「自分らしくいられるかどうか」 YouTubeクリエイター・とうあが明かす、個性を伝える方法と発信への想い

「自分らしくいられるかどうか」 YouTubeクリエイター・とうあが明かす、個性を伝える方法と発信への想い

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  • 更新日:2023/03/19
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とうあ(写真=MANAMI)

「おはようでやんす」という独特の挨拶が2020年と2021年に若者トレンドワードに選ばれ、10代を中心に人気を誇るクリエイター・とうあ。性別を超えたビジュアルと固定観念にとらわれない発想が反響をよび、YouTubeの個人チャンネルは開設からわずか1年4か月で100万人を突破するなど、目覚ましい活躍を見せている。

そんなとうあが昨年11月に二十歳を迎え、1月24日には二十歳を記念した自身初となるフォトブック『何者』(宝島社)を発売。今回はとうあに、フォトブックの制作秘話とYouTubeでの活動について話を聞いた。

参考:【写真】とうあインタビュー撮り下ろしカット

ーー『何者』を出版することになった経緯を教えてください。

とうあ:二十歳の記念でなにか形に残るものを作りたいと思って、フォトブックを出そうという、けっこう単純な理由です(笑)。

ーーフォトブックはやりたいことのひとつだったと動画でもおっしゃっていましたが、そのほかにはどのような候補があったんでしょうか?

とうあ:フォトブックを出さずに生誕祭みたいな感じでイベントをするといったものだったり、いろいろ候補があったんです。でもやっぱり形に残るなにかを発信したいという思いで、フォトブックになりましたね。

ーー今回、二十歳にあわせて20スタイルが収められましたが、撮影時に苦労したところを教えてください。

とうあ:20スタイルを3日間で取り終えたんですよ。だからめちゃめちゃハードスケジュールで。朝は早いし夜も遅くまでだし、1日に衣装とメイクを8パターンぐらいチェンジしたので、体力的にけっこうきつかったですね。

ーー企画から撮影まではどれぐらいの期間があったんですか?

とうあ:企画から撮影までは3週間くらい。衝動に突き動かされて制作しました。

ーーこの短期間で20スタイルを考え出したなんて驚きです。

とうあ:もうできないですね(笑)。

ーー今回、衣装選びやメイクなどすべてに関わってるということですが、こういう洋服を着たいとか、こういうメイクをしたいというのはフォトブックの企画が動き始める前からイメージはあったんでしょうか?

とうあ:自分がちょっと非現実っぽい服だったり、人とは違う服を着るのが好きなので、コンセプトに合わせていつもお願いしてるスタイリストさんに「こういう感じで」ってお願いをしました。いろいろ案を持ってきてもらったなかから私が選ぶ形で、意外とスムーズにできました。

ーー『何者』の大きなテーマが「違和感」でしたが、違和感を表現する上で意識したことや心がけたことはありますか?

とうあ:ボーリング上で着物を着たりとか、ゴミ廃棄場で真っ白なドレスを着るとかありえないロケーションで撮影したので、全部ありえないものにしようというか。真逆のもので作っていこうということで、場所選びやコンセプトに沿っているか、相手にどう伝わるかといったことは、めちゃめちゃ考えましたね。

ーー場所はどのように選んだのでしょうか?

とうあ:「こういうところがいい」という案をもらって、探してもらいました。話し合いの方に時間がかかった感じで、アイデアを練る時間が多かった印象です。

ーーフォトブックを見ると、都心から離れたところで撮影したものもありましたね。どこで撮影されたのでしょうか?

とうあ:田舎のような雰囲気の場所でも撮りたかったので、都心から少し離れて郊外に行きました。

ーー20スタイル全部可愛かったです。なかでもギャル姿がすごく衝撃的でした。

とうあ:ありがとうございます。ギャルは私もずっとやりたくて。

ーーギャルメイクはご自分でされたのでしょうか?

とうあ:メイクさんにお願いしてやってもらいましたね。2時間ぐらいかかって、スタッフさんにめっちゃ急かされました(笑)。

ーー出来上がったフォトブックを実際に手にした時の気持ちはいかがでしたか?

とうあ:達成感というか、やっと形になったなというか。動き出したのは撮影の3週間前だったんですけど、もうちょっと前から考えていて、今回は常に考える時間が多かった印象です。それに超ハードスケジュールで20パターンを撮影したので、やっと終わったという感じですね。一生できないというか、このスケジュールで「ようできたな」と自分でも思います。

ーー撮影期間中の睡眠時間はどれぐらいだったんでしょうか?

