恋愛的な思いもそうですけれど、平凡な2人が、自分たちの平穏な日々や大事な人たちを守りたいがゆえに偽りの夫婦を演じている、戦争を起こしたくないからそうしているというのがあるので、「ちょっと派手なシーンが欲しいから、戦争を起こしちゃおう」とか、そういうことは絶対にしないということですね。

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G:
原作を読んだ人は、ここはどう映像化しているんだろうかといろいろな部分が気になることだと思います。今回、試写で拝見したとき「もともと話が詰まっているから、それをかなり忠実にアニメ化したんだな」と思っていたのですが、直後に原作を読み直して「いじりようがないかと思ったのにそういうアレンジが加わっていた!」と思う部分があって驚きました。
渡邉:
ありがとうございます。
G:
作品冒頭、2つの国の争いのきっかけを描く絵物語部分も足されていたのは、ストーリー本編部分じゃないからと油断していました。
渡邉:
(笑) 導入を異国感のある感じで表現するにあたって何がいいかなと考えて、アレンジのデザイン元については私の方で考えて、ああいう風に表現した方がより「金の国 水の国」の世界に入っていけるかなということで作らせてもらいました。原作の感想を読んでいると、意外と勘違いされているポイントとして「もともとA国(金の国)とB国(水の国)が1組のカップルを作ろうと考えていて、それが意図せずサーラとナランバヤルの組み合わせになった」というのがあったんです。「2組のカップルを作ろうとしていたけれど、なんだかんだで、そのうちの1組としてサーラとナランバヤルが偽りの夫婦を演じることになった」ということなんですが、ちょっと複雑なので、絵として表現することで伝わるんじゃないかなと思って、膨らませてもらったという感じです。
G:
ああー!確かに確かに。それでシルエットでもサーラとナランバヤルだとわかるようにはっきり見せたということなんですね。
渡邉:
そうです。そういう構成にさせてもらいました。
G:
伝わりやすさという点で共通するのかもしれませんが、今回、原作では「A国」「B国」だったものが「アルハミト」と「バイカリ」になりました。これは、早い段階で名前を付けることが決まったのでしょうか。
渡邉:
シナリオの段階ではまだ「A国」「B国」でいけるかなと思っていたんですが、進めていくうちに、これはお客さんが見ていてずっとアルファベットのAとBを頭に浮かべることになりそうだったので、それならAとBが頭文字になっているような国の名前にしようということで、岩本先生に決めてもらいました。
G:
原作者の岩本ナオさんは、打ち合わせに結構協力的に参加されていたという話を見ましたが、国名を決めたほかに、なにか「ここはこうして欲しい」といった要望はありましたか?
渡邉:
1カ所、最後の方で「自分の中で後悔している部分があるので、このセリフは削ってください」というのがありましたが、本作に関しては「お任せします」ということで、むしろ、その国の名前をつけていただいたり、原作を描いたときに使った資料などを丸ごと貸していただいたりと、もろもろ協力していただきました。
G:
原作は連載時の扉絵やコミックスの表紙・裏表紙を除くと基本的には白黒の漫画なので、色をどうしていくかという点で、参考資料が決して多い作品ではないと思うので、どうやってアルハミトらしさ、バイカリらしさを出したのだろうかと思ったのですが、その点は岩本さんの資料が役立ったという感じでしょうか。
渡邉:
そうですね。キャラクターの服装についてはオスマン帝国時代の服を参考にされていたということなので、原作で着ている服と、実際にその服を作るにあたって参考にされたであろう写真を見つつ、アニメ用にキャラクターデザインを作ったりしました。あと、アルハミトについては「オスマントルコを参考にしているので、トルコの建物をモチーフにしています」といった話を聞いて、資料をお借りしたので、共通する部分を持たせつつアニメ映えするように、アニメ用の美術を起こしていったりしました。「金の国 水の国」読者の方だと、漫画を読んだときの感触やイメージが、そのままリアルに映像化されたように感じていただけるんじゃないかと思います。
「金の国」アルハミト

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「水の国」バイカリ

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G:
なるほど、そういう作り方だったんですね。まさに「金の国」であるアルハミトの金色具合とかどうなるのだろうかと思っていたので「こうなったかー!」と。
渡邉:
美術さんにも協力していただいて、「金の国」だというふうに見るように、金の屋根がたくさんというような結構大変なことをしてもらって、撮影さんにもビカビカに光らせてもらったりとかして(笑) ナランバヤルが「金の国だ」と表現したからこそ、その後にもつながっていくし、タイトル回収のセリフでもあるので、こだわって作りました。
G:
監督はマッドハウス公式サイトに掲載されている「ちはやふる 絵コンテ指南書」に登場されていて。
渡邉:
お恥ずかしい。
G:
ちはやふる」の後に「BTOOOM!」を手がけられたことについて、作品傾向が違うので直接的に生きる経験はなかったけれど、絵コンテについては反省を生かしたという話でした。本作の場合、絵コンテでの苦労などはありましたか?
