今年も「黄金世代」が大暴れの予感。田中瑞希が刺激になったふたりの存在

今年も「黄金世代」が大暴れの予感。田中瑞希が刺激になったふたりの存在

  • Sportiva
  • 更新日:2020/07/01

【写真】「黄金世代」厳選フォトギャラリー

鈴木愛とのプレーオフの末、渡邉彩香の劇的な復活優勝で幕を閉じたアース・モンダミンカップ(6月25日~29日/千葉・カメリアヒルズCC)には、もうひとり、ヒロインがいた。

畑岡奈紗や渋野日向子らと同じ、1998年度生まれとなる「黄金世代」の田中瑞希だ。ツアーには昨季から参戦していたものの、プロテストには昨年3度目の挑戦でようやく合格し、およそ4カ月遅れとなったこの今季開幕戦を迎えた21歳だ。

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今季開幕戦を大いに盛り上げた田中瑞希

通算9アンダーで首位に立ったのは2日目。そこから最終日のバックナインまではトップに立ち続けた。

「自分はあんまり、たくさんのギャラリーに見られることでがんばるタイプじゃないから、こっち(無観客)のほうが自分のゴルフが落ち着いてできている感がありますね。歓声は励みになると思いますが、大勢のギャラリーの前でプレーした経験がそこまでないから、萎縮しちゃいそうです」

ゴルフは8歳から始めた。熊本国府高校1年生だった2014年、熊本で開催されたKKT杯バンテリンレディスを同い年である、当時アマチュアの勝みなみが15歳で制した。この大会で田中は、ボランティアとして運営を支えていた。

「早く自分も(プロの)レギュラーツアーで優勝したいな。そう思いました」

また、熊本国府高の同級生には大里桃子がいた。小学生の頃からの顔見知りで、中学も同じ学校に通っていた。大里は田中よりひと足先に2018年のプロテストで合格し、直後のCAT Ladiesでツアー初優勝を遂げた。

田中は練習生をしていた熊本のゴルフコースのテレビで、その優勝を見届けた。刺激を受けなかったはずがない。

「(大里は)ずっと一緒なので、身近にいるライバルという感じかな」

身長は151cm小柄だが、力感のある鋭いスイングで、飛距離のビハインドはない。

「小さな頃から、大きなスイングを心がけていて、小っちゃいなりに、クラブを目一杯使ってスイングしている感覚はあります。飛距離に関して、悩んだことはないですね。オフの時期などは、スイングスピードを上げるために、球は曲がってもいいから、とにかく振る練習を多くしていました」

3日目は、耐えるゴルフが続いた。首位スタートによる緊張感や気負いがあったわけではない。

「緊張はなかったです。セカンドで、バーディーチャンスにつく確率が低かった。ドライバーでしっかりフェアウェーに置いて、そこからバーディーチャンスにたくさんつけていく、というのが自分のスタイルです」

それでも、通算11アンダーまでスコアを伸ばし、最終日は2歳下の古江彩佳、3歳下の西郷真央というさらに若い世代のふたりと、プロ人生初の最終日最終組を共にすることに。

「(最終日に向けて)どうなるんだろうと、緊張感というよりは、ワクワクのほうが強いです。プロテストに合格してから初めての試合で優勝争いができるということは、楽しみでしかないです」

最終日は折り返しまでに2バーディー、2ボギーのイーブンで耐えたものの、後半に入って渡邉と鈴木に並ばれ、16番のボギーで2打差をつけられてしまう。

「大事なところでティーショットを曲げたり、3パットしたり。いい流れを自分で断ち切っていた感じがありました」

しかし、17番でひとつ返し、18番(パー5)でも、1.5mのバーディーチャンスにつけた。入れば、渡邉、鈴木とのプレーオフとなるパットだったが、ボールは左にスライスしてカップに蹴られ、このホールをパーとした田中は、通算10アンダーの3位タイでフィニッシュした。

「自分にはパット時に緩むクセがあって、スライスラインを右に外してしまうことが結構あるんです。プレッシャーがかかった時にあれが出るというのは、まだまだなのかなと思います」

とはいえ、最後まで笑顔でプレーし続けた。

「結構苦しかったんですけど、最後はバーディーを取るしかないという思いとか、絶対に落とせないという強い気持ちで、むしろラクにプレーできたのかなと思います」

新型コロナウイルスの感染拡大によって、中止となる大会が相次ぎ、開幕がおよそ4カ月遅れた。その間は、熊本でひたすらボールを打ち込む日々を送った。

「朝からゴルフ場に行って、夕方まで練習して、家に帰る感じでした。トレーニングもやってきて、飛距離も10ヤードぐらい全体的に伸びたかな」

同時に髪も伸びて、今大会はサンバイザーにお団子ヘアというスタイルで戦った。優勝に手が届くところまでいきながら、逃した悔しさはきっとある。それでも、渋野のように前向きな言葉を並べ、好感を抱く明るい笑顔を絶やさなかった。

「スマイリング・シンデレラ」に対して、「おだんご姫」――。ネット中継を見ながら、リモート取材を続けながら、田中の近い将来のブレイクを予感し、そんな愛称が浮かんだ。

柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji

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