
祭壇に花を供え、産業殉職者の冥福を祈る参列者
産業殉職者を弔う「高尾みころも霊堂」(狭間町)で5月13日に春の慰霊祭が行われ、遺族など約70人が参列した。
黄金色に輝く11階建ての納骨堂が目を引くこの場所は、労働災害で亡くなった約27万人が合祀されている追悼施設。労災保険法施行20周年を記念して1972年に建立され、厚生労働省所管の独立行政法人労働者健康安全機構が運営している。
毎年秋に遺族や政財界、労働団体の代表などが参列する産業殉職者合祀慰霊式を催行しており、皇室から出席がある年も。公益財団法人産業殉職者霊堂奉賛会の主催で、春の慰霊祭と夏まつりが行われている。
遺族の願い
慰霊祭で同奉賛会の大石明理事長は「まつられている方々の安寧を祈るとともに、労働災害の根絶に向けて一層の努力を続けていく」と誓い、参列者全員で黙とうを捧げた。八王子市や中央労働災害防止協会など関係者らが献花を行い、遺族や一般参列者も祭壇に花を供えた。御霊の冥福を祈る箏曲の奉納や供茶も行われた。
毎回、慰霊祭に参列しているという90代の女性は、30年ほど前に業務中の事故で夫を亡くした。「月命日などで参拝に来るときは夫だけではなく、若くして亡くなった人たちなどに対しても手を合わせている」という。「労働災害が一件でもなくなれば」と願いを込めた。

高尾みころも霊堂
タウンニュース八王子版