長野県中野市で、猟銃や刃物を持った男が女性や警察官らを襲い、4人が死亡した事件。立てこもり先の民家から警察官の説得に応じて出てきたところを確保され、殺人容疑で逮捕されたのが、地元の中野市議会議長の息子で農業・青木政憲容疑者(31)。なぜこのような凶行に及んだのか。「警察で動機について何らか話しているようだ」と話すのは犯罪ジャーナリストの小川泰平氏。ただ警察が公表を控えているといいます。(2023年5月26日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)
◎小川泰平氏(元神奈川県警刑事 30年の勤務経験 第一線で数々の事件を解決)
躊躇なく警察官に2発発砲 その時「ちょっとニヤッとしていた」(目撃情報)
---5月25日午後4時半ごろ、男が女性を刺したと110番通報がありました。青木容疑者は猟銃とサバイバルナイフを所持していて、サバイバルナイフは刃渡り30センチほどあったのではないかという情報も。そして村上幸枝さん66歳、竹内靖子さん70歳の女性2人が亡くなっています。村上さんに関しては青木容疑者の母親と友人関係にあったのではないかという話があります。村上さんと竹内さんは同じようなタイミングで襲われたのではないかと言われています。また、駆けつけた警察官2人も猟銃で撃たれて亡くなっています。青木容疑者は自宅に立てこもりました。犯行には猟銃とサバイバルナイフということで、おそらく殺傷能力の非常に高いものを使ったのだろうということですよね?
(三澤肇・MBS解説委員)警察官2人が殉職しているという中で、胸に命中したと。ではどれぐらい殺傷能力のある銃だったのか。猟銃でも散弾銃とか、一発弾というクマとか撃つものとかいろんなタイプがありますので、一体どういう銃を保持していたのか非常に気になるところが多いですね。
---25日夜から26日朝にかけても動きがありました。25日は午後8時35分ごろ、自宅の現場から母親が逃げ出してきて救助されています。そして26日は午前0時10分ごろにおばが逃げ出して救助されています。警察は電話で容疑者を説得していました。説得などを受けて投降の意思を示したということで、午前4時37分に身柄を確保され、午前8時21分に青木政憲容疑者は殺人容疑で逮捕されました。容疑を認めているということです。電話での説得というのがうまくいったんだろうということですか?
(小川泰平氏)結果的には説得によって本人が自ら投降してきたということになるので、それはうまくいったというふうに言えるとは思うんですが、それまでの経緯がちょっとどうだったのかなというところはあります。例えば、敷地内に70歳の女性が倒れているわけですけども、結局身柄を確保するまで救助ができなかった。結果論になりますけども。また、最初に通報されて警察が向かっていましたが、その間、容疑者は現場を離れています。容疑者は逃走したという一報が入っていますが、いったん自宅に戻って猟銃と散弾銃等を持ってきた可能性があります。その間、警察が当然パトカーで現着します。現着したと同時に躊躇なく、猟銃を発砲している。警察官に向けて2発発砲して2人の警察官が殉職。警察官は通常、防刃チョッキという、刃物なら大丈夫なベストを着ています。今回も110番の内容が、サバイバルナイフのようなもので切られた女性がいるっていうことなので、防刃チョッキで向かったと思います。ただ警察官は拳銃持っています。相手が散弾銃とかを取り出せば、当然、警察官も拳銃を出す準備をするのですが、拳銃を出す準備をするいとまがないぐらい躊躇なく発砲しているということが言えるのかなと思います。その間、目撃者の話なんですが、ちょっとニヤッと笑っていたという話が出ています。しかも当時、迷彩服の上下に迷彩柄の帽子をかぶっているというところで、その辺にもちょっと違和感を私は感じました。

(丸田佳奈医師)猟銃を簡単に扱えるところですね。やはり日本で銃を所持するのは非常にハードル高いわけですから、やっぱり我々にとってより脅威になりうるわけなんで、やっぱり安全性。あとは本人のものなのか、家族のものなのか。管理方法っていうことにもなってきます。昨年、埼玉県で訪問診療の医師が猟銃で亡くなっていますので、やはり猟銃の免許のあり方っていうのも今後考えていかなきゃいけないのかなと。
青木容疑者は母親のジェラート店を手伝っていた 父親の果実園から桃やブドウを店に運ぶ姿を見た人も
---青木容疑者は長野県公安委員会から猟銃の所持の許可を受けていたということです。引き続き小川さんに聞きますが、やはり一番気になるのは動機ですよね?
(小川泰平氏)現在、身柄拘束されて長野県警で取り調べを受けていますが、今の状況からすると、取り調べには素直に応じている。また、この犯行については認めているということなんですけども、動機については、どうやら本人はしゃべっているようなんですが、警察の方が会見ではですね、ちょっと動機については差し控えると。捜査に支障があると困るのでというような言い方をしているので、とんでもないことを言い出しているのかどうかわかりませんけども、本人は動機ということで何かは伝えている、話しているようです。
--容疑者の人物像。父親は議会の議長で、近隣の人によりますと、母親は、大変明るくておしゃべりな人だった、というような話も伝わってきていますが、人物像に関してはどう見ていますか?

(小川泰平氏)周辺取材をすると、母親がジェラート店をやっていますが、青木容疑者も手伝っている。実際に、父親がやっている果実園、桃やブドウとかをジェラート店に運んでいるのを見た方がいるというような話があります。家族内でこの青木家の家庭内で何かトラブルとか聞いたことありますか?と話したんですが、「そういったことは聞いたことはない」という方が多かったです。あとは容疑者、あんまり外に出ているのを見たことがないっていう方も結構いました。引きこもりのような生活だったんじゃないですかという方も何人かいました。本人は2015年、今から8年前に最初に銃の所持許可を得ています。その後、銃を3回くらい買い足しているのですが、実際、散弾銃・猟銃を何の目的で所持していたのか。そして今回、迷彩服、迷彩柄の帽子をかぶっているというようなことですが、やはり一番知りたいのは動機ですね。あとは敷地内で亡くなっている70歳の女性と容疑者との関係。もしくは青木家の者との関係。あとは、立てこもったのが自宅なんですが、当時、自宅に父親がいません。きのうは父親がいないのを知っていて立てこもったのか、たまたま立てこもろうとしたら父親がいなかったのか。父親がいればまた違う展開になっていた可能性も当然あるかなというふうには思いました。