「国民目線で物事を考えて」菅義偉首相の訓示全文 国家公務員合同初任研修

「国民目線で物事を考えて」菅義偉首相の訓示全文 国家公務員合同初任研修

  • 産経ニュース
  • 更新日:2021/04/07

菅義偉首相は7日、オンラインで開かれた国家公務員合同初任研修でビデオメッセージを通じて訓示した。訓示の全文は次の通り。

内閣総理大臣の菅義偉です。

新型コロナという国難のさなか、国家と国民のために尽くしたいという高い志と使命感を持ち、国家公務員の道を自ら選んだ皆さんを、心から歓迎します。

本日は、その第一歩を踏み出した皆さんへの期待と激励を込めて、一言申し上げます。

まず皆さんには、国民全体の奉仕者である、という強い自覚を持ち、常に、国民目線で物事を考えてほしいと思います。

私自身、政治を志して以来、幅広い声に耳を傾け、「国民から見て当たり前のこと」は何であるかを常に見極めながら、政策を考え、実行してきました。

皆さんにも、国家と国民のために何をなすべきか、所属する省庁の枠を越えて、常に広い視野を持って、考えてもらいたいと思います。

例えば、気候変動問題は行政の縦割りによって、膠着状態が続いている最たる例です。この地球規模の課題において、国際社会をリードしていくためには、「気候変動への対応は経済の制約になる」という古い発想を転換し、関係省庁が一体となって、取り組んでいかなければなりません。

また、コロナ禍でデジタル化の遅れが明らかとなりました。まさに今、取り組みを進めなければ、日本は変わることができません。政府においても、デジタル化と業務の効率化を通じて働き方改革を進めています。皆さんの新鮮な感覚で業務を見て、気づきの点を積極的に提案してください。無駄のない、やりがいのある働き方を実現することは、より質の高い成果をもたらし、国民の貢献につながります。

皆さんは各省庁の個別の立場に縛られることなく、常に国民のためになることは何かを考え、無用な縦割りを打ち破り、スピード感をもって政策を実現することを目指してください。

その一方で、国家公務員倫理法違反など国民の信頼を損なう事案が発生したことは、深く反省しなければならないと考えています。行政にとって、国民からの信頼は不可欠です。皆さんはこれから、様々な権限をゆだねられることになりますが、それは自分個人の力ではなく、国民から託されたものであることを決して忘れてはなりません。常に謙虚に己を律しながら、国民全体の奉仕者として職務に当たってもらいたいと思います。

皆さんが国家公務員としての道を歩んでいく中で、ぜひ身につけてもらいたいのが、高い専門性です。国家公務員は、ともすればゼネラリストと見られがちですが、目まぐるしく変化する現代社会においては、偏りのない広い視野を持ちながら、専門分野についても国内外から最新の情報を得て、知見を深めることが求められます。

皆さんの先輩方には、その道の専門家として国内外の実情に精通している方が数多くいます。私自身、その知見に助けられながら、様々な政策を実現してきました。

まずは最初に配属された場所で真剣に仕事に取組み、「この仕事であれば自分が一番よくわかっている。誰にも負けない」と言えるようになることを目指してください。過去の経緯をひもとき、現場や関係者の意見をしっかりと聴くなどして、今、国民から求められてることは何かを自分自身の目で確かめ、考え抜き、実行する。そうしてプロとしての自信を持てるようになってもらいたいと思います。

将来、皆さんが組織の中枢で活躍しているころを想像してみてください。次々現れる未知の課題に対応するため、奮闘している姿を思い描いた人もいれば、まだよくわからないという人もいるかもしれません。

20年後、30年後の日本、そして世界の姿を正確に予測することは誰にもできません。昨今の自然災害の激甚化や新型コロナの世界的な感染拡大を、30年前に具体的に予測することは出来ませんでした。

今後も、想定外の課題が目の前に現れ、対応を迫られることは間違いありません。そして近い将来、組織の中核となって対応するのは、まさに皆さんです。そのため、皆さんには専門的知識に加えて、世の中の様々な事柄に興味と関心を持ち、新しいことに進んで挑戦して自己研鑽に励み、見識を広めていただきたいと思います。単に前例を踏襲するだけでは、局面の打開はできません。どんな事態にも斬新なアイデアをもって対処できるよう、日々、努力を重ねてください。

私の座右の銘は「意志あれば道あり」です。どんなに困難な局面でも、あきらめずに強い意志を持って臨めば、必ず道は開けてきます。また、米国のコリン・パウエル元国務長官は「何事も思うほどに悪くはない。翌朝には状況は改善しているはずだ」と述べています。厳しい状況に直面した時、私は、この言葉を思い返しながら職務に当たりました。

今、皆さんの心の中には、期待と不安が入り混じっていることと思いますが、わが国と国民の未来は皆さんにかかっているのです。新たな課題や困難に直面したときは、これらの言葉を思い出して、あきらめることなく立ち向かっていただきたい。私を含め、霞が関の職員全員が皆さんを待っていました。皆さんの大いなる活躍を心から期待しています。これから一緒に、頑張っていきましょう。

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出邸する菅義偉首相=7日午前、首相官邸(春名中撮影)

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