クロス取引をわかりやすく解説!活用方法やメリット・デメリットは?

クロス取引をわかりやすく解説!活用方法やメリット・デメリットは?

  • ティッカートーク
  • 更新日:2023/06/09

クロス取引とは

クロス取引とは、売りと買いを同時に行い、その取引で得た利益や損失を相殺する取引手法の1つです。

同じ銘柄に対して同じ数量の買い注文と売り注文を同時に出し、それらが同一価格で約定されることで、株価の変動リスクを最小限に抑えながら、株主優待などの利益を得ることができます。

また、クロス取引は株主優待狙いだけでなく、リスクヘッジのためにも利用されます。

例えば、ある銘柄を保有しているが、急激な株価の下落などにより損失が懸念される場合、クロス取引を使って損失を回避することができるのです。

ただし、過剰に行うと市場操作などに該当する危険性があることも頭に入れておきましょう。

不正な目的でクロス取引が行われた場合、証券取引法違反に該当する可能性があります。

例えばクロス取引を行うことで、一時的に株価を操作し、他の投資家から利益を得ることができる場合があります。このような行為は市場の公正性を損ねることになるため注意が必要です。

優待クロス取引とは

優待クロス取引とは、株主優待を獲得するために行われるクロス取引の1種で、通常のクロス取引と異なり、株主優待権利落ち日の前日に行われます。

株主優待権利落ち日とは、株主優待を受けるために株主になっていなければならない期日のことです。

この期日を過ぎると、株主優待権利が認められなくなります。

優待クロス取引では、株主優待権利落ち日前日に、同じ銘柄に対して同じ数量を買いと売りでクロス取引することで、株主優待権利を確保することが可能です。

例えば、ある株式が1,000円で、年に1回の株主優待がある株式の場合、1株 1,000円を10株買い注文を出し、同時に1,000円で10株売り注文を出します。

すると、この注文が同時に約定することにより買いと売りが相殺され、株主優待をもらえるという仕組みです。

もしもこの銘柄の株主優待が1株につき500円分の商品券であった場合、10株保有することにより5,000円分の商品券を受け取ることができます。

また、株を長期間保有する必要がなく、短期間で優待を獲得することができるので、資金効率が高くなるのも利点です。

ただし、手数料や売買価格の差額などによる損失が発生するリスクはゼロではない点は理解しておかなければなりません。

優待クロス取引のメリット

優待クロス取引は、株主優待を受け取れること以外にも次のようなメリットがあります。

短期保有で資金効率アップが図れる

優待クロス取引を利用することで、株式を短期間で取引して株主優待の権利を得ることができます。

基本的に株主優待を得るためには株式の長期保有が必要です。しかし優待クロス取引を利用することで、短期間で株主優待を得ることができるのです。

資金を長期間拘束することなく、効率的に運用することができるため、資金効率が高くなるのは言うまでもありません。

長期保有と比べて、同時に複数のポジションを持つことができる優待クロス取引の方が効率的に資金を使えるため、同じ資金でより多くの利益を得ることができる可能性があります。

特に資金が豊富でない投資家にとって、資金不足が原因で欲しい銘柄を泣く泣く見逃すケースがしばしば発生しますが、優待クロス取引を利用することで、より多くのチャンスをものにすることができるようになるでしょう。

リスクヘッジできる

クロス取引では、同時に売りと買いの注文を出すことによって、買いの含み益と売りの含み損が発生します。

この含み益と含み損が相殺されることでリスクヘッジとなり、株価がどちらに動いても損失を抑えることができるのです。

リスクヘッジをする方法は分散投資、オプション取引など複数ありますが、クロス取引は他のリスクヘッジ方法に比べて取引が比較的簡単であることが人気の理由の1つです。

例えば、オプション取引は多くの知識や経験が必要となるため、初心者には敷居が高いとされています。一方で、クロス取引は、現物取引と信用取引の知識があればできるので、比較的手軽にリスクヘッジを行うことが可能です。

優待クロス取引の注意点

優待クロス取引は、株価変動リスクを避けながら株式優待をもらえる人気の投資手法ですが、いくつか注意点があるので解説していきます。

ザラ場中にクロス取引を行ってはいけない

株式市場が開いている時間帯をザラ場と言い、この時間のクロス取引は、市場操作とみなされ、法律で禁止されている「仮装売買」扱いになってしまう可能性があります。クロス取引を行う際は、株式市場が開いていない時間帯に注文するようにしましょう。

