脳科学者が教える「女心がわからない男にもうイライラしない方法」

脳科学者が教える「女心がわからない男にもうイライラしない方法」

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2020/09/17
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脳科学・AI研究者である黒川伊保子さんの『妻のトリセツ』は、妻と夫の思考や行動の違いをユーモラスかつ的確に解説し45万部を超えるベストセラーとなった。黒川さんの最新刊『女と男はすれ違う!共感重視の「女性脳」×評価したがる「男性脳」』では、大人の女性が人生をしなやかに切り開く方法を、脳科学の立場からわかりやすく説いている。「男女は、同じ機能を搭載した脳で生まれてくる」が、「『とっさに使う回路』の初期設定が違う」と黒川さんは語る。そう思うだけでも、相手を責めずに自分の中で納得できるようなヒントがあるのだ。今回は本書の中から抜粋し、「女心がわからない男にイライラしない方法」について紹介しよう。

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男女の脳は違うのか

男と女の脳は違う。
男と女の脳は違わない。
ーー実は、どちらも正しい。

男女は、同じ機能を搭載した脳で生まれてくる。ともに完全体である。
ただし、「とっさに使う回路」の初期設定が違うのである。哺乳類の雌雄は、生殖の戦略がまったく違う。このため、オスはオスとして、メスはメスとして子孫を残しやすいように、あらかじめ、「とっさの脳の使い方」の初期設定がなされている。

男と女の脳は違う。
その違いをロマンティックに表現すれば、「女性脳は、最初から答えを知っている賢者」であり、「男性脳は、永遠に答えを探し続ける冒険者」なのである。
まずは、その違いからひも解いていこう。

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男性脳という脳がある、女性脳という脳がある、という話ではない。性別でひとくくりにすることも難しい。ただ、その多い傾向を知るだけでも別の視点を知ることができるはずだ Photo by iStock

男には、目の前のものが見えない

女性脳は、右脳と左脳の連係がとてもいい。一方、男性脳は、右脳と左脳の連係が緩慢である。これが、脳の性差の根源だ。

右脳は感じる領域、左脳は顕在意識を担当している。女性脳は、生まれつき右左脳連係が非常によく、感覚器がつかまえた情報を密度濃く顕在意識に持ち込むので、「周囲の状況」の把握力が高い。さらに、自分の体調や気持ちの変化も、時々刻々顕在意識にあがってくるので、「自分」のこともしっかり把握できている。

じゃ、なにかい? 男性脳は、女なら見えていて当然の「周囲の状況」を見逃したり、「自分の気持ち」もわからないわけ?……と、つっこみをいれたくなったでしょ。そうそう、そのとおりなのだ。

右左脳の連係が緩慢だと、奥行き認識(ものの距離感の把握)が得意なので、「遠く」や「全体」や「機構」がよく見えるようになる。代わりに、目の前のものの観察力がとんと低い。「自分の気持ち」ですらよくわからない脳なのである。「自分」のことにはあまり意識が行かず、「世界」を意識するのが、男性脳の傾向にして役割だ。

目の前のものが見えないから、一番近くにいてくれる女性のこともよく見ていない。髪形を変えても気がつかないし、悲しそうな顔をしてても素通りするし、共感もしてくれない。「美味しい」「嬉しい」も積極的には言ってくれず、ねぎらいのことばも間が抜けている。
けれど、地の果てまで行って、数々の危機を乗り越えて獲物をとって、無事に帰ってくる。これが、男性脳の正体だ。

脳が見ている世界

では、右左脳の連係が悪いと、なぜ、空間認識力が上がるのだろう。ヒトは、目にしろ耳にしろ鼻にしろ手足にしろ、左右で一対の感覚器を有している。理由は、左右から入ってくる情報の差で、空間やものの位置関係を知るためだ。

たとえば、目。右目と左目に映る画像は、実はごく平面的なもの。しかしながら、わずかに違うその二つの平面画像の差分から、脳が「奥行き情報」を演算して作りだし、脳の中に三次元画像を映写しているのである。

脳のその機能が壊れてしまった人は、世の中が立体に見えず、平面に描いた絵のように見える。階段が、あみだくじの線のように見えるのだそうだ。輪郭の線は把握できるのだが、面の向きが把握できない。どの面が足を乗せる面かが瞬時に把握できず、おそるおそる足を乗せることになる。

つまりね、私たちがものごころついたときから眺めている風景は、脳が作りだすバーチャルリアリティなのである! もちろん、経験を積み重ねた脳にとっては、そのバーチャル画像が現実空間とずれることがないので、「現実を見ている」ということに変わりはない。しかしながら、自分以外の人の脳の画像が自分と同じかというと、それは違う。他者の脳が見ている画像を見ることができたら、私たちはきっと驚くことになるに違いない。

