スプリングSに前への意識が強い馬が集結 好位差しが見込める伏兵2頭に一発の魅力

スプリングSに前への意識が強い馬が集結 好位差しが見込める伏兵2頭に一発の魅力

  • Sportiva
  • 更新日:2023/03/19

GI皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)のトライアル戦、GIIスプリングS(中山・芝1800m)が3月19日に行なわれる。

力関係が固まりつつある時期の3歳重賞とあって、過去10年の1番人気の複勝率は8割と、軸としての信頼度は高い。ただし、勝率はわずか2割。そのためか、2019年の20万円超えを筆頭に、3連単では好配当がしばしば生まれている。

◆ちょっと気になるレースクイーンの「私服」

そういう意味では波乱含みのレースと言えるが、今年は出走メンバーの傾向が例年とは異なり、これまで以上にひと筋縄とはいかない一戦となっている。その点について、日刊スポーツの松田直樹記者が解説する。

「今年のスプリングSのメンバー構成は例年と違って、出走メンバー16頭中10頭がこれまでに逃げを経験。これほどまでに"前"を意識して競馬をしてきた馬たちが出てくるのは珍しいのではないでしょうか。

皐月賞トライアルという側面があるため、各馬が突飛な戦法を取らないのであれば、どの馬がハナに立つのか、まったく予想がつきません。そこは、今年のレースの序盤戦の見どころになりそうです」

となると、スタートから熾烈な争いとなり、レース展開としてはハイペースになることが予想されるが、松田記者は「そこまで速くならないのでは」と言う。

「実は、逃げて好走した馬のレースは大半が平均以下のペース。加えて、週末に雨が降ったこともあって、隊列が決まってしまえば、意外と淡々と流れるのではないか、というのが個人的な見立てです」

松田記者は続けて、そういった状況のなかでの狙い目について語る。

「Aコースでの開催は3週を終えても引き続き先行有利の馬場傾向にありますが、メンバー構成やレース展開を鑑みれば、一発の魅力を感じるのは差し馬。今回の結果が皐月賞へとつながるかどうかは別として、マイル戦である程度の位置から差しきった経験のある馬に食指が動きます」

そこで、松田記者が穴馬候補として名前を挙げたのは、メタルスピード(牡3歳)だ。

No image

スプリングSでの一発が期待されるメタルスピード

「未勝利、1勝クラスと連勝してきた同馬。右回りの競馬だと、当初は直線で内へ内へともたれてしまっていたのですが、右側だけのブリンカーを装着して走法修正を試みてきた成果が最近になってようやく出てきました。

2走前の未勝利戦(1着。1月5日/中山・芝1600m)の段階では、まだ内ラチに切り込むような形で伸びていたのが、前走の3歳1勝クラス(1着。3月5日/中山・芝1600m)では左ムチも入るぐらいで、内へもたれるクセはだいぶ解消されていましたからね。

そして、同レースで3着に退けたのが、昨年末のGI朝日杯フューチュリティS(12月18日/阪神・芝1600m)で4着に入ったキョウエイブリッサ。馬具の効果があったのはもちろんですが、それ以上に馬の成長が感じられました。

今回は中1週での重賞初挑戦。ローテーション的に厳しいのは確かですが、一戦ごとの地力強化は数字にも出ています。デビュー時に476kgだった馬体重が、前走では508kgまで増量。競馬をこなしつつ、およそ半年でここまで馬体重が増えて、たくましさが増したことは好感が持てます。

津村明秀騎手が騎乗したとはいえ、最終追い切りではさらに上積みがあるのではないかといった伸びを見せ、ラスト1ハロンで11秒4をマーク。新馬戦、2戦目の未勝利戦(いずれも4着)以来の1800m戦となりますが、今の充実ぶりなら十分にこなせるでしょう。今回も好位からの差し切りに期待しています」

松田記者はもう1頭、気になる馬がいるという。

「パクスオトマニカ(牡3歳)です。この馬は逃げて結果を出してきた馬ですが、レース直前に豪雨となった道悪の新馬戦(9月19日/中山・芝2000m)で好位3番手から2着に踏ん張る走りを披露。今回想定される馬場にも合っているのではないかと見ています。

2走前の1勝クラス・葉牡丹賞(12月3日/中山・芝2000m)で6着に敗れたあと、鞍上の横山武史騎手が距離短縮を進言。その前走、1勝クラスの若竹賞(1月22日/中山・芝1800m)が初の1800m戦出走となりましたが、鮮やかな逃げきり勝ちを決めました。

同レースでは、10頭立ての内枠(2枠2番)発走。前にいく馬がいないため、形上ハナに立ってしまっただけで、勝ちっぷりには余裕がありました。何がなんでも逃げにこだわるタイプではないと思いますから、他馬が行くなら控える競馬もできるはず。好位押しきりの可能性も大いにあるのではないでしょうか」

ストライキによる開催中止も危惧された今週の中央競馬。無事に開催が決まった注目の一戦で、好配当ゲットを狙いたいところ。ここに挙げた2頭がその一端を担ってもおかしくない。

土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加