
いい音爆音アワー vol.139「熱唱♪ハイトーン男子」
2023年5月17日(水)@ニュー風知空知
ポップミュージックにおいて、やはりボーカルはとても重要ですね。サウンドがいくらよくても、ボーカルがよくなければガッカリです。で、歌の巧さ、歌唱力ももちろんだいじですが、たぶん声質のほうが、その曲の好き嫌いに大きく影響するんじゃないでしょうか。だから声質が売れ行きを左右するってことはかなりあると思います。
もちろん、どんな声質が売れるのかなんてことは一概に言えないし、たぶん時代や地域によっても変わるでしょう。ましてや、高い声と低い声のどちらが受けるかというような単純なことではありませんが、ざっくり言って、男性シンガーだと、昔は低音ボイス、低くて深みのある声のほうが人気があったような気がします。「低音の魅力」みたいなキャッチで、フランク永井とかバーブ佐竹とかは呼ばれていましたし、洋楽でもフランク・シナトラとかナット・キング・コールとか。プレスリーも低域を響かせるような歌い方でしたね。
だけど今はハイトーンの時代じゃないでしょうか。エド・シーラン、“Maroon 5”のアダム・レヴィーン、ブルーノ・マーズ、ウィークエンドなどなど、今売れている男性シンガーってみんなハイトーンですよね。「低音の魅力」で売ってる人って、誰かいますかね? David Kushnerくらいですか…。
また、昔は男性シンガーでハイトーンと言うと「ファルセット」ってことでしたが、今はファルセットというより、声そのものが高いような人が多いような気がします。声帯自体も変わってきてるのかな?
ハイトーン男子の今/昔、16人選んでみました。
ふくおかとも彦 [いい音研究所]

①The Rubettes (Paul Da Vinci)「Sugar Baby Love」
“ルベッツ”(昔は日本では「ルーベッツ」と呼ばれてましたが…)という英国のバンドのデビューにして、大ヒット曲。1974年1月に発売されて、英国では4週連続1位、ドイツやオランダなどヨーロッパでも各国で1位。米国では37位止まりだったものの、世界で約600万枚を売り上げました。
この曲の“売り”が、ボーカリストのものすごいハイトーンのファルセットによるテーマとそれに絡む「バッシュワリ」というコーラスなんですが、レコードではリードボーカルがバンドのボーカリスト、アラン・ウィリアムズではなく、ポール・ダ・ヴィンチという人でした。なんでそんなことに!?というと…
プロデューサーが、当時Polydor RecordsのA&R、ウェイン・ビッカートンという人なんですが、彼が相棒のトニー・ワディントンとともにこの曲をつくって、スタジオミュージシャンを集めてデモテープを録りました。それをいくつかのアーティストにプレゼンしたのですが断られ、結局デモをレコーディングしたミュージシャンたちでバンドをつくり、“The Rubettes”と名づけ、この曲でデビューすることに。ただ、ボーカルのポール・ダ・ヴィンチはソロでやりたいからと辞退したので、コーラス担当だったアランをリードボーカルにしたというわけでした。
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シングル(1974年1月発売)
作詞・作曲:Wayne Bickerton, Tony Waddington/プロデュース:Wayne Bickerton
レーベル:Polydor
全英4週連続1位、全米37位、ドイツ・オランダ・ベルギー・オーストリア1位
・lead vocal: Paul Da Vinci

②The Spinners (G.C. Cameron)「It's a Shame」
“The Spinners”はデトロイト出身のボーカルグループ。1961年にデビューして、64年にMotownに移籍、72年にはAtlanticに移籍して、それからヒットを連発するのですが、Motownにいる間は1曲しかヒットがなかった。それがこの「It's a Shame」です。この曲のリードボーカルをとっているのがG.C. キャメロン。彼は67年にスピナーズに加入、そしてAtlanticにはいかないでモータウンに残り、ソロになりました。なので最盛期のスピナーズはだいたいボビー・スミスがリードを取っているんですが、ファルセットでの歌唱はキャメロンのほうがちょっとウワテという感じ。
この曲はスティーヴィー・ワンダーがソングライター3人のうちの一人となっていて、プロデュースもしています。実はこれがスティーヴィが他人をプロデュースした最初の作品だそうですが、彼はなんと、このシングル発売時で20歳になったばかり。レコーディング時はまだ19歳でした。
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シングル(1970年6月11日発売)
2nd アルバム『2nd Time Around』(1970年10月発売)収録
作詞・作曲:Stevie Wonder, Lee Garrett, Syreeta Wright/編曲:Paul Riser/プロデュース:Stevie Wonder
レーベル:V.I.P.
シングルは全米14位、R&B 3位 アルバムは全米199位、R&B 46位
・lead vocals by G.C. Cameron
・background vocals by Bobby Smith, Pervis Jackson, Henry Fambrough, Billy Henderson
・演奏:Stevie Wonder & the Funk Brothers
・The Spinnersは1972年にAtlanticに移籍し、Thom Bellプロデュースの下、ヒットを連発していく。その際、G.C. Cameronはモータウン社長、Berry Gordyの姉のGwen Gordy Fuquaとつきあっていたこともあり、従兄弟のPhilippé Wynneを後任に指名しつつ、自らはモータウンに残った。
G. C. Cameron (George Curtis Cameron):
1945年9月21日、ミシシッピ州マッコール・クリーク生まれ