渡邉:
本作では、今まで自分が携わった作品の監督たちに演出やスーパーバイザーで入ってもらったり、協力していただきました。作品の方向性や着地地点についてはもちろん監督の自分の方で決めているんですけれど、そこさえ決まれば、コンテはそういった方々にお願いすることができたので、絵作りではすごく充実したものができたんじゃないかなというのはあります。テレビアニメ的な絵作りと映画的な絵作りには多少違うところがあって、同じアニメ作品ではあるんですが、今回はそこに気をつけるようにしました。
G:
ふむふむ。
渡邉:
どう表現すればいいか難しいのですが、お客さんが見るときの視点の位置の違いとかもあるので、映画館で見たときにレイアウトの収まりがよく見えるようにするとか、そういったところはちょっと意識しています。特に作品の序盤はそうですね。話がノってくると、入り込んでいくのでそこまで気にしなくても大丈夫だったりするのですが、初めのうちは特に映画的なレイアウトを取るようにした感じです。引きの絵などでは、特に映画的にバーンと広がるような迫力あるものにしたりとかですね。
G:
エンドロールを見ながら頑張ってメモしたんですが、絵コンテが監督のほかにスーパーバイザーでもある増原光幸さん、そして浅香守生さん、川尻善昭さん、清水健一さん、岡野慎吾さんの6名。演出が監督と増原さん、浅香さん、香月邦夫さんの4名と。もう、すごい名前がばばばっと並んでいろいろ納得だったんですが、これは、監督から声をかけるものなのですか?それとも、会社の方で「このメンバーで行きましょう」となるものなのですか?
渡邉:
作品によって違うとは思うんですが、今回の場合、自分はまだ子どもが小さいということもあって、監督のオファーがあったときに「物理的にちょっと難しいかもしれませんよ」ということを伝えたんです。保育園へのお迎えとかもあるから、朝イン、夕方アウトという普通の人間の生活、アニメ業界だとちょっと普通じゃない生活になっちゃいます、フォローしていただかないと監督は難しいかもしれません、と。
G:
なるほど。
渡邉:
それで、会社にだいぶ協力してもらったというか、プロデューサーに配慮してもらったんだと思います。コロナのこともあって、制作上というかスケジュール上、わりと危機的な状況もあったりしたのですが、今まで一緒に仕事をしてきた大監督たちにフォローしてもらえたのはすごくよかったと思います。
G:
ああー、コロナの影響も受けつつだから……。
渡邉:
発注自体はコロナ以前なんですけれど、現場がスタートするころにコロナ禍が始まって保育園も小学校も休みになっていたので大変でした。ただコロナがあったことで、みんな「どうにかしなきゃ」と。会社としてどうにかしていかないと乗り越えられないぞという危機感があったと思います。なので、スタッフとしては精神的な結束力は高まったんですが、コロナは先が見えなかったのでスケジュールが読み辛くて。
G:
なるほど。完成すれば「すごいのができたぞ、どうだ!」ですけれど、その過程が。
渡邉:
終わり良ければすべてよしではあるけれど、やっぱり大変だったね、という感じです(笑)
G:
本作のように原作ありの作品と、原作なしの作品で、コンテ作業の苦労は大きく変化するものですか?
