ライバルとは次元の違う走り、新型日産ノートは「小さな高級車」

ライバルとは次元の違う走り、新型日産ノートは「小さな高級車」

  • MONEY PLUS | くらしの経済メディア
  • 更新日:2021/02/22

全車独自のハイブリッドシステムである「e-POWER」となってフルモデルチェンジを行った3代目日産新型ノート。発売1ヶ月で目標の約2.5倍の受注が入っていますが、待望の試乗チャンスに恵まれました。その出来の良さだけでなく、難しいと言われるグレード&オプション選びに関しても一発解答します。

【写真24枚】FFモデルの気になる内装は

全てが新しい3代目

2016年11月のマイナーチェンジで「e-POWER」と呼ばれる新しいハイブリッドシステムを搭載後、一気に販売が加速し、2017~2019年には3年連続(暦年)国内でのコンパクトカーセグメントで販売台数No.1となったノートですが、3代目となる新型は大胆にも全てのグレードをこのe-POWERのみの設定としました。

これ自体は日産の電動化への決意の表れとして理解できますし、実際他社との差別化も十分できるはずです。一方でこれまで法人需要なども含め、低価格のコンパクトカーに乗りたいと考えていた顧客には同社ではマーチしか実質選択肢が残っておらず、今後の展開にも注目が集まっています。

さて、新型ノートですが、やっと試乗する機会に恵まれました。2020年11月24日にまず最初にFFモデルを発表、続いて同年12月23日に4WDモデルが追加されました。

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試乗車は最上位グレードのX(FF車)。車両本体価格は218万6800円。4WD車の設定もあります

今回はFF車のみになりますが、実はこの4WDモデル、従来の電動式4WDとは大きく異なり、リア側に50kWという強力なモーターを組み込み制御することで雪道はもちろんですが、一般道でも後輪に強い駆動力をかけられることでコーナリング時や高速道路の追い越し時などでも安定かつ力強い走りを得ることができるとのことでこちらも注目です。

購入すべきグレードはやはり“X”一択の理由

【写真24枚】FFモデルの気になる内装は

試乗前にお伝えしたいのは新型ノートの価格は以下に記しますが、決して低価格ではない、という点にあります。

FF車のラインナップは

F 205万4800円
S 202万9500円

そして最上位グレートの

X 218万6800円

ちなみに4WD車はSとXグレードに設定されますが、こちらは

S FOUR 228万8000円
X FOUR 244万5300円

と両グレードとも25万8500円高くなります。

環境性能に優れ低燃費、さらにe-POWERは搭載するエンジンを「発電のみ」に使うので、タイヤを駆動させるのはモーターのみになります。ピュアEVのリーフ同様にモーター駆動のクルマはアクセルを踏み始めた瞬間に胸のすくような加速感を得られます。旧型でもe-POWERが圧倒的に売れたのもそこに理由があります。

同クラスのライバル車には当然ガソリンエンジン車がラインナップされていますが、ノートはe-POWERのみ。200万円を切るグレードは当然設定されていません。一方で最上位グレードの“X”でも218万6800円とパッと見た目は意外と安い、という印象を受けます。

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第2世代と呼ばれる「e-POWER」。エンジンのかかるタイミングも新たに制御され小型化されています

ただここが非常に難しいのです。日産と言えばADASという先進運転支援システムの領域において「プロパイロット」という高速道路におけるICC(インテリジェントクルーズコントロール)が有名で、リーフに続いて軽自動車のデイズやルークスにも設定されています。

さらにキムタクのCMでおなじみのスカイラインにはその上、つまり同一車線内でハンズオフ(手を離してもクルマが操舵を支援する機能)を搭載した「プロパイロット2.0」もすでに実用化されています。

旧型ノートではこのクラスとしては高性能の部類に入るACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)が搭載されていましたが、当然多くのユーザー、特に高速道路走ることを想定した場合、新型ノートに対しても「プロパイロット」を期待します。

しかし、プロパイロットは前述した最上位グレードである“X”のみに設定、さらにメーカーオプションによりその価格が大きく跳ね上がってしまうのです。

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右側のステアリングリモコンにはプロパイロットやハンズフリー関係のスイッチが配置されます

先にお伝えしておくと、もし読者の方が「いや、絶対高速道路は走らないし、基本的な安全装備が付いていればそれで十分」というのであれば最も低価格の“S”グレードでも良いかもしれません。しかし、今回の新型ノートの“美味しい部分”はやはりこのプロパイロット。ましてや価格が上昇してしまう理由がリーフやデイズからさらに進化した“新機能”を搭載していると聞けばやはり気持ちはグラッと傾くはずです。

