
冬の絶景を眺めながら入るはずの露天風呂は、空っぽ。
体の芯まで温まるはずの熱い温泉も、ぬるま湯に。
全国の名湯で相次ぐ異変を緊急取材した。
美しい雪化粧をまとった山あいの秘湯は、秋田・湯沢市にある鷹の湯温泉。
創業140年近い老舗旅館が今、廃業を考えるほど厳しい状況に追い込まれていた。
そのわけは、温泉の異変。
大浴場は白い湯気が立っていて、温泉は一見熱そうに見えるが、水温計で測ると、お湯の温度は30度。
本来42度のはずの温泉の温度が、30度まで低下していた。
鷹の湯温泉・小山田光博社長「体温より低いので、お客さんに入ってもらうのは厳しい」
さらに、お湯の量も日ごとに減少。
雪見風呂が自慢の露天風呂は、空っぽになってしまった。
異変の原因はわかっておらず、旅館は、すでに1カ月近くも休業を続けている。
鷹の湯温泉・小山田光博社長「原因が一番知りたい。自分の代で、この温泉を失くすわけにいかない」
以前、番組が取材した青森・弘前市の嶽温泉でも、源泉の温度が急激に低下。
ほとんどの温泉施設が、休業状態に。
そして1月、ついに創業350年の老舗・山のホテルが、破産申請の準備を始める事態に追い込まれた。
こうした温泉地の異変は、秋田や青森だけではなく、北海道のニセコや長野の千曲市など全国で相次いでいる。
取材班は、日本一の“おんせん県”をうたう、大分の別府市に向かった。
訪れたのは、明治時代から続く共同浴場、竹瓦温泉。
この温泉の異変は、60年ほど前から始まったという。
市の調査では、1960年代には59度あった源泉の温度が次第に下がり、今では50.5度にまで低下。
なぜ、源泉の温度が下がり続けているのだろうか。
専門家の環境省 温泉地保護利用推進室・北橋義明室長は、「(別府市では)近年も非常に新たな源泉が掘削されたり、利用量が増えている。泉を取り過ぎや、使い過ぎで湯量が低下したり、温度が下がることもある」と指摘する。
大分県は、新たな温泉の掘削を認めない特別保護地域を追加するなどの対策を講じている。
秋田テレビ