アラ還、独身、フリーランスで禁断の戸建てに挑戦するも、某業者でたらい回しに遭う!アポもキャンセル、「あなたは客ではない」という言下のメッセージ

アラ還、独身、フリーランスで禁断の戸建てに挑戦するも、某業者でたらい回しに遭う!アポもキャンセル、「あなたは客ではない」という言下のメッセージ

  • 婦人公論.jp
  • 更新日:2023/05/26
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写真提供◎photoAC

かつて女性の辛さは「女三界に家無し」と表現されました。しかし現代、「本当に住む家が買えない、借りられない」という危機的状況に直面するケースも増えています。そして男女雇用機会均等法で社会に出た女性たちが、会社勤めをしていればそろそろ一斉に定年を迎える時期に…。雇均法世代である筆者は57歳、夫なし、子なし。フリーの記者・編集者。個人事業主ではあるが、見方によっては「無職」。ずっと賃貸派だった彼女が、60歳を目前に「家を買おう」と思い立ち、右往左往するリアルタイムを、心情とともに綴ります。

【写真】内見した賃貸のキッチン。ガスコンロは要購入…

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前回「アラ還、女性、単身で家は買えるのか?リフォーム願望むくむく…予算を上げて都内で探すもイマイチ、エリアを広げる?面積を狭くする?リフォームする!」はこちら

禁断の一戸建て

どんどん迷走している感がある、老後を見据えた家探しチャレンジですが。さて、前回までに書いた通り、ファイナンシャル・プランナーとの面談から、老後資金を食い潰さないようにと「安かろう・古かろう」のあまり資産価値の高くない物件を買うよりも、80歳で老人ホームに入ることになった場合に、売却したら入居一時金が用意できるように、いま自己資金を増やしてでも、値段も資産価値も高い物件を買ったほうがいい、ということになりました。それで予算を4500万円まで上げたら、もう少し頑張れば5000万円、それなら一戸建ても夢じゃない――と、欲望が抑えられなくなった私は、なんと、無謀にも、「禁断の一戸建て」にアタックしてしまいました!

――残念ながら、思い知ったのは「身の程」です。「一昨日来やがれ」の塩対応をされ、業者には物件の内見すら、させてもらえませんでした。そして夢から覚めました。そうです、一戸建てなんて夢のまた夢。「アラ還、独身、女性、子なし、フリーランス」ごときが、一戸建てが買えるかも?なんて、いっときでも勘違いしたのが、悪うございました。一昨日来やがれ、っていう業者の言下のメッセージ、はい、しっかり受け止めました。

時系列でお話ししましょう。まず、いつものごとく、不動産プラットホームであるアットホームやホームズなどから、「中古」「一戸建て」を、予算5000万円(ちょっと背伸びしました!)で検索してみました。そうしたら、見つかったのです! あったんです!! 最初に希望していた実家の近くのエリアでした。ファミリー向けマンションしかないと諦めたエリアの、駅徒歩圏(徒歩15分)に、狭小戸建てを。しかも、なんと4498万円です! なんと!! 予算内じゃないですか!

狂喜乱舞しました。ええ~!? マンションと同じ予算で、一戸建てが買えちゃう、ってこと~? 土地83平米、建物106平米、木造三階建て、築25年以上の中古物件ですが、2022年に水回りをリフォーム済みとなっています。土地権利も、借地でなく所有権です。

接道も公道に5メートルですから、再建不可物件じゃなさそうです。一戸建ての場合で注意したいのが、公道に接道していないとか、自治体の条例による規制が出来たとかで、建て替えができない「再建不可物件」です。その場合は将来、老朽化しても建て替えはできず、梁や外構を残しての大規模リフォームをするしかありません。でも、この4498万円の物件は、接道条件はクリア。他に条件の表記もないので、再建は可能なようです。あとは水回りの状況次第です。これは現地を確認しなくては!

いきなりキャンセル

さっそく、この物件を扱っている某有名不動産仲介業者O社に連絡をしました。次の日曜の午後イチで内見申し込みを入れ、物件前で待ち合わせたいので住所を教えてほしいと伝えました。担当者のF氏からは、前日の土曜に電話がかかってきて、物件前で直接待ち合わせではなく、まずは事務所で説明をしたいと言われました。仕方ない。まあローンが組めるかの相談もあるしな、と思って、午後1時に事務所に行き、3時頃から物件を内見する、という段取りでお願いしました。

ところが当日朝10時18分。F氏から携帯のショートメールでいきなりキャンセルの連絡です。「ご案内予定の物件ですが、お申し込みが入ってしまい、ご案内ができなくなってしまいました」。げ! なんと、内見予定の当日朝に申し込みが入ったの? そんな朝早く? しょうがない、申し込みが入ったら募集はストップですから、見られないのは仕方がありません。

