界面活性剤の種類を問わずに浸透現象を説明可能な数理モデル、農工大が発表

界面活性剤の種類を問わずに浸透現象を説明可能な数理モデル、農工大が発表

  • マイナビニュース
  • 更新日:2021/10/14
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東京農工大学(農工大)は10月13日、石けんなどの界面活性剤と水でできる泡層に水が自発的に浸透する現象を観察し、泡の大きさや界面活性剤の種類によらずに浸透現象を簡易な数理モデルで説明できることを明らかにしたと発表した。

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同成果は、農工大大学院 生物システム応用科学府 生物機能システム科学専攻の釣谷佳乃子大学院生(研究当時)、農工大 工学研究院応用化学部門の稲澤晋准教授らの研究チームによるもの。詳細は、化学を扱うオープンアクセスジャーナル「RSC Advances」に掲載された。

石けんなどの界面活性剤の水溶液に気体を吹き込むと、多くの細かい気泡が生成する「泡立ち」が起き、その結果として、膨大な数の気泡が薄い液膜で仕切られた状態の泡層が得られる。

この泡だった状態を水の立場で見てみると、泡層内部では多数の泡の間において水は薄い液膜として存在し、これら液膜が複雑につながっていることになる。その流路はとても複雑であり、その水の流れを理解するためにこれまで数多くの研究がなされ、偏微分方程式を用いた複雑なモデルや、泡層にどれくらい水が浸透したかで使い分ける複数の物理モデルが提案されてきたが、より簡易で浸透の程度によらずに適用できるモデルは存在していなかったという。

そこで研究チームは今回、汎用的に用いられる界面活性剤である「ドデシル硫酸ナトリウム」(SDS)、もしくは「トリトンX-100」(TX-100)の水溶液を泡立てるとできる泡層を利用した観察を行うことで、新たなモデル構築に挑んだという。

具体的には、SDSやTX-100の水溶液中に細かい穴の開いた空気送風管を差し込み、所定の流量で空気を送り込んで大小さまざまな大きさの泡が多く存在する泡層を作成し、その泡層をガラス板に載せ、もう1枚のガラスで挟み込んで観察サンプルとして観察を行ったという。その結果、以下の2つが判明。それを踏まえ、浸透の先頭位置を表すモデル式が提案された。

泡層内の泡のサイズやそのサイズ分布は浸透速度に影響しない
泡層内の水の体積分率が浸透速度に大きな影響を与える

このモデル式は、従来から示されている時間の0.5乗則に、水浸透による泡層内での水の体積分率変化を考慮し改良したもので、これにしたがって、泡層の長さや水浸透の初期速度を用いて浸透距離や時間を無次元化すると、SDSやTX-100などの界面活性剤の種類によらず、さまざまなサイズや分布の泡層に対する浸透現象を同じ式で表せることが確認できたという。浸透の初期から完了するまでの幅広い時間スケールでの浸透現象を、1つの式で記述できることが示されたのは、世界初の成果だという。

研究チームでは、今回の成果を踏まえ、今後は複雑な泡層内部の流れを、より精緻に解釈する理論構築にもつながることが期待できるとするほか、泡層内部での浸透速度の簡易予測が可能であるため、汚れの輸送や用途に応じた泡層の機能設計への応用展開も期待できるとしている。

波留久泉

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