渡邉:
作品としては全然違うんじゃないかなと思います。自分はあまりオリジナル作品を手がけていないのであれですが……原作のある作品、特に岩本先生の場合、カメラ位置がアクロバティックだったりするところも特徴なので、アニメとしてもそれは同じ構図で見せたいなとか、「この絵はこのまま映像で見せたい」とかがあって、そこに向かってどう映像を組み立てていくかという考え方をする部分があります。オリジナルだと、監督がシナリオや根幹の部分を持っているので、作品のベースを全部作らないと成立しないパターンが多いんじゃないかと思います。
G:
確かに監督は原作ありの作品を多く担当しておられますが、これは、ご自身が漫画好きで業界に入った影響もあるのでしょうか?
渡邉:
マッドハウスという会社自体が、原作を大事にしてアニメ化する会社だなと思うところはありますね。だからこそ、原作ありの作品にかかわることが多いのかもしれません。私は浅香さんの作品やいしづかあつこさんの作品に関わることが多いんですが、浅香さんは唯一無二の演出力によって少女漫画作品を手がけることが多くて。私はマンガがすごく好きで、浅香さんの作品もすごくすきなので、タイミングが合えば演出として入ることができるので、幸運だなと思います。
G:
漫画好きが高じて業界を目指したという話を見かけましたが、その時点で、原作ありの作品をうまく手がけているからマッドハウスに行きたいということだったのですか?
渡邉:
漫画好きではあったんですけれど、実は、アニメの業界に入るということはまったく思っていなくて。
G:
あっ、そうなんですか。
渡邉:
エンタメ業界でなにかというのは考えていたんですけれど。大学時代、ちょうど自主制作アニメみたいなものがちょっとはやった時期があって、自分もメディア系のデザイン科にいたからアニメを作っていたら、ポートフォリオの半分ぐらいが自分で作ったアニメの資料になっちゃって(笑)
G:
(笑)
渡邉:
描きすぎて腱鞘炎になってしまったので、アニメの企画の方面の仕事がいいのかなと思って、バンダイビジュアルさんとかゲーム会社さんとか受けたんですけれど、ポートフォリオを見せると「あなたはアニメの制作側に行った方がいいですよ」と。だいたいは最終面接まで行くんですけれど、そこで社長とか偉い人に言われるので「このポジションの人が言うんだから、きっとそうなんだ」と思って。そのタイミングで就職できる会社を調べたら、サンライズとマッドハウスだったんです。
G:
おっ。
渡邉:
サンライズは試験で、運転の習熟度のテストがあったんです。運転技術を試しますと。でも私はペーパードライバーだったので(笑)
G:
ああー(笑)
渡邉:
それで、アニメ業界ではマッドハウスしか受けていない、という。
G:
なんというか、もう最初から縁がガッチリつながっていたような感じすらしますね。
渡邉:
偶然が偶然を呼んだというか、そんな感じです。
G:
作品の公式Twitterで絵コンテが部分的に公開されていて、ちょうど監督が担当されているアバンの絵がありました。監督は制作進行出身とうかがっていたのですが、絵が先ほどの絵コンテ指南書の話に出てきた、「漫画みたいにきれいな絵コンテ」だったので、かつて自分でアニメを制作していたという話にはなるほどと思いました。

渡邉:
いえいえ、マッドハウスの中では「絵が下手なヤツ」の部類です。いつも「もっとちゃんとやれ」と言われます。
G:
え!?
渡邉:
うちの会社は絵コンテに対して求めるレベルが高いので、自分はダメだといわれていて、もっと精進しようと毎回思っています。
G:
いやいやいやいや……。
渡邉:
ちなみに、マッドハウスには制作進行から演出・監督を目指すルートがあるんですが、私は就活時に間違えて動画部用の履歴書を出してしまって。人事の人に「制作で演出志望ですよね?」と確認があって「そうです」と答えたら制作進行職の方に回してもらえて。危うく、動画からインするところでした。それはそれでアリだったかもしれないですけれど、そこまで絵がうまいわけではないので、動画からやっていたら監督にはなれてなかったかもしれないです。
G:
本作、キャストではナランバヤル役で賀来賢人さん、サーラ役で浜辺美波さんがW主演されていて、そこにレオポルディーネ役で戸田恵子さん、ラスタバン三世役で銀河万丈さんら、重厚なキャストが脇を固めています。エンドロールでその並びを見て「ううむ、すごい」と思っていたら、ルクマンとオドンチメグもクレジットされていて。ともに麦穂あんなさんが演じられているのですが、こういったキャスティングはどのように決まったのですか?
