大分のブランド乾しいたけ〈うまみだけ〉。料理家・冷水希三子はどう料理する?

大分のブランド乾しいたけ〈うまみだけ〉。料理家・冷水希三子はどう料理する?

  • edit Oita エディット大分
  • 更新日:2021/10/14
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旨みたっぷりの戻し汁まで使った煮込み料理。

大分県は、乾(ほし)しいたけの生産量が全国1位。量だけでなく、乾しいたけの品質を競う全国乾椎茸品評会でも、22大会連続の団体優勝を果たすほどの一大産地です。その大分の地で新たに生まれたブランドが〈うまみだけ〉です。

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大分県では、樹齢15年ほどのクヌギの木を使った原木しいたけ栽培が行われています。写真提供:大分県椎茸振興協議会。

これまで乾しいたけは、形状(かさの開き方)に応じて、「冬菇(どんこ)」「香信(こうしん)」「香菇(こうこ)」の大きく3種類に分類。いろいろな品種が混ざり合っていたことから、同じパッケージに入ったものでも、戻す時間や風味に違いがあったと言います。

そこで、大分県が着目したのが品種でした。成分や味わいに特徴のある品種をフィーチャーして商品化。旨み、香り、歯ごたえの違いにより、現在では7品がラインナップしています。

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クヌギの原木がずらりと並んだ「ほだ場」。同県のクヌギの蓄積量は日本一で、全国の22%を占めています。写真提供:大分県椎茸振興協議会。

厚みがありしっかりとした味わいの「115(いちいちご)」、やわらかな食感でマイルドな旨みが持ち味の「とよくに」、やさしい香りが特徴的な「ゆう次郎」、抜群の歯ごたえを楽しめる「にく丸」など。

すべて原木にシイタケ菌を植え付けて、1~2年がかりで時間と手間をかけて生育。乾燥させることで旨みをギュッと凝縮しています。メニューによって使い分けたり、好みのタイプを知ると、料理のレパートリーがグンと広がること間違いありません。

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左から、〈うまみだけ〉の「115」「とよくに」「ゆう次郎」。

今回、料理家・冷水希三子さんが料理に用いるのは、「115」と「とよくに」の2種類。あっという間に仕上がるオイル煮と、ピリッと辛味が効いた煮込みの2品をご紹介します。和食のイメージが強い乾しいたけを主役にした、洋風メニューは興味津々!

「乾しいたけは下ごしらえが大変と思う人もいるかもしれませんが、実は簡単。水と一緒にビニール袋に入れて口を縛り、冷蔵庫にひと晩入れておくだけなので面倒なことは一切ありませんよ」

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冷蔵庫で戻すとき、「空気を抜くと水にしっかりと漬かり浮かんでこないんですよ」と冷水さん。

1品目は、「とよくに」を使った「うまみだけのオイル煮」です。

「『とよくに』は、やわらかい食感ですっと噛み切れるのが特徴。すぐにつくれて食べやすい前菜に向いていると思い、このメニューが浮かびました」

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〈うまみだけ〉の軸は切り落とし、かさの部分を使います。軸は、細かく刻んでチャーハンや野菜炒めに加えたり、味噌汁に入れるのもおすすめです。

冷蔵庫でひと晩置いた「とよくに」は、軸を切り落としてかさの部分を使います。

「大きければ半分にカットします。戻し汁はザルで漉してホコリやゴミを取り除き、ニンニクは半分に切って芯を取り、ドライトマトは熱湯に漬けて戻します」

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3大旨み成分のひとつ、グアニル酸を豊富に含む乾しいたけ。旨みがたっぷり出た戻し汁も料理に使います。

鍋に、「とよくに」と戻し汁、ニンニク、ドライトマトを入れ、タイムとオレガノも加えて、ひたひたになるまでエキストラヴァージン(EXV)オリーブオイルを注ぎます。

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ハーブは、タイムの代わりに、ローズマリーやマージョラムを使ってもOK。

「中火にかけて沸騰したら弱火にして15分、アクを取りながら煮れば完成です。器に盛りつけたあと、鍋に残った煮汁はパスタを炒めるときに使ったり、炊飯の際に加えて炊き込みご飯にしてもおいしいですよ」

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旨みが溶け出した煮汁も一緒に盛りつけます。

オリーブオイルだけではなく、「とよくに」の戻し汁もたっぷりと使って煮るため、あっさりと軽やかな印象。軽くトーストしたバゲットを添えるのもおすすめです。

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パンにつけるのはもちろん、ご飯にかけてもおいしい!

ご飯を何杯でも食べられる“ご飯泥棒”!?

