「同じ絵を見ていても、見ている景色は違うかも...?」美術館での絵画鑑賞をもっと楽しくするには、これを意識すればいい

「同じ絵を見ていても、見ている景色は違うかも...?」美術館での絵画鑑賞をもっと楽しくするには、これを意識すればいい

  • BuzzFeed
  • 更新日:2022/08/06

なんとなく美術館って、「なんか堅苦しそう...」「知識が無いといけないんじゃ?」というイメージがありませんか?

そんな美術館での絵画鑑賞が、もっと楽しくなるイラストが話題です。

イタリア・ルネサンス美術史研究者の壺屋めり(@carimeli)さんが、「西洋美術を鑑賞するときに覚えておくといいかもしれないこと」をTwitterに投稿したところ、1万3000を超えるリツイートと8万1000を超える「いいね」が寄せられました。

「美術館に行く楽しみが増す」「こういうの考えながら鑑賞するとワクワク感倍増しますよね✨」「コンテクストを考慮した上で鑑賞しよう」との声が寄せられる、多くの人のタメになるアイデアです

どんなことを意識すればいいんだろう?

同じ絵を見ていても、見ている景色は違うかも...?

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壺屋めりさんTwitterより / ViaTwitter: @carimeli

ルネサンス絵画は設置場所の装飾や調度品と連動していることがよくあります

と、絵画を見るときに意識するとよいポイントをイラストで解説しています。

描かれた当時に設置された環境を想像することが大切なんですね!

確かに美術館で作品単体をじっくりと鑑賞するのも楽しいですが、周囲の装飾品なども含めた雰囲気をイメージすると、新しい側面を発見できるかも

BuzzFeedは投稿者の壺屋めりさんに話を聞きました

子どもの頃から、画家や彫刻家に関する印象的な逸話に興味があったという壺屋さん。

大学の美術史の授業で、芸術家のおもしろエピソードが出てくるのがルネサンスの時代にあたると知り、ルネサンス美術史の道に進みました。

ーー絵画を当時の設置場所を意識して鑑賞することはなぜ大切なのですか?

現在のわたしたちが美術作品を見ようと思ったら、たいてい美術館やギャラリーに行くかと思います。

ですが、美術館というシステムは18世紀ごろに整備されたものなので、それ以前に制作された作品は、今のような環境で見られることはまったく想定されていなかったのです。

美術館のない時代に制作された作品は、置かれる場所の周りにあるほかの美術作品や調度品、窓から入る光、部屋の用途、見る人が立つ位置など、美術館に移植できないさまざまな要素を考慮して制作されています。

ただし、だからといって美術館での鑑賞がダメなわけではありません。

異なる環境で鑑賞することで、暗い教会のなかでは見えてこなかった細かな描き込みや、画家が使っていたテクニックをより詳細に見ることができます。

現代の人は、当時の環境を考えて鑑賞することもできるし、美術館でじっくり作品に向き合うこともできるため、当時の倍、作品を楽しむことができてお得です。

たとえば...

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DeAgostini / Getty Images カラバッジョ「聖マタイの召命」

画面右側から差し込む一筋の光が印象的なこちらの作品。

絵画の光源の位置と窓の方向がぴったり...!

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Lucas Schifres / Getty Images サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会のコンタレッリ礼拝堂

この絵が設置されているのは礼拝堂の側面で、必然的に鑑賞者は絵を斜めから見ることになります。

「美術館で明るい照明のもと正面から絵を見るのとはかなりちがっているはず」と壺屋さんは語ります。

ーー今回のイラストで描かれている絵画は実在するものですか?

15世紀後半から16世紀初頭に活躍したフィリッピーノ・リッピという画家が描いたものです。

今でもローマのサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ聖堂内カラーファ礼拝堂で見ることができます。

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Mondadori Portfolio via Getty Images フィリッピーノ・リッピ「受胎告知」

大天使ガブリエルが聖母マリアのもとにやってきて、彼女が神の子を身ごもったことを伝える場面です。

周りを見れば壮観...!

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Mondadori Portfolio via Getty Images フィリッピーノ・リッピ「受胎告知」「聖母の被昇天」

「受胎告知」の周りに描かれているのは「聖母の被昇天」。

マリアが亡くなった後、神の審判を経ることなくストレートに天国へ召された場面をあらわしています。

中央は独立した祭壇画風になっていますが、じつはすべての部分が壁画です。

なので、実際にはこの中央部分だけを美術館で見ることはできません。

しかし、15~16世紀の礼拝堂はこのように部分部分が協働して一つのテーマをあらわしていることが多く、その具体例として分かりやすいと思い選びました。

ーー美術鑑賞が楽しくなりそうなことが他にあれば教えてください。

伝えたいこととしては、近代以前の作品を見るときには、作品のもともとの用途を考えると見えてくるものが違ってくるということです。

もう1つ、美術館で作品を鑑賞するときに考えると楽しいことは、その作品がどのようなルートで美術館に来たのかを意識することですね。

美術館に来る前は誰のコレクションだったのか、美術館はいつこの作品を購入したのか、などなど。

そういったことも作品の解説パネルや図録等に書いてあるので、調べてみると面白いです。

ーー美術館に行くときに意識していることや、おすすめの鑑賞方法はありますか?

事前に知識があると楽しいとはいいますが、美術作品にはそれぞれ個別の背景があります。

展示されているすべての作品について知識を持っておくのは不可能なので、気になる作品があったら図録を確認するようにしています。

とくに企画展の場合は展示室に図録の見本が置いてあることが多いので、休憩がてら読むと楽しいです。

ーーツイートに対する大きな反響をどのように受け止めていますか?

今までにないほどの反響で驚いているのですが、Twitterでの反応を見てみると「日本美術でも同じ」とか「クラシック音楽も同じ」とか美術以外の事象について書いている人も多かったです。

「もともとの環境が現在とは異なる」というのはあらゆる文化について言えるポイントなのかもしれないな、と勉強になりました。

普遍的な要素があったので反響も大きかったのだろうと思います。

壺屋めりさんは、東京大学経済学研究科特任研究員も務めるイタリア・ルネサンス美術史研究者。

ルネサンスにおける美術史の語り方と芸術家のイメージ形成について研究しています。

今回のイラストは、10月に発売される『みるみるわかる「西洋絵画の見方」』(小学館)に掲載される予定です。

ルネサンス絵画・西洋絵画に興味を持った方は、前著『ルネサンスの世渡り術』(芸術新聞社)も併せてチェックしてみてくださいね

Wakana Yamashita

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