
アンティーク着物を愛する吉田羊さんが、四季折々に着物のおしゃれを楽しむ様子を撮り尽くしたフォトエッセイ『ヒツジヒツジ』(宝島社)を発売。その至極の着こなしの数々から、「着物で遊ぶ」をテーマに切り取ったアソビゴコロあふれる着物語りを12か月に渡って綴っていきます。第4回で遊ぶのは「物語」。
こんにちは、吉田羊です。
着物スタイルだからこその「アソビゴコロ」お伝えする連載です。
今回のテーマは着物で自分なりの「物語=ストーリー」を作ること。
さまざまな柄のある着物だからこそできるアソビです。
ストーリーテラーになった気持ちで、
装いに物語を忍ばせてみましょう。
着物の柄で連想ゲームを楽しむ。
江戸~明治、大正、昭和初期に作られたアンティーク着物は、とにかく柄が豊富。西洋の文化が花開いた時期でもあり、心ときめくレトロモダンな柄がたくさんあります。面白い柄を見つけたら、そこから連想してコーディネートを考えることも着物の楽しみ。帯、帯留め、帽子やバッグなども合わせて、物語の世界を表現してみましょう。
装う季節の気分にも合わせたストーリーを。

こちらのテーマは「貴族の行楽」。行楽シーズンの春に着たいコーディネートです。平安貴族が描かれた帯を見つけ、そこから発想しました。「貴族がお出かけするとしたら馬に乗っていくだろう」ということで、馬をモチーフにした帯留めを。馬は通年モチーフなので、他にもスポーツや賭け事をテーマにしてもいいですね。

着物の柄は、「貴族が和歌を書く短冊に見える!」と思って選びました。これだけ色があるのにまとまって見えるのは、帽子、半衿、手袋、足袋、草履、トランクまで茶色で統一したから。馬の色ともリンクするように合わせる小物の色を考えました。
着物の柄に描かれた動物になりきるのも楽しい。



こちらのコーディネートの起点も帯。空から山と海を見下ろしているような絵が描かれた麻の夏帯を見つけ、「誰がこの風景を眺めているんだろう」というところから発想していきました。夏帯ということもあり、「そうだ! カモメだ!」と思いつき、カモメが描かれた着物をチョイス。「わたしはカモメ」とばかりに、山と海を俯瞰すると一艘の船が。ということで、帯留めには船のモチーフを。京都にあるアンティーク着物のお店「やゝ」で見つけました。
同じイメージの柄を総動員して世界観を統一。



「蝙蝠(コウモリ)」や「蜘蛛の巣」の柄は不吉なイメージと捉えられているかもしれませんが、実は縁起のよい柄。江戸時代から人気の柄として着物でも使われてきました。とはいえやっぱり、現代は「ホラー」や「ドラキュラ」といったイメージということで、いっそホラー感たっぷりのコーディネートに。蝙蝠柄の帯に蜘蛛の巣柄の着物。レースの羽織もどことなく蜘蛛の巣に見立てて。シルバーのウィッグでコスプレ度を高めて、秋のハロウィンの時期に着たいですね。
アンティーク着物は柄のモチーフが多彩なので、合わせ方によってその人の「好き」や「人生観」を表現できるのも面白いところ。昔話シリーズとして「うさぎと亀」を合わせたり、「蟹と柿」を合わせたりしても。「もしかして、これって」と着物で弾む会話も楽しいものです。
吉田羊さんのフォトエッセイ『ヒツジヒツジ』好評発売中です!

普段からアンティーク着物を愛する吉田羊さんが、その装いを日本の四季とともに楽しむ様子を、約9か月にわたり各地で撮影。
スタイリングは、すべてご本人。
春夏秋冬それぞれの季節に合わせた着こなしはもちろん、洋服とのリンクコーデやあの人物へのなりきりコーデ、そして彼女が伝えたい想いなど、盛りだくさんな内容。
吉田羊を解剖するうえで欠かせない、着物のおしゃれのすべてが詰まった一冊!
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キモノ語り:Yoh Yoshida edit & text:Masaki Takeda(mineO-sha)
photograph:Yuki Kosuge & Koji Fujii、Isao Hashinoki(ともにmodel)、Kozue Hanada(still)
※人物カットはフォトエッセイ『ヒツジヒツジ』(宝島社)から
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