2品目は、ボリュームたっぷりの「うまみだけと豚スペアリブのピリ辛煮込み」です。

「ここでは、『115』を使います。ぽってりと厚みがあり旨みも濃いので、パンチが効いた豚スペアリブと組み合わせました。ピリ辛味にすることで、食べれば食べるほど食欲がわいてきますよ」

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水で戻した「115」。見るからに肉厚なのがわかります。

オイル煮をつくるときと同じように、〈うまみだけ〉は水に漬けて冷蔵庫でひと晩置き、軸を切り落としたかさの部分を使います。

「豚スペアリブは、塩を揉み込んで30分ほどなじませます。鍋に水をたっぷりとはり、スペアリブを入れて茹でこぼし、さらに水でよく洗ってから水気をふきとってください」

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芯を取ったニンニク、種を抜いた赤唐辛子、みじん切りのショウガ、花椒を炒めると、食欲をそそる香りが辺りに広がります。

ニンニクは半分にカットして芯を取り、赤唐辛子は中の種を取り除きます。ショウガはみじん切り、長ネギは小口切りに。トマトは皮を湯むきしてから小さくカットします。

「鍋に、油、ショウガ、ニンニク、赤唐辛子、花椒を入れて香りが立つまで炒めます。さらにトマトを加えて蓋をして弱火で10分、途中でたまにかき混ぜながら煮ましょう」

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トマトは皮を湯むきして小さく切って加えます。

トマトが煮崩れたら、長ネギ、茹でこぼした豚スペアリブを入れ、紹興酒と酢を入れて中火で2~3分煮てから、「115」、戻し汁、水を加えます。沸いたらアクを取り、吹きこぼれないように蓋を少しずらしてのせ、30分煮てから濃口醤油を加えてさらに1時間煮込み、最後に塩で味を調えればOKです」

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トマトが煮崩れてから、小口切りの長ネギ、豚スペアリブ、紹興酒、酢を加え、中火で2~3分煮ます。

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アクを取って弱火で30分煮てから濃口醤油を加え、さらに1時間煮込みます。

「115」と豚スペアリブ、どっしりと存在感があるふたつの食材どちらも主役の煮込み料理は、インパクト大! じっくりと煮込んで仕上げることで、肉や野菜の旨みがとけ出したスープも奥深い味わい。炊きたてご飯が欲しくなること必至です。

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「このメニューの別名は、“ご飯泥棒”。炊きたてのご飯と一緒に食べると一層おいしさが増しますよ」。

栄養たっぷりで濃厚な旨みの塊である〈うまみだけ〉は、品種ごとに香りや歯ごたえが異なるので、使い分けて味わう楽しさがあります。

戻してから使うのが面倒と思いきや、水に漬けてひと晩冷蔵庫に入れておくだけでOK。多めの量を戻して冷凍保存も可能です。

寒さが少しずつ増すこれからの季節、からだがほっこりと温まる、オイル煮とピリ辛煮込みから、まずはトライしてみてはいかがですか?

Recipe 1

うまみだけのオイル煮
【材料】
・うまみだけ(とよくに) …… 30g
・水 …… 300ml
・ドライトマト …… 10g
・ニンニク …… 2片
・タイム …… 5本(ローズマリーやマージョラムでも代用可)

・ドライオレガノ …… ひとつまみ(なければ入れなくてもよい)
・塩 …… 小さじ1/4弱
・EXVオリーブオイル …… 適量
【作り方】
1 〈うまみだけ〉は水に漬けて冷蔵庫でひと晩戻す。
2 鍋に、軸の先の硬い部分を切ったうまみだけとザルで漉した戻し汁、熱湯で戻したドライトマト、皮と芯を取ったニンニク、タイム、ドライオレガノを入れ、EXVオリーブオイルをひたひたに注ぐ。
3 2を中火にかけ、オイルがぷくぷくしてきたら弱火にしてアクを取りながら15分煮る。

Recipe 2

うまみだけと豚スペアリブのピリ辛煮込み
【材料】
・うまみだけ(115) …… 30g
・水(A) …… 400ml
・豚スペアリブ …… 600g
・塩 …… 小さじ1
・ショウガ …… 1片

・長ネギ …… 1本
・ニンニク …… 2片
・赤唐辛子 …… 4本(好みで増減可)
・花椒 …… 大さじ1
・トマト …… 2個

・紹興酒 …… 50ml
・酢 …… 大さじ2(黒酢で代用可)
・濃口醤油……大さじ2
・油 …… 大さじ2

・塩 …… 適量
・水(B) …… 400ml
【作り方】
1 〈うまみだけ〉は、水(A)に漬けて冷蔵庫でひと晩戻す。
2 豚スペアリブに塩を揉みこみ30分置いてから、鍋にたっぷりの水(分量外)と一緒に入れて火にかける。沸騰したら2~3分茹でてからザルにあげ、水で洗い水気を拭く。
3 ショウガはみじん切り、長ネギは小口切りにする。ニンニクは皮と芯を取り除き、赤唐辛子は種を取る。トマトは皮を湯むきして小さく切る。
4 鍋に油とショウガ、ニンニク、赤唐辛子、花椒を加えて香りがたつまで炒め、トマトを加えフタをして弱火で10分ほど時々かき混ぜながら煮る。
5 トマトが煮崩れたら長ネギと豚スペアリブを加え、紹興酒と酢を入れて2~3分中火で煮る。軸の先の硬い部分を切った1とザルで漉した戻し汁を一緒に加え、水(B)を入れて沸騰したらアクを取り、弱火でフタを軽くずらして30分煮る。
6 濃口醤油を加えさらに1時間煮込む。最後に塩で味を調える。

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Profile 冷水希三子

料理家、フードコーディネーター。料理にまつわるコーディネート、スタイリング、レシピ制作を中心に、書籍、雑誌、広告などで幅広く活躍。うつわや盛り付けの美しさに定評がある。著書に『さっと煮サラダ』(グラフィック社)など。

credit text:池田祐美子 photo:長野陽一

edit Oita エディット大分

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