とうあ:1日2時間から3時間で3日間とか。もう限界で、自分でもできたことにびっくりしています。

ーー最初読ませていただいたときに、文字の少なさに驚きました。今回はあえて文字を少なくした感じでしょうか?

とうあ:2年ぐらい前に出させてもらったエッセイ本がほとんど文字ばかりだったので、今回はあえて文字じゃなくて、写真で伝わるものがあればいいなということで、写真メインで作らせてもらいました。

ーー20歳のお誕生日の前日にミュージックビデオ『若者(ヤング)』を発表されましたが、『若者(ヤング)』と『何者』をリンクさせたかたちですよね?

とうあ:そうですね。『若者(ヤング)』を誕生日の前日、10代最後の日にリリースして。10代ということで、若者目線で10代だからこそうたえる歌というか、世の中への葛藤を詰め込んだ曲になっています。

私の中で20歳って大人への階段というか、大人になるスタートラインだと思っていたので、「20歳になって私が何者になっていくのか」というのをリンクさせて作りました。

ーー『若者(ヤング)』と『何者』と名前がリンクしているのがすごく印象的でした。

とうあ:私の思いつきでリンクさせたいなと思って。それこそ次の日にこのフォトブックの発表だったので、リンクさせたことも「かっこいい」とけっこう好評でしたね。

ーーさまざまなことを経験されていることをみると、まだ20歳ということに驚きます。

とうあ:自分でもびっくりです(笑)。

ーー『何者』のなかで、読んでる方にいろんなことを感じとってもらいたいと書かれていましたが、見どころはどこでしょう?

とうあ:圧倒的ボリューム感と私にしか出せない世界観。友達で写真集とか出している子もいるんですけど、こういう作品っぽいアーティスト寄りのフォトブックはなかなかないと思うし、本当にすべてのアイデアを出しきったってぐらいいろんなことを詰め込んだので、そこは見どころかな。1回見ただけじゃ物足りないというか、何度も見ちゃうようなフォトブックになったかなと思いますね。

■YouTubeでの活動について

ーーとうあさんは「ウチら3姉妹」でのグループでの活動がYouTuberとして1歩を踏み出すきっかけだったと思いますが、個人チャンネルを開設したきっかけは何だったのでしょうか?

とうあ:東京に上京してきたときに1本目を投稿したので、今年の3月で2年になります。個人チャンネルは発信したいことを1人で決められるし、メンバーは学校に通ってるけど私は学校に通わずにずっとこの仕事をしていたので、「専念しよう」じゃないけどより自分のことを深く発信できるように始めたのがきっかけですね。

ーーなるほど。今年の3月で個人チャンネルの開設から2年というところですが、去年の7月に登録者数100万人を突破されましたよね。1年4か月という短期間での大台突破でしたが、この短期間で100万人に到達した理由はなんだと思いますか?

とうあ:自分にしか作れないコンテンツがあったり、私らしいメイクや服だったり、似ている人がいないのは大きいかなと思っています。上京してきてクリエイターの友達がどんどん増えてきて、コラボだったりユニットでの活動だったり、そういうことが重なって100万人いけたんじゃないかなと思いますね。でも、本当に早かったですね。

ーー何年もかけて100万人に到達する方が多いイメージなので、本当に早かったですよね。

とうあ:そうですね。逆に怖いですけどね、「まだ20歳か」という感じなので。ここからどうなるかわかんないから、10年後でも「まだ30歳か」みたいなことを考えていると思うんですけど。

ーーいろいろなコラボなどがあって100万人達成ということでしたが、印象に残ってるコラボ相手はいらっしゃいますか?

とうあ:ほかのYouTuberさんはコラボするときに「コラボです」とハッキリいうんですけど、私は友達の延長線上で一緒に撮っている感じで。プライベートで遊んでるときにちょっとカメラを回そうと思って撮影したものを投稿しているから、私自身はコラボというのがあんまり得意でもないし、そんなにウケないんですよ。友達の延長線上で雑談している方がすごい好評で。

それこそ中町綾ちゃんやふくれなは初めて会ったのはコラボの撮影なんですけど、どんどんプライベートで仲良くなって、今では「撮影しよう」と言って撮影するよりも、一緒に遊んだり夜ご飯を食べながらパっと撮影することが多いです。そういうところでも飾らない、素を見せるのがチャンネルの色かなと思いますね。

ーー面白いですね。旅行動画も公開されていますが、とうあさんのコラボはほかのYouTuberさんたちとちょっと違う感じがしますよね。

とうあ:コラボというよりは本当に友達との時間を写した感じで、こういう方が私も楽だし、変に気張らない。

ーーリアルなVlogという感じですね。それが視聴者にも刺さっているのかもしれませんね。とうあさんの動画といえば急にドアップになるなど編集の仕方に特徴があると思っています。撮影や編集でこだわっていることや大切にしていることはありますか?