プロパイロット自体も大きく進化している

【写真24枚】FFモデルの気になる内装は

スカイラインのようにハンズオフは出来ませんが、プロパイロットは他社のアダプティブ・クルーズ・コントロールと比較しても非常に制御が緻密で高速走行時における疲労軽減や快適性を高めてくれます。実際リーフからスタートした同機能もミニバンのセレナやSUVのキックス、そして前述した軽自動車に搭載される度に制御もアップデートされてきました。

今回のノートに搭載されるプロパイロットにはクルーズ速度を設定した際、専用カーナビ内に組み込まれた地図データからその先のカーブの角度を事前に取得することで自動的に減速するという優れもの、これを日産では「ナビリンク機能」と呼んでいます。

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プロパイロットを始めとする運転支援系の画面表示。ナビ連動の画面も表示できます

前述したプロパイロット2.0にはさらに優れた3D高精度地図が搭載されていましたが、年間使用料金や何よりもシステム自体が高価格なのがネックです。さすがにコンパクトカーであるノートにこのシステムは高くなりすぎですから、見方によっては「2.0よりは簡易型でありながら進化したプロパイロット」と言えます。

また「ナビリンク機能」ばかりがクローズアップされていますが、新たに「制限速度支援機能」も搭載されています。簡単に言うとこの機能をオンにすると、搭載されるカメラが高速道路の速度標識を認識、走行中に制限速度が変わるとそれに合わせて追従する速度を自動で制御するのです。

つまり、80km/hで一度設定すると通常はずっとその速度で走りますが、実際交通の流れが良くなり制限速度が上がってもそのまま走っていたら今度は交通の流れを阻害する可能性があります。昨今では新東名のように速度制限が上がった高速道路もありますのでこの機能は有効です。もちろん、オン/オフも可能ですし、ドライバーがこの制限速度に対して±10km/hの範囲で任意に設定できますからクルマ任せに勝手に走られる心配も軽減されます。

この他にも渋滞時の追従時に車両が完全停止した際にも旧型では約3秒で再発進してしまったのですが、新型では電動パーキングブレーキを活用することで最大30秒間まで再開可能時間を延長する機能も搭載されています。

この他にもコンパクトカーとしては初となるインテリジェントFCW(前方衝突予測警報)やインテリジェントBSI(後速報衝突防止支援システム)など数多くの先進安全装備が用意されているのです。

プロパイロット装着には専用カーナビが必要

【写真24枚】FFモデルの気になる内装は

しかしプロパイロットを始めとするこれらのADAS機能はそれぞれ単独で選ぶことができません。いくつかの種類は設定されていますが、それでも複数の機能を組み合わせる「セットオプション」になります。

特にプロパイロットに関しては前述したナビリンク機能を活用するために専用のカーナビが必要となります。要はナビとセットでなければプロパイロットは装着できないわけです。

実際、今回試乗した“X”においてプロパイロットを選ぶためにはカーナビのほかに前述したFCWやBSI、さらに後退時における車両を検知し警告する「RCTA」やインテリジェントドアミラーやETC2.0なども含めた「全部入り」装備がセットになっています。

その価格は44万2200円!日産の肩を持つわけではありませんが、このカーナビは従来モデルよりかなり進化している点は素晴らしいと思います。実際、9インチの高精細ワイドディスプレイを搭載し、何よりも同社の持つ「Nissan Connect」というテレマティクスサービスを使うための専用通信モジュールも標準装備されます。

これを活用することでナビのプログラムはもちろん、地図の自動更新にも対応、独自の渋滞情報を取得し「最速ルート」で案内する機能やGoogle検索の活用など内容を考えると他の機能も活用するためのコアユニットとしては極めて高性能な部類に入ります。ちなみにこれらのサービスを利用するためにはSOSコールとセットで年間7920円かかりますが、通信料込みなのでコスパは高いです。

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9インチの大画面カーナビはメーカーオプション。プロパイロットとのセット装着が必要です

ただ、冒頭に述べたように新型ノートの「美味しい部分」を味わい尽くすためにもこのオプションは絶対に必要です。つまりノートを購入する際にはまず218万6800円+44万2200円=262万9000円をベース金額として頭の隅に入れて商談したほうが良いでしょう。

