富士通PC事業、新社長はレノボから......日本のPCは変わる?

富士通PC事業、新社長はレノボから......日本のPCは変わる?

  • ASCII.jp
  • 更新日:2021/04/08

今回のひとこと

「FCCLが活躍できるフィールドやポテンシャルは、こんなものではない。そして、世界最軽量ノートPCの座は譲ることなく、継続的に投資を進め、追求していく」

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(富士通クライアントコンピューティングの大隈健史社長兼CEO)

40年の節目に

2021年4月1日付で、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の新社長に、大隈健史氏が就いた。  同日に行われた就任会見で、大隈新社長は、「今年は、富士通のPCが発売されてから40周年になる。その節目に齋藤会長からバントを受け継ぎ、FCCLをリードしていくことに喜びを感じている。アグレッシブに、お客様に貢献していきたい」と、新社長としての抱負を語った。

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富士通クライアントコンピューティング 代表取締役社長 執行役員社長/CEOの大隈健史氏

バトンを渡し、取締役会長に就任する齋藤邦彰前社長は、「自信満々で社長のバトンを渡すことができる」とし、「人に寄り添う製品ポートフォリオはこれからも変わらない。お客様の要望をいち早く実現し、お客様のお役に立つという独自性はこれからも磨き上げていく」と述べた。

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日本のPCメーカートップが40代前半に

社長に就任する大隈氏は、1979年12月、千葉県出身の41歳。前任の斎藤会長からは、21歳もの若返りだ。富士通の第1号PCである「FM-8」の発売が1981年であり、年齢からすれば、富士通のPCの歴史とほぼ同じといえる。そして、同じレノボグループ傘下のNECパーソナルコンピュータおよびレノボ・ジャパンの社長を務める、デビット・ベネット氏も、大隈社長と同じ1979年生まれであり、日本を代表するPCメーカーのトップが、40代前半となり、40年の歴史を持つ日本のPC業界をリードすることになる。

2004年に早稲田大学大学院理工学研究科を卒業。McKinsey & Companyの日本支社およびフランクフルト支社で、コンサルタントとして8年間勤務。2011年のレノボとNECのPC事業におけるジョイントベンチャーの実現においても、McKinseyの立場から関与していた。

2012年には、レノボグループ入りし、NEC Lenovo Japanグループの最高執行責任者(COO)を務めたほか、Lenovoアジアパシフィック地域のチームを指揮し、コマーシャル部門やオペレーション/eコマース事業なども担当した。

就任直前までは、Lenovo PCSD(PCおよびスマートデバイス事業)アジアパシフィックSMBセグメント担当エグゼクティブディレクターとして、シンガポールを拠点にして、アジアパシフィック地域におけるレノボのグループの中小企業セグメントを統括していた。

この間、中堅企業を対象に、直接、電話をかけるコールセンターをゼロから立ち上げたほか、中小企業向けに特化したeコマースサイトであるLenovoPRO STOREを構築。チャネルパートナー向けのツールやシステム、ポータルサイトの確立など、新たな取り組みを進めてきた経験を持つ。

こうした取り組みが奏功し、5年前には業界3位だったSMB市場におけるレノボのポジションは、現在首位になっている。

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質疑応答の際には、大隈社長がふくまろをかぶって回答した

せっかちで数字から早い結果を

自らの性格を「せっかち」と語り、「数字を細かく詰めて、結果を速く求めることが得意。四半期単位で成果を求められるなかでは必要な要素である」としたが、「FCCLは、開発、調達、生産、販売、マーケティング、サポートまで、エンド・トゥ・エンドで、自前で展開する企業。長期的視点も大切になる。齋藤会長や経営幹部の助けを得て、よいバランスを探したい」とした。

会見の質疑応答では、大隈社長が、「ふくまろ」のかぶりものをして回答するというシーンもあり、ユニークな人柄も垣間みせた。

このかぶりものは、2018年1月に行われたふくまろの発表会見で、齋藤会長が着用して話題を集めたものであり、今回の会見では、「FCCLの王冠」と称して、大隈新社長に贈呈。大隈社長が、それをかぶって、「ふくまろの大隈です」と改めて自己紹介するシーンもあった。齋藤会長も「想像していた以上に似合っている」と、息の合った様子をみせた。

結果、レノボから社長が立った

FCCLの次期社長人事には、大きく4つの候補が考えられた。

FCCL社内からの昇格、富士通からの就任、レノボからの就任、そして、外部からの就任だ。大隈社長の場合は、レノボからの就任ということになる。

レノボのPCビジネスを熟知し、本社部門ともパイプが太い大隈社長であれば、FCCLからの声が届きやすくなるというメリットがある一方で、レノボ色が強まり、これまで、製品開発や生産、販売、サポートなどで独立性を保ってきたFCCLの経営にも影響が出る可能性がある。

だが、記者会見では、そうした懸念を払拭する発言が相次いだ。

大隈社長は、「FCCLが、日本でビジネスを行い、世界に広げていく上では、レノボやNECといったレノボグループのPCブランドとは異なった、独自の立ち位置を持つ必要がある。その際に、レノボや富士通のどちらかに寄るというのではなく、FCCLの独自性を持つための最適解を探し続けることが必要である。それが課題であり、私にとってのやりがいになる」と発言。今後も、FCCLの独立性を重視する姿勢を示してみせた。

世界最軽量、日本の技術の粋を示す

そして、その姿勢をより強調したのが、FCCLが維持してきた世界最軽量ノートPCに関するコメントだ。

「世界最軽量ノートPCは、FCCLの技術の結晶であり、業界をリードしてきた存在である。今後も世界最軽量の座は譲ることなく、継続的に投資を進め、追求していく」と大隈社長は宣言した。

齋藤会長も、「お客様との約束はこれからも変わらない。Day1000まで継承してきたことはこれからも続ける」と語る。

FCCLの力はこんなものではない

もちろん、大隈社長ならではの取り組みも注目される。

「FCCLは、人に寄り添い、お客様の課題を解決する製品やサービスに注力する体制ができている」としながらも、「FCCLが、活躍できるフィールドやポテンシャルはこんなものではない」と語る。

その上で、「昨年から開始した富士通ブランドPCのアジアへの展開はもっと広げていきたい。アジアのビジネスパートナーからは、Made in Japanの製品を待望しているという声が聞かれる。私がこれまで培ってきた香港やシンガポールを拠点にしたアジアでの経験、マーケティングの知見、アジアに持つ個人的なネットワークを生かして、アジアでのビジネス拡大にも貢献したい」とする。

また、「レノボが世界で展開しているPC以外の製品やサービスを、富士通との協業のなかで、日本のお客様に最適な形で届けたい」、「ふくまろを活用した様々な新サービスを考えており、今年度中には、最低でもひとつは、新たなサービスをリリースしたい」とも語る。

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「FCCLの王冠」とするふくまろのかぶりものを贈呈

FCCLとしては、今回が初の社長交代となる。

日本に独自の開発、生産、販売、サポート体制を持つFCCLが、レノボ出身の大隈新社長のもとで、独自性を維持しながら、どんな進化を遂げるのかに注目したい。

大河原克行 編集●ASCII

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