また、証券会社によってはクロス取引の注文に制約を設けている場合がありますので、事前に証券会社のホームページなどをよく確認するようにしましょう。

コストがかかる

クロス取引をする際は信用取引を用いる必要があります。信用取引には制度信用と一般信用の2種類があり、制度信用は貸株料は安いですが高額の逆日歩が発生します。

一般信用を使えば逆日歩の支払いはありませんが、高めの貸株料と手数料を証券会社に支払うことになります。

関連記事:信用取引とは?初心者はやめておくべき?売買の仕組みと特徴を解説

在庫不足

信用売りをするには株式を借りる必要があります。欲しい銘柄の在庫がなければ借りられず、取引不可になるケースがあります。特に人気銘柄になると在庫がなくなってしまうため、在庫確認は早めにしておきましょう。

信用売りの対象銘柄ではない可能性がある

信用取引では、借りられる銘柄なのかをまずチェックする必要があります。

制度信用では、制度信用銘柄と貸借銘柄に指定された株しか取り扱っていません。一般信用売りでは制度信用で取引できない銘柄も売買でき、各証券会社が銘柄を指定しています。

一般信用を使うのか制度信用を使うのかで、銘柄選びが変わってくる点にも注意しましょう。

配当落調整金がかかる

優待クロス取引をすることで株主優待とともに配当金を受け取れることがありますが、信用売りしてると逆に配当金を支払わなければならないというシステムがあります。これを配当落調整金と呼びます。

優待クロス取引で株主優待はもらえますが、配当金に関しては調整金を徴収されてしまうため、全額受け取ることはできません。

優待クロス取引のやり方

優待クロス取引は以下の3ステップで始められます。

権利付最終売買日を確認する

株主優待はその銘柄をいつ保有していてももらえるというものではありません。株主優待をもらうには、権利付最終売買日までに株式を買う必要があります。

権利付最終売買日…株主としての権利を得ることができる最終売買日のことで、権利確定日の2営業日前

権利確定日の当日に株を買っても株主優待や配当金はもらえないので注意しましょう。

権利確定日…株主の権利(株主優待や配当金をもらう権利)を得ることが確定する日

権利付最終日は権利確定日を含め3営業日前に設定され、例えば3月末に決算がある銘柄は3月31日(水)が権利確定日、30日が権利落ち日(火)、29日が権利付最終売買日(月)です。

※土日祝日は証券会社が休みなので、営業日は平日のみです。

なお、権利確定日は必ずしも月末ではないので、企業や証券会社のホームページなどで確認しましょう。

現物買いと信用売りを同時に発注する

権利付最終売買日までに、現物買い注文と信用売り注文を同時に発注します。

現物買いと信用売りは同じ株数・同じ値段で発注しないとクロス取引の意味がなくなってしまうので、寄り付き前に成行注文を出しておきましょう。

権利落ち日以降に現渡で返済する

株主優待目的の売買の場合は、権利落ち日以降なら株を売っても問題なく株式優待を受け取れます。

権利落ち日…権利付最終売買日の翌営業日

権利落ち日以降に現物買いした株と、信用売りした株を相殺するため現渡(げんわたし)を行います。

現渡…信用売りした株を、保有している現物株を返却して返済すること

なぜ現渡で返済するかというと、現物で持っている株を売るときの売買手数料と、信用売りを返済するときの売買手数料がかからないからです。これによりコストを抑えてクロス取引ができるようになります。

クロス取引は数量ミスにも要注意

クロス取引で注文する際、買い株数と売り株数のチェックは必須。特に複数の銘柄でクロス取引する場合は、何度も見直すことが大切です。

例えば1株2,000円の銘柄を現物買い100株、信用売り1,000株で発注してしまった場合、価格差は180万円。売り株数が多いと株価が上がれば損失になるため、株価が下がることを祈るしかありません。

株主優待を獲得しながら株価変動のリスクを回避できるクロス取引ですが、ちょっとしたミスで思わぬ損失を出さないよう気をつけましょう。

ティッカートーク

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加