たとえば、脳によって、優先的に把握している事象が違う。ある脳は、面を優先的に見て、ある脳は輪郭を優先的に見る。前者の脳は、針の先ほどの変化も見逃さないが、距離感を測りにくく、構造が理解しにくい。後者の脳は、目の前のものをないと思ったりするが、遠くから飛んできたものに瞬時に照準が合い、構造物を組み立てるのが得意だ。

この前者が女性脳に多く見られる傾向、後者が男性脳に多く見られる傾向である。

したがって、「私」が見ているものを、「彼」が見ていないなんてことは、無限に生じる。「察してくれて当然」と思うものを、まったく意に介さないということも、当然、無限に生じる。その度に傷ついていたら、やってられない。

男女差だけじゃない。ものごとを悲観的に捉える脳神経回路の持ち主は、世の中の事象から、まっさきに悲観的な事象をキャッチして、優先的に思考空間に並べてしまう。つまり、悲観的な人は、悲観的な結果を生む道を自然に選び、「ほらね、やっぱり、世の中って甘くない」と納得を重ねてしまうのだ。

逆に、ものごとを楽観的に捉える脳神経回路の持ち主は、世の中の事象から、まっさきに楽観的な事象をキャッチして、優先的に思考空間に並べる。なので、何をするにもストレスが少ない。

脳が見ている世界は、脳が作りだす世界だ、ということ。あなた自身の脳を、ポジティブに健康にしておけば、世の中がそう変わる、ということでもある。

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ストレスには外的要因が多いけれど、外圧によって自信を失い、常に何事もマイナスに受け取ってしまうとよりマイナスのループにつながってしまう Photo by iStock

女は面で、男は点で、世の中を見る

比較的近くを、まんべんなく見るのが得意な女性脳。身の回りや、気になるもの、大切なものを、面でつぶすように、くまなく見ている。私は、二次元面型認識と呼んでいる。

一方、男性脳は、空間全体をすばやく把握するために、注視する点をいくつか瞬時に決めて、それを基軸に輪郭を作り出し、空間構成と距離感をつかむのが得意。空間を「点」で捉える、三次元点型認識である。どちらにも利点と弱点がある。

二次元面型認識の女性脳は、半径3メートル以内を、つぶさに把握している。あらゆるものが、見えるのである。見えるというより「感じる」、いや、「脳に触れる」と表現したほうがいいかもしれない。

トイレに立ったついでに、置きっぱなしのコップを片づけ、通りすがりの玄関で家族の靴を揃え、施錠を確認し、消臭剤の残り具合を確認し、台ふきを持って帰ってきて、テーブルを拭く。その台ふきは、寝る前に、きっちりキッチンに戻す。そんなふうにあらゆることを片づけながら、子どもの寝息を聞き分け、わずかな体調変化を見逃さない。

ときには、見えない危険にも気づく。書類の下に、カッターナイフの刃が出た状態で隠れていると、なぜか不穏を感じて、書類を持ち上げて見つけ出すことくらい、女性脳には朝飯前である。視覚だけではなく、聴覚や嗅覚も総動員して、自分と子どもの身を守って、何世代も何世代も進化してきたのだろうなぁと、しみじみしてしまう。

一方で、女性脳は、横への展開が豊かすぎて、ときに「そもそも何をしていたか」を忘れてしまうことがある。お風呂の残り湯をポンプで洗濯機にいれるとき、私は、ときどき適量を超えてしまう。ついでの作業が佳境に入って、戻れなくなって。話も横道にそれすぎて、「そもそも何を話していたか」も忘れることもある。まぁ、それもご愛敬。無邪気な(やや無責任な)並列処理でなきゃ、家事なんか永遠に片付かない。

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片づけていたつもりが「あれ、何してたっけ?」ということ、ありませんか? Photo by iStock

三次元点型認識の男性脳は、「注視する点」を瞬時に決定し、潔く線を引いて輪郭を切り出すので、「全体」と「目的」を見失わない。

獲物を狩り、荒野の果てまで行って帰ってこられる。縦列駐車もうまいし、大工仕事もうまい。大海原に漕ぎ出し、世界の地図を作るとか、車のエンジンを考え出し、それを形にして、世界中に走らせるなんて、この世に男性脳がなかったら、実現することはなかっただろう。

このように男性脳は、女性脳のようにまんべんなく見ているわけじゃないから、日常生活の中で、見逃すものも少なくないのだ。

女と男はすれ違う! 共感重視の「女性脳」×評価したがる「男性脳」』黒川 伊保子/ポプラ新書

女性が読めば人生の無敵のバイブルに、男性が読めば女性の隠された本音がわかる。なぜ、上司は分かってくれないのか? なぜ、夫と話が通じないのか? なぜ、頑張れば頑張るほど、心は充たされないのか? 脳の視点から女性と男性の行き違いを理解し、男女のトラブルも回避できる一冊。

構成/榎本明日香

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