三笘薫の挑戦。脱スーパーサブでドリブラーから「真のエース」へ

三笘薫の挑戦。脱スーパーサブでドリブラーから「真のエース」へ

  • Sportiva
  • 更新日:2021/02/22

『特集:Jリーグが好きだっ! 2021』
富士ゼロックススーパーカップ「川崎フロンターレvsガンバ大阪」

2月26日に開幕するJリーグ。スポルティーバでは、今年のサッカー観戦が面白くなる、熱くなる記事を随時配信。さまざまな視点からJリーグの魅力を猛烈アピールする! 今回は2021シーズンの幕開けとなる「富士ゼロックススーパーカップ」で2ゴールを決めた川崎フロンターレの三笘薫にスポットを当てた。

【写真】三笘薫の「ぬるぬるドリブル」は必見!

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今季の初陣でいきなり2ゴールを決めた三笘薫

三笘薫の名前を広く世に知らしめたのは、昨年11月の横浜F・マリノス戦で見せた圧巻の"80メートルドリブル"だろう。

自陣エリア手前でボールを拾うと、そのままドリブルを開始。追いすがる相手をスピードで置き去りにしてバイタルエリアに侵入し、寄せてきたCBを股抜きで翻弄。最後はもうひとりのDFを引きつけながら、絶妙なアウトサイドパスを味方に通し、ダメ押しゴールを演出した。

それまでも大卒1年目とは思えないパフォーマンスで川崎フロンターレの躍進に貢献してきたが、このプレーは別格だった。

「ありえないものを見てしまった」

そんな衝撃の"80メートルドリブル"は、2020年のJリーグで最もインパクトのあるプレーだった。

年が明けて2021年。新たなシーズンの初陣となった富士ゼロックススーパーカップで、三笘は早くも主役となった。

左ウイングとしてスタメン出場すると、29分に田中碧のパスに抜け出して先制ゴールを奪取。さらにその3分後には、山根視来のシュートのコースを変えてゴールに押し込んだ。

主導権を握りながらも得点を奪えないもどかしい状況を、三笘があっさりと打ち砕いたのだ。その立ち姿には、プロ2年目とは思えないほどの貫禄さえ漂っていた。

後半に2点を返されて追い詰められた王者・川崎だったが、ラストプレーで小林悠がゴールを奪い、昨季のリベンジに燃えるガンバ大阪の挑戦を退けている。

勝利の立役者となった三笘だが、そのスタイルには変化が感じられた。ドリブラーの色が濃かった昨季と比べると、よりゴールを意識したアタッカーの匂いが強まった印象だ。

もちろん、2ゴールを奪った結果だけで判断したわけではない。このG大阪戦では持ち前のドリブルを披露する機会が少なかった一方で、オフ・ザ・ボールの動きに工夫が見られたのだ。

逆サイドからのクロスに合わせる動き、縦パスを呼び込む動き、そして背後への動き出しと、いかにパスを引き出し、ゴールへ向かうのか。局面を打開してチャンスメイクするよりも、自らがゴールを奪うという主張がその動きからは感じられた。結果を意識し、実際に2ゴールを決めたのだから、さぞ満足のいく試合となったに違いない。

もっとも、試合後の三笘は2ゴールを喜ぶよりも、2点のリードを追いつかれたことを悔いた。

「2−0で折り返して、2−2にもっていかれてしまったのは反省点。個人としても得点以外は何もできていない印象があるので、改善していきたい」

さらに三笘は、「後半の2失点は前線の責任」とまで言い切った。リードしている状況で、もっとやるべきことがあったのではないか。

「前線の選手でも、守備で貢献しないといけないので反省しています」

その言葉の背景には、守備ができなければスタメンでは使われない、という危機感があるに違いない。

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昨季の三笘は30試合に出場したものの、スタメン出場は11試合にとどまった。記録した13得点の内訳は、スタメンで5得点、途中出場からで8得点だった。スタメンでもまずまずの結果を出しているとはいえ、途中出場から流れを変えるスーパーサブのイメージが強かった。

「途中からでしか決められないと思われているので、スタメンで出た時にもっとシュートを打って、ゴールに絡むのが課題。スタメンでも途中からでも、ゴールを決めないといけない」

三笘は昨季、自身の課題をそう口にしている。

ドリブラーの三笘とすれば、相手の動きが衰え、スペースも生まれやすい途中出場からのほうが、自らの特長を発揮しやすいと言えるだろう。あの"80メートルドリブル"も、途中出場から生まれたものだ。

ただし、その特長だけでは、あくまでスーパーサブの枠から抜け出すことはできない。いかに90分を通してピッチに立ち続けることができるのか。そのためにはドリブルだけではなく、体力も、走力も、守備力も、そしてゴールという結果も求められてくる。

「もっとスプリントをしないといけないし、守備でもプレスバックとか、ポジショニングも曖昧なところがある。そこを詰めていけばもっと成長できると思うので、常に上を目指したい」

これもまた、昨季の三笘が認識していた課題であり、乗り越えるべきテーマだろう。

スーパーサブから脱却し、試合を通して影響力を与えられる「真のエース」となれるのか。2021年、三笘薫の新たな挑戦が始まった。

原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

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