「私、男に貢がれたくないので」自らハイブランドを買い漁る、29歳女の資金源とは

「私、男に貢がれたくないので」自らハイブランドを買い漁る、29歳女の資金源とは

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  • 更新日:2020/09/21

女の幸せは、チヤホヤされること?貢がれること?

いいえ。私の幸せは、そんなんじゃない。欲しいものは自分で勝ち取るの。

「若くたって、女だって、成功できるんだから。私にかまわないで」

これは、銀座の一等地でランジェリーショップを経営する、勝気な女社長の物語。

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「行ってくるね、トシさん。今日は遅くなるかも」

シャネル N°19の淡い香りを振りまき、ジミーチュウのハイヒールに細い脚を滑り込ませると、メイコは振り返ってそう言った。

本庄メイコ、29歳。スラリとした抜群のスタイルに、くっきりとした目鼻立ち。銀座では少しだけ有名な、若手女社長だ。

メイコは4年前、25歳という若さで自身のランジェリーブランドを立ち上げた。

店舗を出したのは、銀座の一等地。祖父母が経営していた呉服屋の跡地を譲り受けた形だった。そして30歳を目前に、経営は絶好調だ。

―今日も暑くなりそうだなあ。

メイコはマンションの車寄せに吹く、竹芝の清々しい朝の風にニッコリほほえむ。ちょうど良いタイミングで到着した送迎車に乗り込むと、せわしなく取引先に電話をかけ始めた。

スマートフォンから鳴る呼び出し音を聞きながら、メイコは左の人差し指で輝くブシュロンのリングをうっとりと見つめる。

―ああ、すっごくキレイだわ。

今日も、メイコの身の回りはお気に入りの逸品で溢れている。

首元で揺れるミキモトのネックレス。そして膝に乗っているセリーヌのバッグ。

かけがえのない宝物だらけだ。

メイコがブランド物を買い漁るワケ

メイコの周りを彩る、ブランド品の数々。だけどそれらは、男に貰ったものではない。

ブシュロンのリングは予算達成のお祝いに、ミキモトのネックレスは生まれて10,000日目のお祝いに自分で買ったものだ。

そしてセリーヌのバッグは、事業立ち上げの記念として購入した。

メイコは“ブランド物のバッグやアクセサリーは、気に入ったものをご褒美として自分で買う”と決めているのだ。

―次は何にしようかなあ。

自身の会社で、先週発売となった新作ランジェリー。その追加生産が決まったら自分にご褒美を買うと決め、メイコは仕事に没頭してきた。

次に購入するブランドアイテムのことを考え出すと、ワクワクが止まらなくなってくる。しばし仕事の手を止め、メイコは空想にふけった。

―バッグがいいかな?そうね、ブルー系の!

メイコはブティックでお気に入りの逸品を手に入れるあの感じを想像し、幸せなため息をつく。するとそのタイミングで、送迎車が銀座の店の前に到着した。

自身の大切な城である、ランジェリーショップのドアを開ける。すると中から元気な声が飛んできた。

「おはようございます、メイコさん!」

メイコより少し早く出勤していたのは、店を手伝ってくれている浦田莉子だ。

元々ここの常連客だった莉子は、大学卒業後にメイコのショップへと入社してきてくれた。6歳下の彼女はメイコにとって、可愛くて仕方ない妹分なのだ。

「メイコさーん。今日、例の男性と会食ですよね?」

メイコがソファに腰を下ろすやいなや、莉子は少し口を尖らせて言った。

例の男。それは先週の交流会で出会った、高級ワインショップ経営者のことだ。メイコに会って早々、“お食事会”に誘ってきた。

「あの人、メイコさんに対して明らかに下心ありますよね」

その様子を会場で見ていた莉子は、心配してくれているのだ。

「んー。そうかもしれないけどね」

メイコは爽やかに苦笑した。

莉子が水切りしてくれていたバラを花瓶に生けながら「こういう誘いって難しいわ…」とメイコは思う。

もし闇雲に断ったら、勝手に男と女の関係を想定しているみたいだからだ。

向こうにそんな気が微塵もなかったとしたら「こっちはビジネスで誘ってるんだぞ」と、怒られるかもしれない。そして、勘違い女だと思われる可能性だってあるのだ。

だから、いつも1回は食事に付き合うようにしている。痛い目を見ることも多いが、これまでの統計上、7割くらいは有益な会になる。

―さ、今夜はどっちに転ぶか。

メイコは1日の仕事を終えると、18時には莉子に店じまいを任せて、待ち合わせ場所へと向かった。

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六本木の交差点でタクシーを降りて、メイコはキョロキョロと辺りを見回す。するとそこに、俯いてスマホを操作している、若いスーツ姿の男性を見つけた。

―あれ。あの男性っぽいな?

