『フルカラー版 超訳百人一首 うた恋い。』(杉田圭:漫画、渡部泰明:監修/KADOKAWA)第9回
現代でもカルタとして愛されている百人一首。藤原定家が選定したといわれる100首のなかには、在原業平や小野小町ら、時代を彩る歌人たちが恋を詠った和歌が43首も入っていました。31文字の和歌に込められたドラマチックな恋愛模様を超訳コミックで描いた『超訳百人一首 うた恋い。』が、令和完全版の『フルカラー版 超訳百人一首 うた恋い。』となって再登場です! 2010年の発売以来シリーズ累計87万部を超える人気作をフルカラーで復刻。百人一首に描かれた、絵巻物のようなみやびな時代の恋物語をお楽しみください。








ていかメモ
こんにちは、定家です。
今回は、義孝が生きた時代について少し話をしよう。
【末法の世】
ノストラダムスの大予言じゃないけど、この時代は、近々破滅の時がやってくると信じられていた。仏様の救いがなくなって、天災や戦乱があいつぐ時代「末法の世」に突入すると言われてたんだ。いつの時代も、その手の話ってあるもんだよ。笑っちゃうでしょ?
ただ、昔の人はこの世の終わりといったものを、今よりもっと切実に感じていた。今は科学も進歩しているから、そういう話は笑い飛ばすか、もし本当に終わりが来るなら、それについて何らかの対策を打ち出すことができるけど、当時は何も分からなかった。ただ祈るしかなかったんだ。
実際この頃は、都で疫病が流行して、人がバッタバッタ死んでいったからね。みんな身震いして御仏に救いを求めたんだよ。人はやたら出家したがるし、有力貴族は寺院をばんばん建てるし、御仏にすがるしかなかったんだ。
そんな中、義孝は病に倒れ、帰らぬ人となる。こんな才気あふれる若人が疫病の犠牲になろうとは本当に世も末だ! と、当時の人々は嘆くと同時に恐れおののいただろうね。
ダ・ヴィンチWeb