『石子と羽男』の余韻、中村倫也が傘をさしかけるラストシーンに詰まった深い感動

『石子と羽男』の余韻、中村倫也が傘をさしかけるラストシーンに詰まった深い感動

  • ドワンゴジェイピーnews
  • 更新日:2022/09/23

石子が一歩前へ出て羽男を支えた第1話。最終話では、羽男が石子に傘を差しかけ一歩を支えた。
二人なら二人前以上の爆盛りになれる。石子と羽男が信頼し合える“相棒”として最高のラストシーンを迎えるまでに、私たちが受け取ってきたのは“生きること”そのものだったのではないだろうか。

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先週16日に最終回を迎えた『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』(TBS系)。最終話放送後も、連日キャストのクランクアップ写真がドラマ公式SNSでアップされるなど、ロスの声に寄り添っている。『石子と羽男』の放送のない金曜の夜が寂しく、まだまだその余韻にひたっていたい今、毎話心に沁みいるようにイントロが流れ、すべてを包んでいったRADWIMPSの主題歌『人間ごっこ』が流れるシーンを集めてみると、歌詞にもある「生きる」という言葉に行き着いた。

羽男(中村倫也)が柱の陰に隠れてタイミングを見計らって石子(有村架純)の前に現れる。それがこのドラマの始まりだった。

初めて主題歌が流れたのは、大庭(赤楚衛二)が語る“声を上げない”理由に、石子が「それは違いますよ」とまっすぐに問題提起をした場面。職場で不当な仕打ちを受けた大庭や沢村(小関裕太)の気持ちに寄り添い、切実に「声を上げて」と訴える石子の思いは、ここから10話を貫き、その思いの厚さを知ることとなった。

大庭が石子に傘を差しだした第2話。鉄子とモリ男が挑んだ案件は、小学生の幸多がわざとゲームに課金した案件。イントロが流れたのは、シングルマザーで懸命に働いている母(木村佳乃)に迷惑をかけないように息子が考えた“壮大なシナリオ”が明らかになる場面。壁にたくさん貼られた二人の写真は、これまで親子が“頑張って”生きてきた、まぶしい顔が並んでいた。

第3話、ファスト映画を制作した山田(井之脇海)が土下座して謝罪した時、映画監督(でんでん)は「どんな謝罪をされても 受け入れることはできません」と言った。監督は65歳。また10年かかるならもう映画は撮れないかもしれない。人生って案外短い。取り返せないものもある。

日常は人の生き死にと隣り合わせ。キックボードの事故を起こした一奈(生見愛瑠)が、倒れている被害者に駆け寄る映像が見つかる。第4話で、姉(趣里)が信じた妹の声が正しかったと証明された場面であり、人の命に直面した現場でもある。羽男は美しい朝焼けのなか、石子に自分の弱さを本音で語った。法廷で石子を“相棒”だと呼び、姉妹の人生が守られると同時に、後に「人を殺すことがあることに無自覚だった」と一奈は反省の言葉を口にした。

高齢者が恋をしたってもちろんいい。病気でこの後の人生の迷惑をかけるだけだからと、思いを寄せる有森さん(風吹ジュン)と離れようとした重野さん(中村梅雀)。しかし、重野さんの誕生日の日に、有森さんは予定を今も空けていることが分かる。「お願いします」と石子に生前整理を依頼する重野さんは、青空の下、晴れ晴れとした表情をしていた。

きれいごとだけじゃ生きていけない。第6話、1才になる双子のパパ・高梨さん(ウエンツ瑛士)は制度があると言っても育休を取るのは難しく、保育園に入れたくても全員が入れるわけではない。それでも夫婦が互いを思いやり、小さなことから意識を変えていくことで変えられるところもある。電車から手をふる、笑顔を取り戻した家族の光景と、顧問弁護士がどーのこーの言っている石子と羽男の平和なやりとりが繰り広げられていた。