とうあ:個人チャンネルを始めた当初は編集も自分でやっていたんですけど、今は友達2人が編集者として編集を担当してくれています。カットの仕方とBGM、テロップの入れ方とか、基本の部分は最初に私が教えたんですが、2人にお願いするうちに2人とも編集が楽しくなっちゃって。急に画面の色が変わったり、それこそアップになったり音声が変わる編集は、私もやり方を知らないんですよ。もともと私はめっちゃシンプルな編集だったんですけど、2人が自分で試行錯誤して、よりいい感じにしてくれているんです。

でも2人とも編集の仕方が似ているようで似ていなくて、だからこそ飽きないのも大きなポイントだと思っています。私はそんなに編集にこだわりがないから、「もう好きにして」という感じで素材を渡しているのですが、それもいい連携になっていますね。

ーーメイク動やトーク動画は基本的にカメラを回しっぱなしで撮影していると思いますが、大体どのくらいの時間撮影しているんでしょうか?

とうあ:トーク動画のときは大体30分~40分で、編集して1本15分ぐらいになります。メイク動画はただでさえメイクの時間が長いのに、動画で喋るとなると2時間半とかは回しっぱなしで、けっこう体力がきついですね。しかも全世界に向けて発信するので、盛れていなかったり、ちょっと違うなと思うとすぐボツにしちゃうんです。私は「メイクで変わる」って謳っているので、変わっていないと意味がないというか、そこはストイックに自分でもやっているかなと思います。

ーー日本だけではなく、海外を見据えて動画を作っているということだと思いますが、海外の人にもウケそうなメイクにするなど、意識しているのでしょうか?

とうあ:海外寄りにしようとは思っていなくて、自分の好きなことをやっているだけなんですけど、韓国とかアメリカの方が見てくれたりもしています。でも海外のカルチャーが大好きなので、将来的に海外で何かできたらいいなというのはちょっと頭の片隅にあります。

ーー普段の生活からすごく個性を大事にされていますが、いろんなタイプのYouTuberさんがいるなかでどうやって個性を出しているのでしょうか?

とうあ:飾らないようにはしているかな。もともと学生時代から目立ちたがり屋だし、学校の中でも目立っていたタイプで、それが自分の素なんですよね。“何もしない”ということをあえて潰さないようにするというか、飾らないし、裏表も作らない。多分飾っていないのにこのキャラなのがすごくインパクトがあると思う。何かを選ぶときやお仕事をするときにも、「自分らしくいられるかどうか」「好きか嫌いか」というのをすごく大事にしているので、そういうところから自分を偽らないようになっているのかなと思っています。

ーー中学生の頃にマッシュルームカットをしていたっていう話も今回のフォトブックでも出ていましたが、その頃からすごく自分を大切にしている方だなという印象を受けました。

とうあ:昔から何かと派手でしたね。

ーー20歳にしていろいろな経験をされていますが、今後成し遂げたいこととかYouTubeでやりたい企画はありますか?

とうあ:ほんとにまだ20歳でいろんなことやりすぎていて、自分でもびっくり。私のチャンネルは雑談だったり家事の1コマを写す感じなので、あんまり企画っぽいコンテンツはないけど、YouTubeも続けつつ、ずっと昔からの目標であるテレビのお仕事にどんどんシフトチェンジしていけたらなと思っています。

ーーテレビに進出したい理由は何かあるのでしょうか?

とうあ:私がテレビにこだわる理由って、視聴者層なんです。YouTubeの視聴者層は狭いけど、テレビの視聴者層はYouTubeとまったく違くてめちゃめちゃ広い。私は伝えたいことがあって発信をしているので、それを広い層に広げていきたいというのがすごくある。でも、YouTubeでもテレビでも何かを発信するということは続けていきたいですね。

(取材・文=せきぐちゆみ)

せきぐちゆみ

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