雑誌「DIME」最新号で特集しているAI検索を積極的に活用し、自身のYouTubeチャンネルで活用法について発信しているのが、リモートワーク研究所の池田朋弘さんだ。特集の構成を詰める際にアドバイスとして伺った話の中から、メール作成や議事録作成といった業務にChatGPTを活用するポイントを紹介しよう。

〝マークダウン記法〟で入力することが欲しい回答をChatGPTに生成させるポイントのひとつ
ChatGPTに〝欲しい回答〟を生成してもらうためには、こちらの意図をできるだけ正確に伝える必要がある。そのひとつの方法として池田さんが挙げたのは〝マークダウン記法〟だ。
「マークダウン記法とは、シャープ(#)を入れて文章の構造をわかりやすくする書き方(ルール)のひとつです。WikipediaのWebサイトを構成する方式としても使われています。例えば、シャープ(#)の数により〝見出しのレベル〟を定義できるようになっていて、1つ(#)だと「大見出し」、2つ(##)だと「中見出し」、3つ(###)だと「小見出し」というふうに明確にできるわけです。ChatGPTは〝見出しのレベル〟を勝手に読み取ってくれる可能性もありますが、世の中に広がっている〝マークダウン記法〟を用いたほうが認識しやすいということで活用している人が多いです」(池田さん)
ChatGPTを提供しているOpenAI社がペンシルべニア大学と提携して2023年3月に発表した「世の中の8割くらいの仕事に生成AIが影響する」という内容の論文は、分析のソースとして、2000種類の職種に関する仕事のデータベースをまとめた「O-NET OnLine(オーネットオンライン)」の情報を活用しているという。
「O-NET OnLine(オーネットオンライン)のデータベースでOpenAIの大規模言語モデル『GPT-4』についてまとめた記述が、まさにマークダウン記法でまとめられているんです。このような文章で使われていることもあり、マークダウン記法をプロンプト(=入力文)に用いることは間違いのない選択でしょう」(池田さん)

O-NET OnLine(オーネットオンライン)のデータベースには、生成AIが仕事に与える影響について、OpenAIの大規模言語モデル『GPT-4』で判定されたスクリプトが掲載されている。よく見ると#(シャープ)を使ったマークダウン記法で記載されているのがわかるだろう。ちなみにハイフン(-)は、マークダウン記法において、文章の箇条書きで文頭に使われることの多いナカグロ(・)と同じ意味を持つという。
また、マークダウン記法で入力するにしても「そもそも何の指示を出しているのか」を明確にする必要があるという。
「例えば、必要事項を入力した箇条書きから滑らかな文章の日報をChatGPTに生成させる場合、文章の最初に『日報を作って』と入れたほうがいいでしょう。また、そのとおりに生成してくれないこともありますが、アウトプットの形式を指定するのもポイント。いかに間違いなく指示を伝えられるのかが、プロンプトとしては重要なのです」(池田さん)

例えば上記のように「#~」でどんな要素を考えたいのかを明確にして、それを補足するように「##~」では箇条書きで状況を入れる。
メールの文章を生成するのにもChatGPTは使える!制約条件で体裁や内容を指示するのがコツ
マークダウン記法を活用することで、メールの文章を生成するのも、グッとラクになるという。
「例えば『セミナーに出て頂いた人たちに対して、アポを取るための連絡をしたい』ということを、以下のように「#~」の大見出しで明確にしたうえで「##~」の制約条件では「!」や「?」は使わないといった文章の体裁として守ってほしいことも入れます。そのうえで「##~」という中見出しは、メール内容やアンケート回答内容についても細かく指示するとよいでしょう」(池田さん)


※入力内容
上記のように、制約条件、メール内容、アンケート回答内容について詳細に指示するのがポイント。

※生成結果
ところどころ違和感のある日本語表記になるものの、大見出しや中見出しで指定したことはある程度汲み取って、メールの文章を生成してくれる。
「このような特徴を応用してメールの文章に入れた要素を箇条書きで要望すれば、それに合わせたメールを作ってくれるはずです。生成された文章がイマイチだった場合には、作り直してもらうように指示しましょう」(池田さん)
ちなみに池田さんの文章に入力されている「最高の~を出力してほしい」という文言は、UXデザイナーの深津貴之さんが実践している〝深津式プロンプト〟のひとつ。ベターな回答を生成してもらうニュアンスの〝キーワード〟として活用している人も多いとか。
文字起こしした会議の音声データをChatGPTなら情報分析や集計にも活用できる!
最近では音声データを高い精度でテキスト化する文字起こしのアプリやサービスが充実してきている。それらで文字起こししたデータを見やすくしたり活用したりするのにもChatGPTは重宝するという。

※ケバ取り
上記は文字起こしされたデータを〝ケバ取り〟する(整える)際に入力するプロンプトの一例。#を使いながら、不要な文字について具体的に列記するのがポイントだ。

※カテゴライズ
上記はテープ起こしした文章について議論内容をカテゴライズした一例。箇条書きで見やすく整理されているのがわかるだろう。


※抽出
上記は文字起こしした文章の中でも、特定の話題に関する内容を抽出するためのプロンプトと生成結果の一例。文字起こししたデータのうち、必要なところをチェックできて効率的だ。
「文字起こしたデータを入力して文章を整えて、どんな話をしているのか俯瞰して確認できるようにするだけでなく、例えば、過去100回行なわれた社内のミーティングの中から、日焼け止め商品に関する話を抽出して要点を分析したり、どんなカテゴリーの話が多かったのか集計したりすることもできます。議事録を単なるログとして残しておくだけでなく、分析装置として使えるようになるわけで、これはすごいことですよね」(池田さん)
メール作成を短時間で済ませるだけでなく、議事録の文字起こしデータを分析・集計に活用できる、ChatGPTの実践的なテクニックを、ぜひ仕事に役立ててほしい。

リモートワーク研究所
池田 朋弘さん
これまで7社を創業して4回のイグジットを経験。リモートワークに必要なノウハウなどを解説するYouTubeチャンネルの登録者数は5.2万人超。近著に『テレワーク環境でも成果を出す』(マイナビ出版)。今回紹介したChatGPTの特徴をふまえて、Zoomでクラウド録画したら自動で文字起こしをして要約するという、画期的な新サービスの開発に取り組んでいる。
取材・文/DIME編集部
DIME最新号の大特集は「ChatGPT/Bing/Google Bard AI検索超活用術」


企画書の作成から調査分析、営業ツール、Exel関数、資産運用、ビジネス英会話、リスキリング、アプリ開発まで、これを読めば、ChatGPTの超便利な活用法がまるわかり!あなたの欲しい回答を導き出すベストプロンプトを詳しく解説。まさに超保存版です!!
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取材・文/DIME編集部