玉川徹氏に求められるテレ朝コロナ送別会の説明責任

玉川徹氏に求められるテレ朝コロナ送別会の説明責任

  • アゴラ
  • 更新日:2021/04/07

テレビ朝日の報道番組のスタッフ4人が飲食を伴う送別会でコロナに感染したことが判明しました。コロナ禍における会食を倫理的に非難し続けてきたテレビ朝日『モーニングショー』はこの事案を次のように取り上げました。

玉川徹氏「恥ずかしい…許せない」テレ朝番組スタッフが送別会でコロナ感染[サンケイスポーツ 2021/04/06]

テレビ朝日の玉川徹氏が6日、コメンテーターを務めるテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」に出演。同局の報道番組「サンデーLIVE!!」のスタッフ4人が新型コロナウイルスに感染したことについて「本当に申し訳ない」と謝罪した。

感染したのはテレビ朝日の社員1人と社外スタッフ3人で、飲食を伴う送別会に参加していた。同社広報部によると、4人は3月28日の放送終了後、東京都港区にある本社内のスタッフルームで、9人で行った送別会に参加。その後、6人が近くの飲食店に移動して飲食をともにし、うち4人が4月2、3日に陽性であることが確認された。

玉川氏は「(中略)一体何を考えているんだろうかと。本当に情けなく、恥ずかしく思います」と語気を強めた。さらに「テレビっていうのは公器ですから。公器にかかわるわれわれもある種、公に尽くす立場だと思います」とし、「今回こういうふうなことになったっていうのはまさに恥ずべきことだというふうに私は思います。同じ社内ですけど、ちょっと許せないと」と怒りをにじませた。

玉川氏は、アリバイ作りのように「恥ずかしい」と平謝りした上で、同局の番組スタッフを調査することもなく「ちょっと許せない」と他人事のように責めました。そもそも『モーニングショー』は、特にコロナに感染したわけでもない菅首相の会食や厚労省の会食を異様なほど執拗に問題視し、行政組織全体に連帯責任を負わせて悪魔化してきました。この記事では、その執拗な批判コメントをいくつか紹介し、論評してみたいと思います。

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nathaphat/iStock

5人以上の会食 菅首相[NHK 2020/12/17]

2020/12/16

浜田敬子氏:「会食を控えて下さい」「忘年会も控えて下さい」と言っておきながら、これはありえない行動だ。毎日のように会食している。危機感が伝わらない。首相そのものがこういう行動していたら危機感が伝わるはずがない。呆れる行動だ。人数的にもそうだし、はしごしているとか。羽鳥慎一氏:国民にお願いをしているトップ。玉川徹氏:批判されても仕方がない。

菅首相が連日展開しているのは「パワーランチ」をさらにパワフルにした「パワーブレックファースト」「パワーディナー」であり、時間を惜しんで精力的に用務を重ねています。専門スタッフによるセキュリティ対策が保障されている行政の長に対して、国民のルサンチマンを不必要に引き出そうとするコメントは社会を混乱させるだけの呆れる行為です。

2020/12/17

足立直紀政治部長:食べるときはマスクを外してしゃべるときはマスクをしていると言っているが、そういう食べているシーンを我々見えているわけではない。羽鳥慎一氏:勿論、感染防止の対策は足立さんが言うようにしているんでしょうが、やっぱりこの時期みんなが「我慢しなければいけないな」という時にトップがこれだと「えっ」って声が実際に世論として出ている。「我慢しているのにステーキかぁ」みたいな。玉川徹氏:不公平感だ。国民は日常から離れろと言われている。忘年会だったりクリスマスでしょ。年末年始楽しいわけだ。国民は怒っている。

加藤官房長官は「広い部屋で、他の方との距離は十分あった」と説明しており、現地の見取り図からも足立氏の発言は反証可能性のない悪意ある発言といえます。そもそも、『モーニングショー』自体、アクリル板を絶対視してマスクもせずに大声を出し合っている番組に他なりません。羽鳥氏にいたっては、5人以上の芸能人が大声で笑いながら高級料理を食する番組の司会者を務めています。「我慢しなければいけない」という年末にも特番が放映されました。どの口がこんな発言をするのか「えっ」となります。

2020/12/18

玉川徹氏:会食問題がこの国の危機感のなさの象徴になっている。羽鳥慎一氏:やってたと思うんですよ。ちゃんと消毒して。でも危機感がこういう感じなんだということなんだと思います。玉川徹氏:国民に危機感を訴えている人達に一番危機感がない。それが多くの国民に伝わった。こういう政府だと医療は崩壊する。(緊急事態宣言)を出しますと言った時に国民が「えっ、あの人たちが言ってたことでしょ」ということになったらどうするのか。「言うこと聞かねえよ」ってことになったらどうするんだ。一番それが心配。羽鳥慎一氏:飲食店に「早く店閉めて下さい」と言った時に「あなたに言われても」と思われちゃうことの方が影響が大きいのかなと。吉永みちこ氏:今後政府がメッセージを出しても受け取りにくくなる。国民との信頼関係が崩れていく。玉川徹氏:ドイツはメルケルさんが素晴らしい演説をした。なんだこの彼我の差は。以上。

確かに、今回のテレビ朝日スタッフのコロナ感染送別会で、玉川氏の主張する通り、危機感を訴えているテレビ朝日に一番危機感がないことが証明されました(笑)。それどころか、国民が政府の言うことを聞かないようアジテーションするコメントを乱発しています。番組は完全に本末転倒しています。

2020/12/23

羽鳥慎一氏:田坂広志氏は「こういった会食のように自らのメッセージを打ち消してしまう行動が、結果的に怖くない、自由に移動・会食をしてよいという強い非言語メッセージになってしまっている」と。浜田敬子氏:国民は、総理が会食したら「いいんだ」と思ったり、自分の都合のいいように解釈してしまいます。

