【進化するオフィス】約1000坪の「執務エリア撤廃」に踏み切ったIT企業......ウイングアーク1st

【進化するオフィス】約1000坪の「執務エリア撤廃」に踏み切ったIT企業......ウイングアーク1st

  • RBB TODAY
  • 更新日:2020/10/16
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ウイングアーク1stのエントランス。この場所は完全リモート移行後も残る

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オフィス環境の改革としてフリーアドレス制やテレワークを導入する企業は増えつつあるが、そこからさらに1歩進んだ取り組みを紹介しよう。

帳票やBIツールなどのソフトウェアサービスを手がけるウイングアーク1st株式会社は、同社オフィスのうち、およそ600名の社員の執務エリアとなっていた約1,000坪を解約することを決定。これは、従来のオフィス全体の約2/3にあたる面積だという。今後は、一般社員は原則として完全リモート、継続して利用する残り1/3のオフィスは、管理部門の執務エリアと商談スペース、フリーアドレスの作業スペースにするとのこと。

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ウイングアーク1stのエントランス。この場所は完全リモート移行後も残る

■コロナを機に「レガシーワークスタイルからの決別」を決意

同社では2016年から段階的にテレワークを導入してきた。当初は育児や介護などの理由のある社員を対象に週1回までを上限に導入。2018年には対象を全社員に拡大し、さらに2019年には週1回上限のルールも撤廃したことで、全体の86%の社員がリモートワークを経験するまでになったそうだ。とはいえ、この時点では社内全体に「リモートよりオフィス」というマインドがあり、部門によってもリモートワークの浸透に差がある状態だったという。

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テレワークは4年前から段階的に実施

今年の2月末からは、新型コロナウィルスの影響で原則リモートワークへ移行。その後、「新型コロナが落ち着いたら元の体制へ戻すのではなく、これを追い風にしてレガシーワークスタイルから決別しよう」という考えのもと、完全リモートワークを標準化することを決定した。

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撤廃された執務エリア。固定席で業務を行ってきた

インサイドセールスなどの電話で顧客とコミュニケーションをとるスタッフは、他の社員と同様にテレワーク化。重要な商談などは、今後も継続して使用するオフィスの応接スペースにて行うとのことだ。また、訪問営業については、コロナ禍で一時的に9割がオンライン化したものの、現在はオフライン商談も徐々に戻りつつあるとのこと。こちらについては、リモートワークが必須というではなく、リモートワークとリアルのバランスを重視しているそうだ。

コスト面では、撤退にともない一定の違約金は発生するものの、将来的にはオフィスの面積が2/3に削減された分、単純計算で家賃もおよそ2/3に削減できるという。違約金については、「それを負担してでも新しい方向に早くシフトしたほうが良いだろうという判断をした」と同社の人事・組織文化担当執行役員・吉田善幸氏は話す。

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コロナ後も元のワークスタイルへは戻らないと同社・吉田氏は強調する

完全リモート移行後に社員を対象に実施した調査では、多くの社員がリモート主体の働き方を好意的に受け止めており、成果の面でも遜色はないとのこと。一方で、一部の社員からは「リモートワークよりオフィスで今まで通り勤務したい。そのほうが効率が上がる」という声もあったそうだ。これに対して吉田氏は、「各自が最大のパフォーマンスを発揮できる環境を自らで選択してもらえればよいと考えている」という。なお、同社オフィスにはフリーアドレスのワークスペースが確保されており、社員は自由に利用できる。

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取材に訪れた日は退去フロアの片付けが行われていた

■今年度は完全リモートで新人を受け入れ。来年度以降はハイブリッドで

完全リモート化で懸念されるのが、新入社員や中途採用社員のフォローだ。同社では今年度の新入社員について、3月下旬に完全リモートでの受け入れを決定。例年実施している約6か月の導入研修をオンラインのみで実施し、配属も計画より前倒しで実施するなどイレギュラーな形となったそうだ。

来年度入社の社員については、選考をすべてリモートで実施。10月1日には内定者と役員をZoomでつないだオンライン内定式が実施された。

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オンライン内定式はZoomを使って開催

来年度以降の新入社員の受け入れや研修は、リモートとリアルのハイブリットを予定しているそうだ。これについては、リアルで一緒に過ごす時間をいかに濃密なコミュニケーションの場にするか、リモートでいかに知識の蓄積・集中に向けていくかが課題とのこと。

また、中途採用の社員についても、配属部門と人事部門が連携しての定期面談や週次のパルスサーベイの実施、メンターの配置など、リアルに近いフォローが行われているという。

■ワーケーションなどの取り組みも

同社では、このほかにもさまざまな取り組みを行っている。完全リモート移行後には、リモート手当の支給を行ったり、従来は管理職だけが参加していた会議をオープンにしたりと、環境の整備や信頼関係の構築のための施策を実施。今後は、サテライトオフィスの導入なども検討しているという。

さらに、離れた地域で仕事をするワーケーションも可能としている。実施にあたり特別な条件などはなく、WiFi環境を自分で確保し、業務や成果を上司と合意できれば可能。新卒社員のなかには、札幌の事業所に所属しながら首都圏に居住する人や、東京の本社に所属しながら故郷の上海にUターンしている人もいるそうだ。ただしこれは現段階での運用のため、今後、社員本人のキャリアの進展や会社の方針の変更によって変わる可能性もあるとのこと。

リモートワークの普及によって、会社のオフィスにこだわらなくても多くの業務を従来どおり進められることがわかり、働く場所に対する考え方も変わってきた。もちろん、継続的なリモートワークの実施にはまだ課題もあり、相応の準備も必要となるが、今後は同社のように「脱・オフィス」に踏み切る企業も増えていくのかもしれない

酒井麻里子

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