推しが好きすぎて、家政婦になりすますヤバい女の行く末は?「ミワさんなりすます」

推しが好きすぎて、家政婦になりすますヤバい女の行く末は?「ミワさんなりすます」

  • mi-mollet(ミモレ)
  • 更新日:2022/08/06

毎日仕事や生活に追われ、疲弊している人たちが多い現代社会。そんな中、我を忘れて夢中になれるものや、推しがあれば頑張れる! なんてことはないでしょうか? とはいえ、それはリアルじゃないからこそ、安心して没頭できるという一面もあります。ビッグコミックオリジナル(小学館)連載中の『ミワさんなりすます』の主人公・久保田ミワもそんな一人。周囲から引かれるほどの映画マニアで、幼い頃から国際的俳優・八海崇(やつみたかし)の大ファン。ところが偶然の重なりで、彼の邸宅の家政婦として働くことになり……。スリリングで登場人物はみんな大真面目なのに、どこかシュールで笑えてしまう。サスペンス、ロマンス、ギャグなどさまざまな要素が複雑に絡み合った作品です。

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『ミワさんなりすます』(1) (ビッグコミックススペシャル)

気を遣いすぎでオタク気質のアラサー女の心の支えとは。

レンタルDVDショップのアルバイトとして働く久保田ミワ(29)。大好きな映画に囲まれた仕事に携わってはいるものの、アラサーで独身、高卒でキャリアなし。周囲に気を遣いすぎる性格が災いして、器用にやり過ごしたり、合わせたりすることもできず、パッとしない人生を過ごしてきました。

ある日、レンタルDVDショップでクレーマーの客から、借りたDVDの映画に「ブラピが出てなかったのよ!!」と難癖を付けられたミワ。映画マニアのミワは瞬時にブラピがカメオ出演していた場面を客に見せ、合わせておすすめの映画を大量に提示したところ、かえって客を怒らせてしまい、店長からはクビを言い渡されてしまいました。真面目というか、あまりにも不器用すぎて不憫……。

自分でも生きづらさを自覚していましたが、そんなミワの心の支えは映画。年間鑑賞本数1520本(1日4本以上観ていることに!?)で、映画を観ている時だけは現実逃避でき、鑑賞しながらメモを取るほどのマニアぶり。中でも、彼女が幼少期から追いかけている“激推し”が、国際派俳優の八海崇(54)でした。ただのファンや敬愛を通り越して、「愛している」と言い切るほど。出演作のセリフや彼の生き様など、あらゆることがミワの人生の支えになっていました。

激推し俳優宅の家政婦求人情報を発見!

八海さまの映画を繰り返し観るだけでなく、ネットでの情報収集も日課となっているミワ。本名や住所もリサーチ済のミワは、八海の自宅での家政婦募集中の求人情報を見つけてしまいます。ところが、応募資格は大卒でTOEIC800点以上、整理収納アドバイザーやら栄養士やらとありとあらゆる資格が列挙され、トドメに「ファンNG」の文字が。高卒で英検4級、ペーパードライバーのミワには応募する資格すらありません。しかし、ミワはせめて採用される人を見てみたくて、つい八海邸に足を運んでしまいました。

曲がり角に隠れて様子を伺っていると、道の向こう側から一人の女性が歩いてきました。あの人がTOEIC800点以上でさまざまな資格を持つスーパー家政婦か……、と眺めていたその時、彼女はミワの目の前で車に撥ね飛ばされてしまったのです。救急車を呼んで見送ったところに、八海邸の大きな門が開きます。そして、中から出てきた女性に「あなた、家政婦の美羽さくらさんね」と、勘違いされてしまいます。

ここでしれっと「はい」と言えば、激推しである八海さまの家政婦になれる。しかし、学歴や英語力、保有資格ゼロのミワが家政婦になりすましたところで、バレる可能性は高いわけで、あまりにもリスクが大きすぎる。そう逡巡しているミワの脳裏に浮かんだのは、かつて見た八海の映画のセリフ、
「でも やるんだよ。」

こうしてミワはなりすましの家政婦になったのです。

偽って推しのそばにいることは、果たして役得なのか?

推しのプライベートに近づけるなんて役得! と思うのは甘い、甘すぎる! ミワは偽って家政婦になりすましているのだから犯罪的行為であり、バレたらただでは済みません。ミワ自身も常に罪悪感を覚えていて、仕事をしていても、家に帰っても薄氷を踏む思いに苛まれ、心安らぐことはありません。いちファンとしても、目の前に推しがいるからといって喜ぶことも叫ぶこともできないですし、相手のことを好きすぎるとうれしいを通り越してどうしていいかわからくなるはず。そもそも家政婦という立場上、感情を露わにすることはできません。むしろ何かの苦行では?

案の定、ミワは勤務初日から大失態をしでかします。自分は本物の家政婦ではないことを打ち明けようともしますが、それもタイミングを逸してしまいます。終始ハラハラさせられっぱなしなのですが、一方で、神と崇める八海さまと言葉を交わす機会もあり、ミワは彼の海のように全てを包み込む優しさに触れ、ますます心惹かれていきます。

また、多くの人にドン引きされていた映画オタクぶりがいい方向に作用して、八海はミワに興味を持ち始めます。そりゃとある映画の「あのシーンは?」と言われて、即座に「56分24秒あたりでは……」なんて答えられる人はそうそういません。

ミワは不器用さや、偏執的な映画愛ゆえに生きづらさを感じていましたが、29歳にしてはじめて、神のように崇拝する八海が彼女をそっと肯定してくれたのだから、そりゃ、なりすまし家政婦を辞め難くなるはずです。

人生の全てを映画と八海さまに捧げてきたからこその天の恵みなのか、もしくは破滅へのカウントダウンなのか。毎話、ミワの激揺れな心情を追っていくうちに、自然とミワを応援したくなりますし、彼女が最終的には報われてほしいと願わずにはいられなくなります。

7月29日に発売されたばかりの4巻では、まさかの激推しとの銀座デート!? という夢のような展開が待ち構えています。そこまでの経緯はぜひ1〜3巻をチェックして。そして4巻は終始ハラハラさせられっぱなしで心臓バクバクが止まりません。今回、2週間限定で1巻まるまる試し読みができるので、今すぐ読むべし! 本作の“沼”にまんまとハマって抜け出せなくなるはず。

作者プロフィール
青木U平
東京都生まれ。
連載デビュー作『フリンジマン』が2017年、実写ドラマ化。
ほか著作に『マンガに、編集って必要ですか?』『服なんて、どうでもいいと思ってた。』『獅子上司』など。

©青木U平 / 小学館「ビッグコミックオリジナル」連載中

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吉川 明子

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