この物件には「値下げ」と表示がありました。価格を下げた途端に売れてしまうのはよくある話です。では説明だけ聞きに行きますとSMSでレスしたところ、この日は忙しくなってしまったので(私のアポがもともと入っていたにもかかわらず!)リスケしてください、とのこと。しかもなんと担当F氏は今日で退社するので、別の人に引き継ぎます、といいます。

なんじゃそりゃ、です。退社日ぎりぎりまで働かせてるブラックな会社なのでしょうか。ブラックな会社だから退社してしまうのでしょうか。戸建ての購入時の住宅ローンについて、教えてほしかったのに。仕方ない、日程は組み直しです。どのみち、また物件を探さなくてはいけません。分かりました、また物件を見つけたらご連絡します、ということで、F氏とのSMSだけでの連絡が終わりました。

はあ。残念。売れちゃったのかあ。と、このとき、私はバカ正直にも思っていました。そして数日後。私は性懲りもなく、また狭小戸建てを不動産サイトで探しました。今度は実家の近くではなく、あるわけがないとは思いつつも、都内です。すると、――まさか! また、見つかったのです。4780万円! 土地35平米、建物40平米の木造二階建て。しかも今度は新築です! 土地も、狭いものの、借地ではなく所有権です。

またもO社の物件でした。何かきな臭いものを感じながらも、まだまだ純粋だった私は、またも内見申し込みの連絡を入れました。違う営業所の管理物件だったので、F氏が引き継ぐと言っていた後任とは違う人が担当者でした。今度の担当O氏は、物件詳細をメールで送ってくれました。都内の私鉄駅徒歩3分です。私の希望エリアからは外れますが、なにはともあれ、憧れの一戸建てです。

住所から調べたところ、事故物件だった訳でもなさそうです。忌みモノである墓地も川も大病院も、半径1キロ以内にはありません。逆に公園が近いので環境は良さそうです。土地が狭いので建物も小さいですが、私のように単身で住む分にはなんら問題はありません。ぜひ内見したいと伝え、次の土曜の午前11時半に物件前で落ち合いたいと、申し込みました。

たらい回し

すると、金曜夕方にO氏から直接電話がかかってきました。忙しいので連絡はメールにしてくれと言ってあったにもかかわらず、です。O氏は電話でいきなり、こちらの年齢、職業と、懐事情を聞いてきました。自己資金はいくらか、確定申告の税引き後の「所得」の金額はいくらか。――とても失礼です。これって電話で聞くような話じゃありません。しかもまだ一面識もない相手です。

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嫌な感じだなあ、と思いましたが、質問に答えたついでに「ローンのことを相談したい」と伝えると、「大丈夫じゃないですか。3000万円とかは借りられるんじゃないすかね」と、O氏はさらりと言いました。なら、予算4500万の私も、もう少し頭金を入れれば買えるはずです。安心しました。ですが、翌日は物件に直接行くのではなく、まず営業所に来てほしいと、またも言われました。翌土曜日午前11時半に渋谷の営業所で資金面の相談をして、その後に物件を内見させてもらう、という段取りになりました。

ところがところが、です。いざ土曜になったら、またも、スケジュール変更です。O氏から土曜の朝8時31分にメールが来ました。「直前で恐れ入りますが、渋谷センターのお席が2件の契約が入ってしまい、確保できなくなってしまいました。大変申し訳ございませんが、桜新町センターにお越しいただきますようお願いできないでしょうか」。しかも、できれば時間を30分早めてほしいと。さすがの私も、どうやらおかしいと気づき始めました。

お金と属性の話をする前は、渋谷のセンターで良いと言っていたのが、お金の話をしたら、別の場所に移されるとは。これは、明らかに、私は先方にとって狙った客じゃない、パスしたいと思われて、避けられている、ということでしょう。場所や時間を変えることで、私からアポをキャンセルするのを待っているのでしょう(渋谷より桜新町のほうが私の自宅から遠いのに、時間を早めてほしい、っていうのは、明らかにリスケ狙いですよね?)。

でも、ここまで邪険にされると、悔しくて、逆に話が聞きたくなりました。O氏の言うがまま、分かりましたと、桜新町の営業所に行きました。行ってみてようやく、本当に「たらい回し」だったと、確信が持てました。「担当者です」と登場したのは、S氏。これまでメールも電話もしたことのない、初対面の若者だったからです。

S氏はおそらくまだ入社数年、20代です。そして、「内見の前にまず、お話を」といって話が始まりました。後から考えると、「O社で一戸建てを買うのを諦めさせる=あんたは客じゃないよと分からせる=説得工作」でした。そうは口には出しませんでしたが、明らかに「一昨日来やがれ」という雰囲気が漂っていました。客でもないヤツに内見はさせてやれない、ということでしょう。

