
今年のオスカー、ベストドレッサーを一挙紹介! [c]EVERETT/AFLO
第95回アカデミー賞(以下、オスカー)の授賞式が、米現地時間3月12日夜、ロサンゼルス・ハリウッドのドルビー・シアターで開催された。作品賞はじめ主要な賞7つを獲得した『エブエブ』こと『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が独占!低予算での成功、アジア系による初の主演女優賞など快挙続きで、助演男優賞獲得時のキー・ホイ・クァンのスピーチなど感動的なニュースにあふれた。新時代の到来か、あるいは再来か、去年のスキャンダルとイメージを一掃するものとなった。名称もシャンパンカーペットとなり、生まれ変わった印象すらあるレッドカーペットから、ベストドレスなルックをお届けする。
【写真を見る】今年のオスカーをゴージャスに彩ったスターたちのドレスを一気見せ!妊娠中特有のボディラインを強調したリアーナ
賞だけでなく、ベストドレスも『エブエブ』から続出!
ピンクベージュにシルバーのビジューが美しいドルチェ&ガッバーナのドレスに身を包み、助演女優賞にも輝いたジェイミー・リー・カーティス。ドレスはシンプルだが華やかで、とても上品。ジェレミーの体型にもフィットしていて、なによりピクシーカットのシルバーヘアの輝きが、宝石に負けていない!ベテランならではの圧巻の着こなし。
主演女優賞を獲得したミシェル・ヨーは、ディオール・オートクチュールのホワイトドレス姿で登場。人種や性別だけでなく、年齢の壁をも超えてみせた。とはいえ、ひとつ間違うと“天使ちゃんのドリーミールック”になりそうなところを、ヘアをおろし、シアーな素材でデコルテを覆い、必要以上に肌を見せないことで攻略。実は彼女は二の腕しか肌を出していない。見えているのが、素肌なのか素肌感なのかで、その差は歴然。
助演女優賞にノミネートされたステファニー・スーが選んだのは、鮮やかなピンクのヴァレンティノ。フレッシュなヤングスターのお手本のようなルック。このスタイリングがすばらしいのは、胸元にアクセサリーをつけなかったこと。ネイルも控えめにして、ドレスと自身に目がいくようにしたのが大成功。
ショートドキュメンタリーフィルム部門でノミネートされた『Stranger at the Gate』にてエグゼクティブ・プロデューサーを務め、誰がみてもベストドレス!なルックだったのは、ノーベル平和賞受賞者のアクティビスト、マララ・ユスフザイ。ラルフ ローレンのスパンコールドレスとマッチさせたシルバーのヒジャブが最高のカスタムオーダー!
今年の“レッドカーペット”は、実際は赤ではなく、シャンパンカーペット。「これベージュ?地味じゃない?」という今年の変更を最も効果的に使ってみせたのが、エリー サーブのレッドドレスを選んだカーラ・デルヴィーニュ。股まで入ったスリットから出す脚、ワンショルダーのビッグなリボンとブルガリのバングルなど、体の右側に“出す”“盛る”を徹底。そのアシンメトリーなバランスをとるために反対側の左へぴっちりと寄せたヘアスタイルなども合わせて、スーパーモデルであることも思い出させるすばらしいポージングとスタイリング。
ヴェルサーチェのブラックドレスをチョイスしたレディ・ガガ。ガガ様にしてはおとなしい印象?いいえ、このドレスの真価は、バックサイドから見た時に発揮される!体の前面からコルセットのように包んで女性のボディラインを華麗に強調し、背面はヒップのチークまで見える位置までえぐられたデザイン。授賞式のわずか3日前にロサンゼルスで行われたヴェルサーチェのショーで発表されたばかりのデザインだから、ガガ様のサイズに完璧に合わせたスタイリストチームもあっぱれ!その後のすっぴん&Tシャツ姿での『トップガン マーヴェリック』パフォーマンスとのギャップもあいまって、どのメディアも絶賛。
完璧な母娘コーデを披露したアンジェラ・バセット
『ブラック・パンサー:ワカンダ・フォーエバー』で国王(息子)を失ったエモーショナルな女王を演じたアンジェラ・バセットが選んだのは、ジェレミー・スコットによるモスキーノのパープルドレス。ジェレミーのデザインは時折ダイナミックすぎるのだが、ドレスに負けないドラマティックなオーラで着こなすあたりはさすが。ドレスのシフォン素材にあわせた柔らかなボリュームのヘアスタイルや、一緒に来場した娘にもパープルのドレスを合わせてマッチさせてくるなど、惜しくも助演女優賞は逃したものの、ベストドレス・クイーンの称号は得たようだ。
2月のスーパーボウル・ハーフタイムショーで、第二子を妊娠中であることを発表したリアーナ。妊娠中特有のボディラインを愛して自信をもって見せることで、ファッションを楽しむすばらしさを公言している彼女がどんなルックを選ぶかに注目が集まっていたが、“宣言どおり”の豊かなバスト、ウエストまわり、ヒップを最もセクシーに見せるアライアのドレスでお目見え。トウが出ているシューズで抜け感を出し、ヒップのサイドに入ったスリットがとてもセンシュアル。
昨年、主演女優賞を受賞して、今年はプレゼンターを務めたジェシカ・チャステインのドレスは、裾のドレープとの対比が美しいスレンダーラインのグッチ。昨今のレッドカーペット女優たちの間でトレンドとなっているナチュラルスタイリングヘアを合わせた。けれどナチュラルに見えて、ペンシルラインのストレートなドレスとのコントラストを活かす、実は計算尽くされたヘア。ドレスには色味がないため、深紅のリップやレッドヘアの分量を多く見せることで、温かみも加えるといった技ありグルーミングとコーディネートだ。
『リトル・マーメイド』のアリエル役で一躍スターダムに躍り出たハリー・ベイリーは、アクアカラーのドルチェ&ガッバーナのドレスで登場。ヘアスタイルやドレスのキュートさも、“ザ・ディズニープリンセス”なスタイル。レッドカーペット常連になるまでは、自身の作品を彷彿させる(それがセレモニーへ招待された理由なのだから)ルックをするのが正解。若者だけど、奇をてらわないスタイリングに徹したハリーは好印象で、各メディアからお姫様扱いを受けることに!
文/八木橋 恵