些細なことが人生を狂わせる。石子が事故をたまたま目撃しそれがトラウマとなり司法試験に落ち続けているように、逆に一つの小さなきっかけで人生を良い方向に変えられる可能性だってあるんだと石子は信じてきた。暴力で支配してきた父親(野間口徹)を訴えることにした少女・美冬(小林星蘭)の勇気。友人・ひな(片岡凛)とともに軽い足取りで笑顔で支援センターに入っていく姿を石子と羽男の優しい笑顔が見送った。

隠れ家を売りにしている創作料理店の主人・香山(梶原善)は、口コミサイトに店の情報が載ってしまい削除を訴えたが、そこには息子夫婦たちが父を思い店を思う気持ちがあった。息子の意見も取り入れ、「新メニュー考えたんだ 味見してってくれよ 3人で」と、これから生まれる孫も含めた家族に歩み寄った店主の言葉に、笑顔の息子夫婦。石子もまた、父・綿郎(さだまさし)が母を苦しめたという思いを持っていたが、「苦労させてしまって ごめんなさい」と頭を下げる父に「そのままでいてください」と受け入れ、敬語をやめた。

第9話、放火の疑いで逮捕された大庭の不起訴処分決定を知らせる検事からの電話。大庭のようにまっすぐで真面目な人間も、何も関係のないその弟・拓(望月歩)もトラブルに巻き込まれた。いつもフワフワと冗談めかしている羽男が「ありがとうございました」と深々と頭を下げ、その横で石子も同じように頭を下げた。石子と羽男を信じて声を上げ、二人があきらめないで動き続けた結果、大庭はまぶしそうに空を見上げ、石子と羽男のいる笑いのある日常に戻ってきた。

「人生って 案外短いんだよ 後悔のない人生なんて ないけど 一つでも少ない方がいいんじゃない?」
最終回で綿郎が石子に手渡した司法試験の願書。それを見て、ふっと笑えるようになった石子は、父との関係同様、自分のトラウマに対してももうすでに一歩踏み出せていたのかもしれない。

石子と羽男が守った大庭兄弟の日常。拓が青空を家の中から穏やかな表情で見上げる様子と、「晴」と青色で書いた作品がまぶしく見える。
「ずっと晴れていれば 傘もいらない」
そんなまぶしい日常が広がっていてほしいと願わずにはいられない。

現代を反映し、リアルに伝えられた日常。きれいごとで終わらせず、偶然起こってしまう悲劇も日常なのだと思わせられた。そのなかで、頑張って生きている人々。一緒にごはんを食べ、「お茶飲む?」と尋ね、「いってらっしゃい」と送り出し、「ただいま」と迎える。ただ普通に日常を送りたいと願う人たちに石羽コンビが寄り添い、声を上げた人の人生をなるべく笑ってすごせるように、法律を使いながらお手伝いしてきた。

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有村架純と中村倫也がリアリティーを感じさせながらナチュラルに演じてきた石羽コンビの存在を思い出しながら日々を過ごせれば、人に対して優しい気持ちになれたり、一歩踏み出す勇気を持てたりするかもしれない。その一人一人の小さな思いや行動が、明るい未来をつくっていく。声を上げれば開ける道がある。キャストやドラマの制作陣がエンタメとして明るく届けたように、笑って生きていける道が広がると信じたい。

石子の司法試験当日、また事故の光景を思い出し色を失った世界。一歩が踏み出せなくなったとき、羽男が青い傘をさしかけた。

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晴れている横断歩道。色を失っているのは石子の見ている世界だけ。傍からみれば、普段と変わりない日常の風景で、誰も石子が立ち止まっている理由など知らない。でも、その見えない思いに気付けるのは、互いに自分の心にある思いを素直に見せられるようになった“相棒”の羽男だけ。長い間、心のなかに溜めてきた声に互いに寄り添ってきたから。

視聴者が大好きになった石羽コンビ。二人のラストシーンが、このドラマそのもののようで、優しい世界が最高に温かい気持ちにしてくれた。

文:長谷川裕桃

『石子と羽男』最終回 愛おしい石羽コンビと大庭、何度も味わう幸せと気づき

(C)TBS

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