半世紀にわたる時代ごとのパルコの広告を一望できる「1969 - 2023 PARCO 広告展」

半世紀にわたる時代ごとのパルコの広告を一望できる「1969 - 2023 PARCO 広告展」

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  • 更新日:2023/11/21
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2023年12月4日(月)まで、渋谷 PARCO 4FのPARCO MUSEUM TOKYOにて、「パルコを広告する」1969 - 2023 PARCO 広告展が開催されています。渋谷PARCOの開業50周年を記念した企画で、株式会社パルコが開業した1969年から半世紀を超える広告クリエイティブの歴史を一望できる展覧会です。

【目次】

展覧会での展示内容

本展では、パルコの広告クリエイティブの歴史を現在の視点から再解釈しています。会場は「2000年代以降」「1990年代」「1980年代」「1970年代」という4つの年代を遡っていくような構成です。

2000年代以降は「アート」、1990年代は「渋谷」、1980年代は「広告」、1970年代は「予言」と、それぞれの年代エリアごとに時代精神の遷移に対応したキーワードも1つの仮説として設定されました。展示されるポスターやCM作品は、エリアごとにそれぞれ2人のゲストキュレーターを招いて対談形式で選定されています。

1970年代「予言」

ここからは、それぞれの時代区分について少し詳しく見ていきます。展覧会の会場は2000年代以降からスタートする逆順ですが、分かりやすく1970年代からの正順で見ていきましょう。

1970年代のエリアの展示は、社会学者の上野千鶴子氏とテキストレーターのはらだ有彩氏がゲストキュレーターとして招かれました。1970年代は現代の多様性を肯定するような「予言」の時代と位置付けられています。

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「モデルだって顔だけじゃダメなんだ。」1975年AD:石岡瑛子/C:長沢岳夫/P:横須賀功光

アバンギャルドな表現が増えつつも伝統に回帰する流れもあり、ハイカルチャーとサブカルチャーといった相反する価値観もあるなど、1970年代は混沌としたエネルギーに満ちた時代でした。パルコの広告からも、そのエネルギーが伝わってきます。

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「1977 SUMMER」1977年AD:長谷川好男/I:山口はるみ

1980年代「広告」

1980年代は、「広告」が表現ジャンルの花形として注目された時代です。コピーライターなどの仕事にもスポットが当たり、より洗練された広告が次々と生まれた時代でした。展覧会の会場でのこの時代エリアのゲストキュレーターは、美術批評家の椹木野衣氏と編集者の菅付雅信氏が担当しています。

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「昨日は、何時間生きていましたか。」1985年AD:井上嗣也/C:仲畑貴志/P:加納典明

この時代については、「表層的には明るく軽やかでありながらも、ある種“難解”さを漂わせていた」と評価されています。人々の心を惹きつけて流行になったりするような印象に残るビジュアル、キャッチコピーが生まれ、やがて年代の後半では日本経済はバブル景気を迎えます。

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「狩人か。旅人か。」1983年AD:井上嗣也/C:糸井重里/P:十文字美信

1990年代「渋谷」

1990年代では、にわかに「渋谷」が取り上げられるようになり、日本のストリートカルチャーの中心地として確立されました。展覧会の会場でのこの年代エリアのゲストキュレーターは、歌手・エッセイストの野宮真貴氏と哲学者・作家の千葉雅也氏が担当しています。

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「いっそ、美人に。」1998年AD:秋山具義/C:糸井重里/P:エンリケ・バドレスク

1980年代には「渋谷系」という言葉も広まり、音楽やファッションなどに大きな影響を与えました。ガーリーカルチャーとの親和性が高かったことも特徴です。パルコの広告にも、そのような文化を牽引する人々が続々と同情し、パルコの広告を媒介として「渋谷」に世界の才能が集って広がっていった時代とされています。

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「HAPPY BIRTHDAY P'PARCO」1996年AD:信藤三雄/P:稲葉ゲン

2000年代以降「アート」

2000年代以降のゲストキュレーターには、アーティストの布施琳太郎氏と編集者の野村由芽氏が招かれています。2000年代以降は、広告の分野を含めて文化の中で「アート」の存在感が増し、やがて国民的コンテンツと言えるような存在にまでなりました。

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「PARCO SAYS,」2005年AD:箭内道彦/C:山本佳宏/P:重森豊太郎

デジタル表現が急速に拡大したのもこの時代です。パルコの広告では、目まぐるしい変化がある中でも「アート」との共存を目指し、挑戦的かつ人々のイメージを膨らませるような表現が生み出されています。

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「NO MORE IMAGE! PARCO」2001年AD:佐藤可士和/C:谷山雅計/I:谷田一郎

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「パルコを広告する」展は充実の内容ですが、入場無料で展示作品を鑑賞できる貴重な機会です。各2人のゲストキュレーターによる対談内容も、会場内で上映されていて必見です。

■期間:
2023年11月17日(金)~12月4日(月)

■開催場所:
PARCO MUSEUM TOKYO
東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷 PARCO 4F

■問い合わせ先:
株式会社パルコ
url.https://art.parco.jp/

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