フラット35

「ローンのご相談ですよね」と言って、S氏が説明を始めました。いわく、一戸建てを買うのに、私のような「アラ還、独身、フリーランス」の場合、住宅ローンは全期間固定金利の「フラット35」しか使えない、とのことでした。「自営業の方だと、フラット35で組むしかないんですよねえ。フラット35は、ローンが組みづらい人が組めるように、っていうのが主なので」と、S氏が説明してくれます。フラット35だと、2023年3月時点で、金利は1.96%。民間銀行の変動金利に比べるとかなり高金利です(それでも、不動産担保ローンなど他のローンよりは安いですが)。

フラット35は、要件として、(1)戸建てなら床面積70平米以上、(2)年間返済比率は35%以下、(3)申込時70歳未満、80歳完済、(4)再建不可物件は不可、(5)建物は新耐震、などを満たさないといけません。お気づきでしょうが、もうこの時点でアウトです。都内の4780万円の物件は、土地35平米、建物40平米しかありません。(1)の床面積で、そもそも対象外なのです。フラット35が借りられないなら、他の住宅ローンが借りられない私には、この物件は買えませんね、以上終わり、ちゃんちゃん、なのでした。すいませんねえ、フラット35しか借りられない身で、と肩身が狭くなります。

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そうか、だからこんなに塩対応でたらい回しされているのか、と、ようやく私は合点がいきました。私の属性は彼らには「お呼びでない」のです。O社がターゲットとしているのは、属性の良い若者なのでしょう。はっきりホームページに書いてくれたらいいのに。「45歳以下の会社員・公務員しか扱いません」って。O社の狭小住宅は、床面積70平米未満の一戸建ても少なくありません。

それらは、属性の良い顧客――ローンが借りやすい公務員か会社員で、できれば既婚者で、35年ローンが借りられる45歳以下の人――であれば、民間の銀行で住宅ローンが借りられます。簡単に売れます。住宅ローンが借りやすい、そうした高属性の人だけをターゲットに商売をしたいのでしょう。そのほうが、マニュアル通り、ばんばん作って売れるからです。だからテレビCMでも、若いタレントを起用しているんでしょう。

ショックを受けながらも、せっかく話を聞きにきたのだからと、私はS氏に食いさがりました。もし、私が会社員だったら、大丈夫でしたか? S氏は答えました。「はい、会社員だったら、同じ年収なら、普通の銀行ローンが借りられたでしょうから、この物件は買えます」。

単身者でも?「単身者でも買えます。会社員なら、単身者でもローンがつくでしょう」。女性の単身者で、御社で狭小一戸建てを買う人って、いるんですか? 「いらっしゃいます。30代の独身女性で、買われた方がいます。でも、1LDKの狭い物件じゃなくて、将来、結婚したり家族が増えたりして住み替えをする時に売りやすいように、もう少し大きめの物件を購入するようにお勧めしましたけれど」。ああ、そうなのですね。フリーランスは辛いよ、ってことなんですね。年齢差別よりも単身者差別よりも女性差別よりも、会社員じゃない、という属性差別が最大に響くんですね。ということが、よーく分かりました。残念。

現金買いだけ

そのうえ、S氏は私にこんこんと説明を続けます。「マンションと戸建てを比べたら、マンションの方が住みやすいんじゃないですか?」O社は戸建ての仲介業者です。なのに、不思議なことにS氏は、とうとうと、戸建ての短所を並べたて始めました。「マンションなら階段がないですけれど、戸建ては必ず階段があります」。年をとった時に大変ですよ、と暗示します。「ゴミ捨ても、大変ですしね。ゴミ捨て場の掃除当番とか、町内会で決まっていたりしますよね。それに、戸建てはピンキリですから。お高いハウスメーカーさんの注文住宅と、そのへんの建て売りの安い木造とでは」。

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おいおい、自分のところの物件は後者じゃない、って言えるんですか?――ここまで熱心に、「戸建てはやめたほうがいいぞ、諦めてマンションにしろよ~」と、呪いのように呪文を繰り出すとは。S氏、いえO社は、本当にどうあっても、私にはお引き取り願いたいみたいです。

「分かりました。私が買えるとしたら、現金買いだけ、ってことですね」。なかばやけです。じゃあ、他の投資用物件を整理して現金を持って来たらどうするのよ、と啖呵を切ったのに、S氏は鼻で笑うようにして、「はあそうですね」と気のない返事をしました。現金を持ってこれるなら持ってきてみろ、ってことでしょう。馬鹿にしやがって~!! 腹が立つ~!! 悔しい~!!

でも、新築戸建てならば、アラ還だからこそ使えるローンがあるはずです。S氏は今のところその可能性には全く触れていません。最後に、その手段について、私はS氏に聞いてみました。さて、どうなったかというと、……続きは次回をお楽しみに。

※次回は「禁断の戸建て・下 ~ネット情報は「釣り物件」だったかも? リバース60を知らない業者ってどうよ?」をお届けします。

元沢賀南子

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