佐々木朗希ならできる!「審判を味方につけて操る投球術」 東尾修の見立て

佐々木朗希ならできる!「審判を味方につけて操る投球術」 東尾修の見立て

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  • 更新日:2022/05/14
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東尾修

西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、いま注目のロッテ佐々木朗希投手について論じる。

【写真】阪神-中日戦で三塁塁審を務めた白井一行審判員*  *  *

今回もロッテ・佐々木朗希の話をしたい。今度はアンパイアとの付き合い方である。4月24日のオリックス戦に先発し、5回6安打2失点で開幕3連勝を飾った佐々木朗希だが、クローズアップされたのは、二回。ストライク、ボールの判定について、不服そうな態度をとったことで、球審の白井一行審判員から詰め寄られる場面があった。

彼ほどの注目度がなければ、こんな大きな議論など起こるはずもなかったろう。「どちらが正しいのか」と野球ファンの方々なら、みんな注目されたと思う。投手も審判員も人間である以上、互いの立場、仕事に対する「信念」がある。だから、この議論に白黒をつける作業は、どちらの思いに寄り添うのかということにほかならない。

佐々木の立場からすれば、いつもより「ストライクゾーンが狭い」と初回から感じていただろうし、「えっ、この球もボールですか?」との心の叫びが多少、態度として出た。白井審判からすれば、高卒3年目の投手に自身をバカにするような動きをされたら、少々イラッとするだろう。その「多少」の思いのぶつかり合いがああいった形になった。

ただ、互いの立場を尊重して認めた場合、客観的な物差しとして、「円滑な試合運営」を目指す上で、白井審判は、攻守交代時に伝えるべきだったかなと思う。

これから審判とどういう付き合いをしていくべきか。佐々木朗希に参考にしてもらいたいのが、投手はみな「どうやったら審判を味方につけられるかを考えている」ということだ。これは制球力も持ち合わせている投手にしか当てはまらないし、佐々木ならできると思う。「ゾーンが狭い日はどうやってイニングを重ねる中でゾーンを広げるか」を私は考えていた。

簡単に言えば、序盤は自分の中でのストライクゾーンのギリギリではなく、その日の審判がストライクととってくれるゾーンを探す。少々甘めに投げるというと語弊があるかもしれないが、そこからイニングを重ねるごとにボール半個分ずつ外していく。そうすることで、審判も初回よりもゾーンが広くなることがある。私の現役時代は常に「ストライクゾーンを操作する」「審判を味方につける、審判を操る」という考えを持っていた。

キャンプからの作業もそうだ。例えばけん制球。私はわざとボークになるギリギリのラインを探り、審判員に「どこがボークなのか」「次のこの動作は?」などと確認した。キャンプで「それはボークではない」と言ってもらえれば、その形でシーズンに入っていけた。

メジャーリーグに行けば、必ず「移籍した投手」には洗礼がある。「メジャーリーグはこういうところだよ」と。人間である以上、「信念」のぶつかり合いが起きることを理解することだ。そのつどカッとしてしまうのか、この審判はこういう傾向があるのね、と次に向かって分析できるかで、心のゆとりも変わる。今回の一件は佐々木にとって良い教訓となるであろう。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

※週刊朝日  2022年5月20日号

東尾修

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