客観的に見て、自由に移動・会食をしてよいという強い「言語メッセージ」を拡げているのは、この番組に他なりません。異様なまでに当該トピックを繰り返し放送しています。

2020/12/28

羽鳥慎一氏:この行為が国民に与えるメッセージの方が大事で、「いいんじゃん」ってなっちゃう方が怖い。玉川徹氏:二階氏は謝らない。どこまで行っても解決しない。

さすがに、ルサンチマンを爆発させるような誘導を繰り返す【繰り返し論証 argument by repetition】をこれほど行えば、「いいんじゃん」と思う輩も出てくるでしょう。まさにバカのクラスターです(笑)

「国会議員の会食は4人以内に」自民 森山国対委員長[NHK 2021/01/06]

2021/01/07

玉川徹氏:国民の代表なので、緊急事態宣言は国民に非日常を強いる。その時に国会議員は日常を保ちますという話は、非日常を強いられる方からすれば「何言ってるんだ」という話になる。当然だ。

国民の代表である国会議員が非日常を強いられて何もできなければ、国民の非日常も解消できません。玉川氏は何を言ってるんでしょうか。

2021/01/08

玉川徹氏:ルール化しないと決めてしまうというのは何なんだ。自民党の政治家っていうのは会食しないと死んでしまう生物なのか。羽鳥慎一氏:そうのなかもしれないですね

個人の人格を著しく損なう虐待発言を平気で行ういじめっ子と取り巻きです。

厚労省職員 23人が送別会[NHK 2021/03/30]

2021/3/31

浜田敬子氏:ビックリするニュースだ。心が折れる。「何だ」という怒りが湧いているのではと思う。玉川徹氏:課長が会見すべきだ。なぜやっていいと思ったのか。役人の危機感が今でもないんじゃないか。検査が抜本的に増えなかったのは何なのか。それは、多分、厚労省の役人が検査なんか増やさなくていいと思っているからだとしか思えない。じゃあなんでだと。やっぱ危機感がない。浜田敬子氏:歓送迎会をしないでと言っていた。23人。もう人数と歓送迎会というだけでダメだ。玉川徹氏:なぜなんだろう。「第三波は終わったんで、みんなで揃って宴会やりますか」て絶対にならない。羽鳥慎一氏:いつも玉川さんがエキセントリックにバンバン言うから私はあまり言わないようにしようと。でもこれはダメだな。「おいおい」ってなる。浜田敬子氏:本来の感染対策についても認識の甘さが反映されてしまったと思わざるを得ない。

玉川氏がそういうのなら、今回感染を起こしたテレビ朝日のスタッフもなぜやっていいと思ったのか会見すべきです。玉川氏の主張の極めて稚拙なところは、厚労省の一部の構成員の不祥事を根拠に厚労省全体の施策を批判していることです。これは一部の例を根拠に全体を証明する【軽率な概括 hasty generalization】と、人格と主張を関連付けて批判する【人格攻撃 ad hominem】の併せ技です。玉川氏は厚労省に謝罪すべきです。浜田氏の主張からすれば、テレビ朝日のスタッフは送迎会を行った時点でダメです。玉川氏は「第三波は終わったんで、みんなで揃って宴会やりますか」という絶対に起こらないことが起こってしまった原因を調査して下さい。

大阪市職員9人が送別会で2人陽性[NHK 2021/03/30]

玉川徹氏:企業では会食自体自粛しなさいと言っているところ多い。民間は殆どそうだ。民間は「会食はやめて下さい」と会社が言っている。大阪は禁止していないからやってる

玉川氏は「民間では」を連発して公務員を批判する典型的な「民間出羽守」です(笑)。会社が会食を禁止すれば誰も会食しないと考える玉川氏は【道徳主義的誤謬 moralistic fallacy】に陥っています。実際、テレビ朝日のスタッフは会食禁止であったにもかかわらず、会食を行いコロナに感染しました。そもそも、電波利権を享受しているテレビのキー局は、一般の民間企業とは異なり倒産する心配はなく、たとえ毎日好き勝手に無責任な主張をする人物であっても(当然そうでない人も多いと推察します)、高額の報酬が保障されています。その地位に甘え、一部の高級官僚以上に金銭感覚がなく、社会的常識が皆無な人物であるからこそ、博打のように血税を使う「国民全員PCR検査」などという世紀の幻想を、私物化した電波を利用してゴリ押しするようなことができるのだと思います。単なる事例を根拠にして組織全体を悪魔化してきた玉川氏には、自身の組織内で発生した本件を自身の手で徹底的に解明する責任があります。

テレビ朝日の番組スタッフが送別会でコロナに感染したのは個人の責任であり、テレビ朝日に責任はありませんし、謝罪する必要もないと考えます。そもそもテレビ朝日には従業員の私生活まで綱紀粛正する権利もありません。

一方、テレビ朝日が謝罪すべきは『モーニングショー』等が振りかざしている次のような論調です。

(1) 組織の構成員の私的不祥事の責任を組織に課す論調(2) 構成員の不祥事を根拠にして無関係な組織の主張まで否定する論調(3) 大衆を怒らせ同様の行動に走ることを助長する論調

この記事で示したように、『モーニングショー』でこのような不合理な論調が頻繁に展開されていることは、社会にとって極めて有害です。テレビ朝日は『報道ステーション』を改革したように、『モーニングショー』の制作を抜本的に見直すべきであると考えます。この番組は政権チェックのフリをして明らかに社会を混乱させています。

編集部より:この記事は「マスメディア報道のメソドロジー」2021年4月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はマスメディア報道のメソドロジーをご覧ください。

藤原 かずえ

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