オリジナルTシャツ製作に打ち込んだ大学時代 転機は成人式「家業は自分にしか」

オリジナルTシャツ製作に打ち込んだ大学時代 転機は成人式「家業は自分にしか」

  • 京都新聞
  • 更新日:2022/08/06
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盆菓子を盛り付ける森口さん(普段はマスクや帽子を着用しています)=舞鶴市浜・東月堂

風味が残るよう丁寧に炊いた小豆を冷やし、ふわふわの手作りマシュマロとあえる。来夏の販売を目指す新作和菓子の開発。老舗和菓子店の4代目・森口一人さん(37)=京都府舞鶴市=は砂糖の配合などで甘さを微調整し、10回以上試作を重ねた。「老若男女で味の好みは違い、菓子作りに正解はない。だからこそ、こだわった一品への『おいしい』がうれしい」。

東舞鶴で1921年から続く老舗「東月堂」の4代目。子どもの頃から和菓子は身近だったが、アメリカンカジュアルが好きで、神戸での大学時代はオリジナルのTシャツ製作に打ち込んだ。ファッション業界に憧れる一方、家業への思いもあり、進路に悩んだ。

転機は成人式。社会の先輩に激励を受ける中、「将来を見つめ、家業は自分にしかできないと思い立った」。大学と同時に職業訓練校に通い製菓を勉強し、近畿圏の和菓子店数百軒を巡ってご当地の味にも触れた。京都市の和菓子店でも約5年間修行を積み、27歳で実家に戻った。

父で3代目の等史さん(68)と毎朝調理場に立ち、春の桜餅や夏のわらび餅など四季折々の和菓子を作り続ける。「春夏秋冬の味に触れることで、その年の桜や紅葉の風景を思い出してくれたら粋だと思う」とほほえむ。

四季の喜びを伝える伝統を引き継ぐ一方、新たな取り組みにも挑戦。初代から続く名物・かしわ餅に爽やかなササの葉を巻き、暑い夏にも食べやすい笹餅として提供する。「『おいしい和菓子を作る』という思いを受け継ぎながら、時代に合わせた変化も続けたい」。若い客層も少なくないといい、もなかの包装紙を若者が手に取りやすいデザインに変え、インスタグラムでの商品紹介にも力を入れる。

結婚や進学、就職祝いの和菓子も作る。「人生の一部に寄り添える仕事と実感する。家業を継いでよかった」。実家に戻って10年。一緒に働く家族や従業員に支えられてきたと振り返り、「毎日気軽に食べられる“3時のおやつ”のように、まちの人に喜んでもらえる和菓子を作り続けたい」と意欲を語る。

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