AIはどこまで人の感情が読めるかを考えるEmojify Project。ブラウザゲームを公開

AIはどこまで人の感情が読めるかを考えるEmojify Project。ブラウザゲームを公開

  • Engadget
  • 更新日:2021/04/07
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Alexa Hagerty et al.

いくら最近のAIが高度に進化したと言っても、人の感情をコンピューターが認識するのは至難の業(人どうしでも難しいときがある)と言えるでしょう。専門家曰く、いまある感情認識AIの能力には根本的な欠陥があるのだとか。ケンブリッジ大学の研究者が開発したブラウザーゲームは、その理由を示すために作られました。

URLemojify.infoにアクセスすると表示されるそのゲームは、PCのウェブカメラを通じて利用者の表情をとらえることで、そこに潜む感情をコンピューターが解釈しようとします。AIが識別するのは喜び、悲しみ、恐れ、驚き、嫌悪、怒りという6つの感情。

ところが、このemojifyなるAIはなかなか正確な識別ができず、ユーザーが必死に表情を作ってみても頓珍漢な感情を認識して返してきます。人によっては、簡単に実際の感情と異なる表情を認識させてAIをだませることに気づくかもしれません。実はこれが、このAIの作られた目的だったりします。

表情から感情を推測するAIは、基本的に正直に作られており、相手が笑顔なら幸福、しかめ面なら怒りを感じていると認識します。しかし、人の表情というのはそんなに単純なものではありません。怒りを抑えながら平静を装う経験は誰もがしたことがあるはずです。米国心理学会(APA)が行った2019年の調査では、人々の感情はその表情を見たまんまでは把握できないとの報告がされていました。このブラウザーゲームでも人は6つの感情をつぎつぎと表情に出す必要がありますが、実際のところその内心はその6つの感情には符合していません。

別のミニゲームでは、ユーザーはウィンクとまばたきの違いを明示するように求められます。しかし実際のところ機械が読み取るのは目を閉じただけだったり目にゴミが入って瞼を閉じただけである可能性もあり、その違いを識別させるのが非常に難しいことがわかります。人の場合はそれでも、無意識のうちに相手の経歴やしぐさ、人となりからにじみ出る感情や性格を感じ取れることがあります(もちろん読み違いもあります)が、表情の認識技術だけではまだそこまではできません。

にもかかわらず、現在のAI界隈は顔認識の重要な識別要素のひとつとして人の表情から感情を読み取ろうとしていると、研究チームを率いるアレクサ・ハガティ氏は述べています。その応用先はたとえば採用面接で雇用可能性スコアを弾き出すために使われたり、テロリスト予備軍と見られる人物の発見、職業ドライバーがきちんと覚醒状態で職務をこなしているかの認識など様々です。

また、AIの顔認識には人種の違いによる認識精度の差も見つかってきており、黒人の場合だとよりネガティブな感情を強調したりすると報告されています

研究者らはこのプロジェクトを通じ、AIによる感情認識の欠点を示し、その利用についての議論を喚起したいと考えています。研究チームは「われわれの目的は、このような技術に対する一般の人々の理解を促し、その開発と使用に市民がより多く参加することです」「このような重要な問題について人々の知性を結集し、見解を共有することで、公正かつ公平な社会を促進し、コミュニティを強化できると信じています」としました。

Source:emojify
via:The Verge

Munenori Taniguchi

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