さらに今回の試乗車にはヒータ付きドアミラーや前席シートヒーターやステアリングヒーターなどをパックにした「ホットプラスパッケージ」が7万3700円で設定されています。こちらは快適性を向上させるオプションなので好みで選べば良いと思いますが、実際この冬の時期に試乗するとシート&ステアリングヒーターは本当にありがたいです。

そしてこちらも好みになりますが、試乗車には専用アルミホイールや本革シート、LEDヘッドランプなど多くの機能をセットにしたオプションが設定されています。こちらも33万5500円と中々のプライスですが、LEDヘッドライト関係は本革シートなどを抜きにしたメーカーオプションで選ぶこともできますので、もう少し価格を下げることができます。これもディーラーで商談する際に話をすることを忘れないでください。

まさに小さな高級車、その走りは新次元

【写真24枚】FFモデルの気になる内装は

新型ノートを購入する際はどうしてもバイヤーズガイドの部分を最初に考える必要があるので話が長くなってしまいましたが、やはり重要なのはe-POWERによる走りです。

旧型は多くのユーザーからも発電のためのエンジンの音がややうるさい、またいきなり前触れ無くかかるので不思議な気分(違和感がある)という声も多く聞かれましたし、実際筆者もそう感じており、これに関してはセレナでは大分改善されているとはいえ、一種の癖とも言えるものでした。

しかし、ノートの前に新型SUVであるキックスからe-POWERは第2世代に改良されました。細かな部分は省略しますが、前述した欠点を改善するために「極力エンジンをかけずに走る」制御にアップデートしています。また元々ロードノイズが高い路面を走る際にエンジンをかけることでノイズに紛れて充電するという制御も組み込みました。

実際走り始めるととにかく静かであることが体感できます。もちろんエンジンが始動すれば音は伝わってきますが、旧型が「ブーン」と唸るようなエンジン音を上げていたのに対し、新型は足元よりかなり先の方、つまりエンジンの音量や音質自体も抑えられていることがわかります。

右側のステアリングリモコンにはプロパイロットやハンズフリー関係のスイッチが配置されます

今回2回に分けて試乗を行ったのですが、確実に分かったことはとにかく静粛性が高く、それでいてモーターによるスーッと加速する独特の感覚、自分なりの表現で言えば「電気ターボ」というフィーリング、街中はもちろん高速道路への合流や追い越しでもどこまでもスムーズ&パワフルであることは間違いありません。

また新型ノートは先行して発売されたルノー・ルーテシアと同じ最新のCMFと呼ばれるプラットフォームを使っています。クルマの味付け自体はかなり異なりますが、ステアリングの応答性やしっかり感も十分出ていますし、少し乗り心地は固めに感じる時もありますが、コーナリング時のリアサスの接地感が高く、日本車ではありますが、欧州テイストも少し感じるハンドリングの良さを体感できました。

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本革シートはメーカーオプション。このクラスとしては長時間乗っても疲れが少ないです

注目のプロパイロットですが、制御自体はきめ細かく、前走車のキャッチも早く、減速した際のG(重力)も唐突感がなく、全行程をスムーズに走ることができました。但し注目のナビリンク機構ですが効果は体感できましたが、高速道路のコーナーやジャンクションなどはまだまだ自分がプロパイロットをキャンセルして速度を調整したほうが良いという部分も見受けられます。

希望としてはナビリンク機能無しのプロパイロットの設定を行うことでノート自体はもっと売れるはずです。1ヶ月の受注詳細ではナビゲーションシステムの装着率は58%、プロパイロットは41%とのこと。Xグレードは84.2%が選んでいるのでその割には装着率は低めにも感じています。

今回の試乗車は本当にこれ以上付けるオプションが無い位の「全部入り」でしたが、車両価格だけで326万円を超えてしまいました。さすがに「ここまでは付けなくても」という部分もありますが、走り、快適性、安全装備を高い次元でまとめあげた新型ノートは輸入車のプレミアムコンパクトと勝負ができるほどの内容になっています。最後に重要な燃費ですが、高速道路と一般道をほぼ半分づつ合計400km強走って29.2km/LとXのカタログ値である28.4km/L(WLTCモード)を超えました。特に燃費は意識せずにe-POWERの走りを堪能しつつ、プロパイロットや渋滞なども経験しての結果ですから、誰もがこの位の数値が出せるはずです。

(高山正寛)

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