渡邉:
まずアニメ映画には、俳優さんを含めたいろんな人が出る作品と、声優さんにすべてお願いする作品があると思うんですけれど、本作については日テレさんからどちらかというと俳優さんも含めたキャストで考える作品ではないかという話がありました。これについては、ナランバヤルとサーラは他のキャラクターに比べて社会的地位が低いなど、より身近で庶民的なキャラクターなので少し分けたいと私も思っていて、あと岩本ナオさんの作品は、声優さんでがっちり固めてしまうよりも、俳優さんや舞台の役者さんも含めて考えた方が面白くなるのではないかと思ったので、「それなら」と、私のほうから賀来さん、浜辺さんを含めた第一希望を出したら、そのオファーを受けてもらったというところです。
G:
監督の第一希望が通ったんですか、すごい。
渡邉:
はい。他のキャストさんに関しては、音響監督の清水さんやプロデューサー陣と相談していきました。作品自体がけっこう重厚な作りですし、「俳優さんを当てるのであれば、声優さん以外にも舞台経験のある人、舞台中心に活躍している人もいれて構成することもできるよ」ということで、本当に豪華にできるという話だったので、ならば、と。自分はオタクなところがあるので、銀河万丈さんの名前を見て「やったー!」と喜んだり(笑)
G:
(笑)
渡邉:
もちろん、監督なので表には出していませんけれど、心の中ではずっとニヤニヤしています。犬のルクマンと猫のオドンチメグについては、人間的な演技を見せるところがある一方で「人が声を当てている」という感じにもしたくないのでどうしようかと思っていたら、音響監督の清水さんから「唯一無二の人がいますよ」と挙げてもらったのが麦穂さんでした。もう、完璧でした。他の皆さんも完璧なんですけれど、麦穂さんは、リアルな犬猫でありつつもちゃんと演技をしているという。本当にすごい巡り合わせで……ただただ、ありがとうございますという感じです。
G:
これは本当に驚きました。動物の声をサンプリングしているんだろうなと思うぐらいに自然だったので……。
G:
最後に、基本的に見せ方をうまくアレンジしつつも原作に忠実な描かれ方の本作の中で、終盤の「橋」のシーンは大アレンジになっていて「そう来たか!」と、試写を見たときも思わず「ほ~~」と息が漏れました。監督の中では、映画化の話を受けたときからああいうアレンジを想定していたのですか?それとも、作っていく中でぱっとアイデアが浮かんできたものなのですか?
渡邉:
後半に派手なシーンが欲しいというリクエストがあったのもあって、スーパーバイザーの増原さんから「だったらこうするのはどうだろう」と案を出していただき、それがよかったので使うことになりました。原作よりもスペクタクル感が出せるからというのもあるいんですが、見ている人にわかりやすくするため、ナランバヤルのモノローグを追加しているんですね。「橋」自体も、原作だと「これは進むのが難しい」と思わせるものでしたが、アニメでは「これなら、むしろ選びたい選択肢」というものになっていて、ナランバヤルの選択が引き立つものになっていると思います。そういう面もあって、より強調する形で映像表現したものとなります。
G:
なるほど。あれは「金の国なら、それぐらいのことはやれるだろう」という納得感があって、アレンジそのものも巧みだなと思いました。
渡邉:
ありがとうございます。ちょうどいいカラクリ的な感じが出せてよかったです。
G:
本日はいろいろお話いただき、ありがとうございました。
映画「金の国 水の国」は2023年1月27日(金)から公開です。
映画『金の国 水の国』本予告 2023年1月27日(金)公開 - YouTube

©岩本ナオ/小学館 ©2023「金の国 水の国」製作委員会

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