メイコが近づくと、彼が白い歯を見せて笑った。

「あ、メイコちゃん!改めまして、将人です。忙しいのに来てくれてありがとうね」

「いいえ。こちらこそです」

そう言ってメイコは、隙のないカンペキな笑顔を見せる。

―メイコちゃんってなによ!?タメ口だし、なんだか馴れ馴れしくなってる?

内心、そう感じて不快になる。しかしそんな感情はいちいち出さずに隠しておく。そのまま2人は、人の行き交う六本木の街を、目当てのレストランまで歩いた。

そのときメイコの目に、あるものが飛び込んできたのだ。

メイコの目に入ってきた、あるものとは?

―わあ!あの商品、すっごく可愛い…!

「すみません。お食事前にあのお店、覗いてもいいですか?」

メイコは将人に一言断ってから、吸い寄せられるようにヴァレクストラの店内に入っていく。

衝動的に手に取ったのは、ブルーとグレーの中間のような、絶妙な色合いのバッグ。うっとり見とれていると、将人は嬉しそうな顔で言った。

「お、買ってやろうか?」

ニヤニヤとした将人の顔を見て、メイコは「しまった!」と思った。

―確かにこの状況じゃ、ねだっているようなものよね。

慌てて将人の目をまっすぐに見つめると、メイコは満足そうにほほえむ。

「いいえ違うの。先週出した新商品の追加生産が決まったら、その日にこれを買おうと思って」

その後の食事会は、期待以上にビジネスの話題で盛り上がった。

―意外と、有益な会だったかも?

化粧室でシャネルのリップを塗り直しながら、メイコは満たされた気持ちでいたのだ。

しかし席に戻ると、状況は一変していた。

そこには「メイコちゃん。これ開けてみて?」と嬉しそうな笑みを浮かべた、将人の姿があったのだ。なんだかイヤな予感がする。メイコはビクビクしながら、イスの上に視線を移す。

…するとそこには、ヴァレクストラの紙袋が置かれていた。

「はい、プレゼント」

メイコは、自分がどんどん真顔になっていくのを感じる。

「…どうして?」

メイコの質問の意図に反して、将人は嬉しそうに笑った。

「メイコちゃん、可愛いのな。あんなふうに遠回しにおねだりしてくる控え目な女の子、俺好きだよ」

―ああ、台無しだ。大失敗。

どうして説明したのに、ねだったことになるのだろう?

メイコは深くため息をつくと、無言で紙袋を将人につき返したのだった。

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「…ってことがあったの!」

メイコは同棲している14歳年上の彼氏・小澤俊也の肩にもたれかかった。ソファで赤ワインを飲み直しながら、今夜のことを愚痴っているのだ。

交際5年目になる俊也には、唯一どんなことでも本音を話せる。

「バッグに罪はないけどさ…。でも、見るたびにその人の顔が出てくるのがイヤ!」

眉間にシワを寄せたメイコの頭に、俊也は大きな手のひらを乗せる。

「私はね、自分で買うから嬉しいの。でも男ってみんな、何かにつけてブランド物をプレゼントしてくるわ。人から下心で貰うブランド物の、どこに価値があるの?」

彼の腕に絡みついて、甘えるようにメイコが言うと「はい。もう寝るよ?これでワインおしまい」と言って俊也は席を立ち、キッチンへと歩いていく。

メイコはぼんやりとしながら、自分のために冷たい水を用意する、その年上の男の姿を見ていた。

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▶ Next:9月22日 火曜更新予定
メイコは莉子を連れて、セリーヌのブティックへ向かい…?

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