震災で町は瓦礫の山に。祖母が呟いた言葉が、「戦争」と私を繋いだ

震災で町は瓦礫の山に。祖母が呟いた言葉が、「戦争」と私を繋いだ

  • かがみよかがみ
  • 更新日:2020/09/16
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私と戦争には接点がない。

1993年生まれの私にとって、戦争は生まれるずっと前の出来事だ。

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別の世界のようだった戦争。身近に感じた唯一の記憶は東日本大震災

祖母がたまに口にする「戦争時代はな、こんなおいしいご飯は食べれなかったんだよ」という言葉を、どこか別の世界のことのように聞いてきた。

私は学生時代から歴史が好きで、戦争についても数多く勉強してきた。しかし、そこで目にする「戦争」という言葉も、やはり本の中の出来事としか考えられなかった。

そんな私にとって、一つだけ戦争を身近に感じられる記憶がある。

それは東日本大震災での記憶だ。

私は東北の港町で生まれ、当時は高校生だった。

当たり前に暮らしていた場所がたった1日で変り果ててしまった出来事は、いまだに深く重く心に残っている。

「戦争」と聞くと、あの日の祖母の言葉を思い出す。

「こんな景色、戦争のときみたいだ」

瓦礫の山と化した町を見て、祖母はこう呟いていた。

祖母の呟きは、「これが戦争だったら?」という想像をもたらした

当時は「戦争のときもこんなに酷かったのか」としか思わなかった。

だが今になって考えると、祖母の呟きは「これが戦争だったら?」という想像をもたらしたのだった。

まずは、私が震災で経験したことから軽く話したいと思う。

あの日の私は、学校が早く終わって家でごろごろしていた。

すると小さな地震が起き、あっという間に大きな揺れに変わった。この地震ひとつにも、このまま家ごと潰されてしまうのではないかと恐怖を覚えた。

そして市内に大津波警報のサイレンが鳴り響いた。私の家は少し高台にあったため、自宅で様子をうかがうことになった。夕方、町が燃えて真っ赤になった景色を見て愕然とした。

電気・水道が止まり、携帯電話も圏外になった。夜は真っ暗な家の中を蝋燭で灯した。津波のサイレン、緊急地震速報、何度もくる余震。一晩中、心が落ち着くことはなかった。

翌日以降は母が勤めるスーパーの手伝いをした。家族の安否が分からず心配で泣いている人、津波にのまれてなんとか生き延びた人、家が津波に流された人、色々な人に会った。

テレビをつけると当たり前のように地元が映り、沢山の悲痛の叫びが聞こえた。

これが家から10分ほどの場所の出来事だとは受け入れたくなかった。

これが戦争による被害だったら。 違った恐怖と憎しみに襲われそう

震災は自然災害であり、この被害に犯人はいない。被災した方の「海を恨んだりはしない」という言葉に「東北の人は強い」なんて言われていたのも記憶に新しい。

でも、これがもし戦争による被害だったら。

地震で感じた恐怖は、敵国の攻撃による恐怖に置き換わる。

津波警報のサイレンは、空襲を警報するものに。

一晩中津波のサイレンを聞いて過ごした夜は、爆弾を落とされて「自分も死んでしまうのではないか」と思いながら過ごす夜になる。

被害をもたらしたのが自然ではなく「人間」で、わざと自分たちを傷つけるために攻撃した。こう考えると言いようもない恐怖を感じる。

また、あの時感じた恐怖や不安・悲しみが、敵国への憎しみに変わってしまうのではないか。私は故郷をめちゃくちゃにした犯人を、恨むかもしれない。それはまた違った怖さを感じる。

そして忘れてはいけないのは、戦争では、私たちがあの悍ましい景色の「加害者」になり得るということだ。

冒頭で戦争への無関心を記した私だが、自分の経験に置き換えて考えると、やはり戦争はしたくないなと思う。

もう自分の好きな場所を失いたくないし、大切な人を失いたくはない。

「爆弾を落とされて死ぬかもしれない」なんて考えながら生活するのは嫌だ。

そのためには、一人一人が「戦争はしてはいけない」というイメージを持ちつづけることが大切だと思う。

戦争も震災もテーマとしては重いし、気軽に話したり考えたり出来ることではないとは思う。私もこの文章を書きながら、考えるのやめたいなと何度か思ってしまった。

正直、漫画を読んだりSNSを見たり友達とくだらない話をしているほうが楽だ。

でも、ちょっとだけ頑張って、その重いテーマに触れてみる。

今回の執筆は私にとってそういうものだった。

戦争を経験していない私たち若者にとって、その「ちょっと」が大事なのかもしれない。

ずっちー

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