県全体では地価の下落が続いている香川県の中で、市町別の住宅地で唯一上昇したのが直島町です。過疎高齢化が進む島が多い中でほかの離島にはない特異な現象が起きています。
【写真を見る】「今はもう物件がない」島の空き家バンクに空き家がない!瀬戸内海の離島の住宅地 “地価上昇”の理由は
瀬戸内海・離島の空き家がなくなった!
高松港からフェリーで約1時間、瀬戸内海に浮かぶ直島です。平日でも多くの外国人観光客が訪れるこの島では、ちょっとした異変が起きていました。
(古川豪太記者)
「島の住宅地の中にあるこちら(【画像】)の空き家、直島町の空き家バンクに登録してあるのですがすでに売約済み」
「こちら(【画像】)の空き店舗と、住宅が一つになった空き家もすでに売約済みです」
香川県内の市町住宅地で唯一地価上昇 なぜ?
住む人がいなくなった空き家や土地を有効活用したい。。。直島町でも8年前から空き家バンクをつくりマッチングを進めています。
ところが、ほとんどが1000万円以下で購入できることもあり、町に依頼があった物件はすでにすべて売約済みとなりました。
(直島町 町づくり観光課 前田浩作課長)
「今はもう物件がない状態なので、逆に物件を募集というか探している状態で声掛けしたりとか」
多くの離島で空き家の増加が問題となる中、売買できる物件がない直島。今年の地価調査では、香川県の市町としては唯一上昇しました。
(地価調査香川分科会 鳥飼和彦代表幹事(不動産鑑定士))
「今回直島が特に上昇したというのは、やはりインバウンドの影響が大きかったのかなと。さらに、移住者等の宅地需要に対し供給が少ないことが上昇の要因となっております」
「直島の魅力とは?」移住者に聞いてみると
(古川記者)「こんにちは、もうこちら長いんですか」
(川﨑菜美さん)「今年で8年目になります」
(川﨑光紘さん)「直島一択で移住してきました」
島でカフェを開いた川崎さん夫婦です。直島は移住したい人にとって魅力があるといいます。
(川崎光紘さん)
「この島のこの雰囲気が、なんかこういわゆる一般的にイメージする『過疎地限界集落』だとか、そういうのとはちょっと違ったので」
空き家バンクで500万円ほどで購入した土地にカフェとともにたてた宿泊施設は、すでに3か月先まで予約で一杯。外国人観光客のニーズが絶えません。
直島の「嬉しい悲鳴」は続くか
川崎さんは、直島に空き家がないのもわかるといいます。
(川崎菜美さん)
「移住したいんですけどという相談を受けることが多いんです。なので、その声を聴いているとああそうなんだと思って」
民間での売買も活発で、今は空き家バンクに新たな物件がほとんど出ないといいます。それでも現在50人ほどが物件が出るのを待っている状態です。
(直島町町づくり観光課 前田浩作課長)
「産業として成長していくところがあればいいなと期待があったんですけど、だんだんそれに近づきつつあると。このニーズは引き続き継続していくかなと思っています」
移住したいという需要に対し、空き家という供給がないから地価が上がる。空き家の増加に悩む離島が多い中で、直島のうれしい悲鳴はまだ続きそうです。