
5月5日に震度6強の揺れを観測した石川県珠洲市。被害を受けているのにボランティアが入れない建物があります。それが「赤紙」の貼られた住宅。市によるとこの赤紙は「危険度を示す目安」で、家に入れないわけではないといいます。この家に住む住民の思いを取材しました。
今回の地震で被害に遭った建物に貼られたのが、建物の危険度を応急的に判定した用紙です。
赤色は「危険」。外観の調査で何らかの処置・対策がないまま建物に入るのは危険である事を意味します。
黄色は「要注意」。直ちに危険ではありませんが注意が必要であることを意味します。そして緑は「調査済み」問題がないことを意味します。
珠洲市内では2717軒の住宅に判定用紙が貼られました。
珠洲市正院町に住む濱塚喜久男さん。濱塚さんの家の判定は「赤」。建物の内部に入るのは危険を意味しますが…。
濱塚さん:
「寝泊りは2回か3回ある。怖いですよね。やっぱり住み慣れた所で見守りたいというのもあるし、私にすれば貴重品もある」
今は公営住宅に避難しているものの、一時この家で寝泊まりしていたそうです。危険と判定された家に入ることに問題はないのでしょうか。
<珠洲市担当者>
「二次的な被害を防止する目安のため、用紙に拘束力はなく赤紙が張られた家でも住む事は可能です」
あくまで自己責任だといいます。この日も濱塚さんは赤い紙が貼られた家に…。
「あと3日後に母親の命日、来月の始めに父親ですね、命日」
家の片付け作業が終わりません。その理由は…。
「ボランティア来てくれる連絡はまだない。来てもらう頃には終わるんじゃないかな。赤紙の家は上がったらダメみたい」
ボランティアが入れないのです。
珠洲市社会福祉協議会 塩井豊事務局長:
「ボランティアの安全を考慮して基本的には(赤紙の家へは)訪問はしていない。倒壊の恐れのある所には入れないということです」
自己責任で、一人黙々と片付けを続ける濱塚さん。濱塚さんは片づけにめどがつけば、この家を補強し再び住む予定です。
濱塚さん:
「生まれた家を見守りたいのもあるしね。雨漏りしとってもわが家が一番です」
珠洲市のボランティアセンターでは、赤い紙が貼られた家には安全面を考慮して派遣していませんが、NPOは対応しているといいます。
ピースボートの川村さんは「住むのは危険だと客観的に思う住宅に住まざるをえない人がいる。こうした人をサポート出来る状況が出来ればいいと思います」と話しています。
これについて馳知事は次のように話しています。
馳知事:
「専門性のある方でないと、いわゆる素人の方にどうぞとこれはできません。まず珠洲市で対応していただき、とてもとても専門性のある人が手が足りないという時には我々県の方で対応する」
ちなみに珠洲市はブルーシートをかけるにしても、業者が足りていないことがすでに明らかになっています。地震直後に現地入りした馳知事、先回りした対応が求められます。