筒美京平の好きな歌“総選挙” 読者が選んだ1位は?

筒美京平の好きな歌“総選挙” 読者が選んだ1位は?

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  • 更新日:2021/05/04
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筒美京平さん (c)朝日新聞社

男の子女の子だったあのころから、あなたの旋律に魅せられて、どれほどWAKUWAKUさせてもらったことだろう。もはや時代遅れの恋人たちとなっても、曲を聴けば思い出がよみがえり、Romantic(ロマンチック)が止まらない。昭和から令和に至るまで、日本歌謡界のトップランナーであり続けた筒美京平さん。希代の名作曲家にして編曲家が亡くなって半年余り。コロナ禍で、そのサウンドが元気を与えてくれる。ありがとう筒美さん、そしてまた逢う日まで。

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偉大な作曲家をしのんで4月17、18日、東京国際フォーラムで「~筒美京平 オフィシャル・トリビュート・プロジェクト~ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 inコンサート」が開かれた。

コンサートは、筒美さんの“盟友”とでも言うべき作曲家、編曲家の船山基紀率いるバンドが演奏。野口五郎、郷ひろみ、中村雅俊、稲垣潤一、斉藤由貴、松本伊代、早見優ら豪華な出演者たちが舞台を彩った。

公演に先駆け、出演者たちが発表したコメントにも熱がこもっていた。

「このイベントを楽しみに筒美京平ワールドを聴きに来られた人たち、そしてそれを天国でお聞きになっている京平先生に、しっかりと届けたいと思っています」(郷ひろみ)

「『卒業』『初戀』『情熱』デビューから、本当に美しく多彩なメロディをいただきました。全て私にとってかけがえのない宝物です」(斉藤由貴)

「僕の声のレンジ(F)をどう生かすか計算ずくで出来上がったドラマティック・レイン。その手法は、誰も真似できないオンリーワンの領域」(稲垣潤一)

昭和歌謡などを研究しているレコードコレクターの山下めぐさん(20)は、初日のコンサートを訪れた。

「筒美さんの楽曲とともに歌手活動を歩まれてこられた方々が、一堂に会する機会は近年なかったと思います。いま行かないと後悔すると思い、参加を決めました。最大の決定打は筒美さんとともに、多くの楽曲を手がけてこられた船山基紀さんが、歌謡曲を語る上で欠かせないビッグバンド形式でタクトを振られると知ったからです」

タイトルのとおり、まさに偉大な作曲家をたたえる内容で、見どころも数多かった。

「一般的な単独コンサートでは、アレンジを加えたバージョンを披露されることが多いですが、今回はほとんどオリジナルアレンジに寄せて演奏されていました。逆に、新鮮味があってうれしかったです。一方で、松本伊代さん、早見優さん、森口博子さん、武藤彩未さんの4人でカバーされていた『17才』は、南沙織さんバージョンと森高千里さんバージョン、それぞれのアレンジが融合されていて斬新に感じました。心を揺さぶられ、思わず涙してしまう場面もいくつかありました」

初日には、アンコールで披露された太田裕美さんのピアノ弾き語りによる「雨だれ」もあり、多くの来場者に感動を与えたという。

筒美さんはシングル売上枚数7600万枚を誇り、国内の作曲家では「歴代1位」の記録を持つ。

大学卒業後はいったん、日本グラモフォン(現ユニバーサルミュージック)に入社。洋楽担当ディレクターとして勤務するが、すぎやまこういちに作編曲を学び、1966年に「黄色いレモン」で作曲家としてデビューを果たした。

68年の「ブルー・ライト・ヨコハマ」(いしだあゆみ)、71年の「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)といった国民的ヒット曲を世に送り出し、昭和以降の歌謡界にその名を刻んできた。

“ヒット・メーカー”であり続け、長く日本人の心をとらえてはなさなかった筒美サウンド。その音楽の根底には、徹底した洋楽志向があった。

学生時代にジャズピアニストとして活躍していた筒美さんは40年代以降の洋楽、とりわけジャズ、リズム&ブルース、ソウルといったダンスミュージックへの造詣(ぞうけい)が深かった。その作風は“ヨナ抜き音階”や“表拍”のリズム感にとらわれた旧来の歌謡曲とは、明らかに一線を画していた。

時代が筒美さんをつくったのか、筒美さんが時代をつくったのかはわからない。それはともかく、斬新で刺激的なメロディーは当時、若者を中心に絶大な支持を集め、現代のJ‐POPの“礎”となったのだ。

本誌編集部は、コンサートに合わせて4月9~18日、独自アンケート「好きな筒美京平さんの曲を教えてください」を実施した。本誌記事などを配信するオンライン「AERA dot.」を通じて呼びかけたところ、10~70代の1660人が回答を寄せてくれた。最大三つの歌を選べる投票形式で、総数は3021にのぼった。

「3曲に絞るのは難しかった」(60代女性)というような声も多かった。

得票数1位は「仮面舞踏会」(少年隊)で600票近くを獲得。次いで2位「よろしく哀愁」、3位「男の子女の子」と郷ひろみのナンバーが支持を集めた。4位は「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)、僅差(きんさ)の5位だったのが「勇気があれば」(西城秀樹)。6位「木綿のハンカチーフ」(太田裕美)の120票までが3ケタ得票となった。

東京都在住の50代女性は「仮面舞踏会」「君だけに」と、少年隊の歌に投票した。

「筒美さんの曲を聴くと、仕事帰りにお酒を飲み、仲間たちと楽しい時間を過ごしていた青春のあの頃の記憶がよみがえります。とくに、ファンなので少年隊に提供された曲が印象に残っていますが、ほかにも『木綿のハンカチーフ』などは子供時代から慣れ親しんだ曲。亡くなったことは残念ですが、これからも筒美さんの音楽は長く愛されていくと思います」

埼玉県在住の50代女性は、長年の郷ひろみファン。「よろしく哀愁」「男の子女の子」「誘われてフラメンコ」に入れた。

「選んだ3曲は作詞もすごくよくて、それでいて雰囲気がそれぞれ違う。『男の子女の子』は当時16歳のあどけないひろみさんであってこその歌。いまも男性アイドルは多くいますが、あの歌が似合うアイドルはいない。『この人だからこの曲を』というように、歌手の持ち味を十分に引き出したのが京平さんサウンドだったと思います。シンガーの素地や魅力をどんどん引き出してくれた京平先生、ありがとう!と言いたいです」

「また逢う日まで」も根強い人気があった。「老若男女が歌える、50年たっても色あせない名曲中の名曲」だと語ってくれたのは、横浜市在住の女性(75)だ。

ラジオからふと聴こえてきた英語の発音の美しい日本人歌手に魅了され、後にそれが尾崎だと知った。「また逢う日まで」の発売年にはクリスマスディナーショーに足を運ぶなど、すっかりファンになったという。

「やっぱり、イントロの“ドン”がないとだめ。メロディーとあの筒美さんのアレンジ、尾崎さんのダイナミズムがまさに三位一体となった曲。いろんな人がカバーしてもあの歌は尾崎さんでこそ。レジェンドだと思っている」

また、こんな声もあった。

「病気で落ち込んでいた頃、元気をもらった」(70代男性)

(中将タカノリ/本誌・宮崎健)

>>【後編/椎名林檎や野宮真貴もカバー、サザエさんも「筒美京平作品」 好きな歌トップ10は?】へ続く

※週刊朝日  2021年5月7-14日合併号

中将タカノリ,宮崎健

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