「ジョブ型雇用」で私たちの職業観はどう変わる?大手企業が次々に導入!

「ジョブ型雇用」で私たちの職業観はどう変わる?大手企業が次々に導入!

  • mi-mollet(ミモレ)
  • 更新日:2022/01/15
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日立製作所が全社員を対象に、仕事に対して賃金を支払う「ジョブ型雇用」に移行することになりました。新卒一括採用、年功序列、終身雇用という、いわゆる日本型雇用が終焉するという話は、以前から指摘されてきたことであり、すでにいくつかの大企業がジョブ型シフトを表明しています。日立という日本を代表する企業が本格導入することの影響は大きく、これをきっかけにジョブ型シフトを進める企業が増えそうです。

雇用制度としてジョブ型とメンバーシップ型の2種類があるという話は多くの人が耳にしていると思います。しかし、この表現は厳密には正しくありません。

諸外国の雇用は、仕事に対して賃金が支払われる、日本でいうところのジョブ型が一般的であり、メンバーシップ型雇用を全面的に採用している国というのは、筆者の知る限り日本しかありません。というよりも、そもそも海外にはメンバーシップ型という概念自体が存在せず、日本の雇用だけが特殊であることから、以前はメンバーシップ型雇用のことを日本型雇用と呼んでいました。

雇用制度の専門家がジョブ型とメンバーシップ型に分けて説明したところ、この区分が一気に浸透したのですが、背景には日本世論の保守化があると筆者は考えています。一部の国民は、日本だけが特殊だと説明すると、「何でも海外を真似をすればよいというものではない」などと過度に反発しますから、メディアは常に神経を使っています。

メンバーシップ型という言い方にすれば、様々な雇用形態のひとつである(つまり日本だけが特殊なわけではない)という印象を出すことができるので、メディアにとって都合が良く、こうしたオブラートに包んだ言い回しが普及したものと思われます。

しかしながら、日本型雇用(つまりメンバーシップ雇用)というのは、特殊な形態であることに変わりはなく、これは永続的な仕組みとは言えません。日本の雇用が、海外と同じジョブ型にシフトするのは必然であり、そのタイミングがとうとうやってきたと解釈した方が自然でしょう。

ジョブ型雇用のもっとも重要なポイントは、仕事に対して賃金を支払うという部分です。注意する必要があるのは、これは成果主義ではないということです。あらかじめ仕事の内容が決まっていて、それができる人材が採用され、賃金も最初から決まっているのがジョブ型雇用です。

日立は職種ごとに必要となるスキルを明示する、いわゆるジョブディスクリプション(職務記述書などとも言われる)を外部にも開示し、社内・社外を問わず同じ条件で人材の評価を行います。この方法は海外では一般的であり、求人の際には、その内容があらかじめ提示され、それに沿った人しか、採用の対象とはなりません。

事前の契約で仕事の内容が決まっていますから、それ以外の仕事をさせることはできませんし、ましてやサービス残業などあり得ないということになります。ジョブ型が普及すれば、いわゆる滅私奉公のような働き方は消滅する可能性が高いでしょう。

しかしながら、ビジネスパーソンにとってジョブ型雇用はメリットばかりではありません。仕事に就く前の段階でスキルと年収が明示されていますから、より高い年収を得たければ、新しいスキルを獲得して、それに合致する職種を探す必要があります。

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日本型雇用の世界では、がんばって何年間か仕事に励めば、昇給というパターンもあり得ました。しかしジョブ型雇用では、仕事に対してお金が支払われますから、仕事が変わらなければ賃金も同じ水準が続くことになります。

諸外国ではステップアップするため、多くのビジネスパーソンが大学などに入り直していますが、彼らは特段、勉強熱心なわけではありません。より高い賃金を得るためには、新しいスキルが必要であり、それを獲得するために大学に入り直しているのです。

つまり、ジョブ型の社会において賃金を上げるためには、明示的に新しいスキルを獲得する必要が出てきます。業務を通じて大きな成果を上げ、それが新しいスキルとして認められるという人は、ごくわずかですから、一般的なビジネスパーソンが年収を上げようと思った時には、何らかの学び直しを求められる可能性が高いでしょう。

政府は近年、生涯教育に関する政策を進めていますが、その背景には、ジョブ型雇用においては常に学び直しが必要という現実があるからです。

いずれにせよ、ジョブ型雇用の世界では、会社に入って漫然と過ごしていればやがて給料が上がるということはあり得ません。昇給しなくてもよいので、淡々と同じ仕事をこなして私生活を重視したいのか、次々とスキルをアップして高い年収を得たいのか、自身のキャリアプランについて明確にする必要があるでしょう。

前回記事「「30年前と全く一緒…?」AIに対する日本人の反応から見えてしまう厳しい未来」はこちら>>

加谷 珪一

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