「もう少し早く来てくれたら...」『北斗の拳』“いつも間に合わないケンシロウ”にやきもきしたシーン3選

「もう少し早く来てくれたら...」『北斗の拳』“いつも間に合わないケンシロウ”にやきもきしたシーン3選

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  • 更新日:2023/05/26
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少年漫画などで活躍するヒーローや救世主は、誰かがピンチのときにギリギリで駆けつけて助けてくれるのが、大体のお約束だ。しかし『北斗の拳』(原作・武論尊氏、作画・原哲夫氏)の主人公・ケンシロウは、ひと味違う。彼もまた”救世主”と呼ばれるものの、ギリギリ手遅れのところで駆けつけることが多く、いつも寸でのところで間に合わない。今回はそんな間に合わないシーンの数々から、印象的だったものを3つ紹介する。

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■せめて乗り物があれば…

まずは、読者に人気の通称“ミスミのじいさん”回に登場するシーン。旅の途中、ケンシロウは暴徒に追われる老人を助ける。老人は、食糧をめぐる争いがこれ以上起きないようにと、村に植える種モミを持ち帰る途中だった。

老人を無事に村まで送り届けたものの、村を去るケンシロウと行き違いに、ジープで村に向かう暴徒たちの姿が……。急いで村に引き返すも、相手は車、こちらは徒歩。いくら走ったところで間に合うはずもなく、やっと村に到着したときにはすでに大量虐殺のさなかだった。そして例の老人は、ケンシロウの目の前で胸を貫かれる。「じいさん‼」と叫ぶケンシロウに、老人は“どうかこの種モミを実らせてほしい”と言い残して息絶えた。

このようにケンシロウは基本徒歩で旅をしているので、ジープやバイクを駆る暴徒には遅れをとりやすい。たまにバットが運転するジープに乗っていることもあるが、肝心なときほど徒歩だというのが、読者としてはやきもきするポイントの一つだろう。

■いろいろ間に合わなかったバットの村

続いて、バットの村に立ち寄ったときのこと。ケンシロウ一行が村に着いた夜、一人の少年が、世話になっている老婆のために隣村まで水を盗みに行く。事情を聞いたケンシロウは急いであとを追うが、そのころ少年は水の番人に見つかり、バイクで追い回されていた。

子どもが怖がりながら必死で逃げる姿は忍びなく、“早く助けに行って!”と多くの読者が思っただろうが、少年がボウガンで胸を射られても、ケンシロウはまだ現れない。そしてとどめを刺される直前にやっと登場し、「てめぇにそんな資格はねぇ!」と番人の頭をチョップでかち割った。少年はとどめこそ刺されずに済んだが、結局そのまま死んでしまう。

その後、ケンシロウが去った直後に村は暴徒に襲われる。銃声を聞いて走って戻るも、案の定間に合わず、老婆はすでに胸を刺されたあとで、おまけに暴徒には逃げられる……と、何から何まで間に合わないこと尽くしのエピソードだった。

のちにケンシロウは、いつになくじっくり丁寧なやり方で暴徒に制裁を加えた。すべてが後手に回って一番やきもきしていたのは、実は彼自身だったのかもしれない。

■もしかして間に合ってた? 止まらないやきもき…

最後に、アミバのエピソードで登場した家族のシーンを取り上げたい。義兄・トキの悪い噂を聞き、真相を確かめに行ったケンシロウ。ちょうどそのころ、トキになりすましたアミバのもとに、病に冒された子どもが運び込まれていた。秘孔を突かれた子どもは、痙攣したあとガクっと力をなくす。アミバは両親に“あと三時間で目を覚ます”と告げると、治療の見返りに実験台として死ぬよう父親に要求した。

妻子を残して死ねないと必死に抵抗する父親だったが、強引に押さえつけられ、首にズブズブと指を差し込まれて悲鳴を上げる。ここでアミバが何か気配に気づいて衝立に刀を突き刺したところ、そこには敵を盾にしたケンシロウが立っていた。この満を持しての登場に、父親の生死にやきもきしていた読者はホッと一息ついたことだろう。しかしケンシロウがいきなり「なぜ子どもを殺した‼」と言ったものだから、子どもの死を知った父親は仇を討とうとアミバに襲いかかり、結局返り討ちに遭って殺された。

それにしても、アミバが子どもを殺したと知っているのなら、もしかしてそのときすでにケンシロウは衝立の裏にいたのだろうか……また父親が襲いかかったとき、アミバとケンシロウは立ち話をしていた。もしかしたら助けに入ることができたのでは……など、“実は間に合っていたのではないか?”という疑惑が残る。

ケンシロウはケンシロウで、トキが本物かどうか確信できずにやきもきしていただろうし、みんながいろんなことに気を揉んだシーンではないだろうか。

『北斗の拳』は今年で連載開始40周年を迎えるが、その人気はまだまだ健在だ。

老人も子どもも家族を思う父親もみんな等しく、間に合わないときは間に合わない。そんな厳しい現実を描いているところも、本作ならではの魅力だろう。

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霜月はつか

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