③Curtis Mayfield「Future Shock」
カーティス・メイフィールドという人はほぼファルセットでしか歌わない人で、それはソロになる前、“The Impressions”の一員だった60年代からそうでした。まあコーラスグループの中では高音部担当ってことで分かるんですが、ソロシンガーとしてファルセットのみというのは、当時はけっこうユニークだったと思います。
1970年からソロになるんですが、社会問題に目を向けた歌詞や、ファンクやジャズを取り入れた当時としては革新的なサウンドづくりで、マーヴィン・ゲイ、ダニー・ハサウェイ、スティーヴィー・ワンダーらに先んじて、ニュー・ソウルあるいはプログレッシブ・ソウルとかサイケデリック・ソウルと呼ばれたシーンを牽引しました。
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第1弾シングル(1973年発売)
4th アルバム『Back to the World』(1973年5月発売)収録
作詞・作曲:Curtis Mayfield/編曲:Rich Tufo/プロデュース:Curtis Mayfield
レーベル:Curtom
全米39位、R&B 11位 アルバムは全米16位、R&B 1位
・Curtis Mayfield: guita, vocal / Phil Upchurch: guitar / Joseph "Lucky" Scott: bass / Rich Tufo: keyboard / Henry Gibson: percussion / Quinton Joseph: drums
カーティス・メイフィールド:
1942年6月3日、米国イリノイ州シカゴ生まれ
1956年(14歳)、高校の友人、Jerry Butlerのグループ“The Roosters”に参加。
1958年、The Roostersは“The Impressions”となる。
「For Your Precious Love」(1958)、カーティス作の「People Get Ready」(1965)などがヒット。
1970年、The Impressionsを脱退。ソロ活動へ。
同年9月、1st ソロ・アルバム『Curtis』リリース。
1972年7月11日、blaxploitation映画のOST アルバム『Superfly』リリース。全米1位を獲得。1200万枚以上を売り上げた。
・・・
1999年12月26日、死去。57歳没。

④オフ・コース(小田和正)「眠れぬ夜」
日本のハイトーン男子とくれば、小田和正を外すわけにはいきません。この人の場合はファルセットじゃないですね。声変わりしないまま大人になったような。ただ、彼の声は好きなんですが、好きな曲があまりないんです。「眠れぬ夜」だけは大好きなんだけど。
この曲はかなり初期です。まだ“オフ・コース”という表記で、小田さんと鈴木康博さんの2人だけの時代。シングルはオリコン48位、最初のスマッシュヒットでした。このアルバムから東芝EMIの担当ディレクターとなった武藤敏史さんが、元々バラードだったのをビートポップにするよう提案したそうで、それがよかったと思います。
1980年に西城秀樹がカバーをしていますが、そのキーがE♭なのに対し、小田さんはG。2音も高いんです。
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7th シングル(1975年12月20発売)
3rd アルバム『ワインの匂い』(1975年12月20日発売)
作詞・作曲:小田和正/編曲:オフ・コース/プロデュース:武藤敏史
レーベル:EXPRESS(東芝EMI)
オリコン48位 アルバムはオリコン62位
・西城秀樹のカバー(1980年12月16日発売)は、オリコン10位、約27万枚を売り上げるヒット。
・武藤敏史は元“ザ・リガニーズ”(新田和長他)のメンバーで東芝音楽工業に入社。

⑤BLANKEY JET CITY(浅井健一)「ダンデライオン」
“BLANKEY JET CITY”の活動期間はちょうど90年代の丸十年間。その後のほうが2倍以上も長くなった浅井健一ですが、彼もかなり特殊なハイトーン声の持ち主ですね。やはり声変わりしてないのかな?
その声がたっぷり味わえる佳曲が「ダンデライオン」という曲です。浅井健一のお母さんが「それまでの曲で一番いい」と語っていたらしいですが、私もお母さんに賛成です。テレビドラマの「お熱いのがお好き?」の主題歌としてつくったので、アルバムと関係ない独立シングルでした。
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13th シングル(1998年8月26日発売)
作詞・作曲:浅井健一/編曲・プロデュース:BLANKEY JET CITY
レーベル:ポリドール
オリコン5位
・1997年に東芝EMIからポリドールに移籍。
ブランキー・ジェット・シティ:
浅井健一(あさい・けんいち 愛称:ベンジー 1964年12月29日生まれ 愛知県出身): vocal, guitar
照井利幸(てるい・としゆき 1964年2月28日生まれ 愛知県出身): bass
中村達也(なかむら・たつや 1965年1月4日生まれ 富山県出身): drums
1990年8月4日〜、「イカ天」に出演。「第6代グランドイカ天キング」を獲得し東芝EMIと契約。
1991年4月、デビュー・アルバム『Red Guitar and the Truth』をリリース。
1997年、ポリドールに移籍。6月、6th アルバム『Love Flash Fever』をリリース。
2000年5月、8th アルバム『Harlem Jets』リリース。発売前に「最高のアルバムが出来たのでおれたちは解散します」と、突然の解散宣言。アルバムは自己最高となるオリコン初登場2位を記録。

⑥Novelbright(竹中雄大)「Sunny Drop」
2020年にメジャーデビューしたばかりのバンド“Novelbright”。このバンドのボーカリスト、竹中雄大がすごいハイトーン男子です。やはりファルセットという感じではないし、高域への移行も実にスムーズで、しかも高域がめちゃパワフル。なんと、口笛の名手でもあって、世界大会で2度優勝しているそうです。その口笛を披露している曲もありますが、この「Sunny Drop」には入っていません。メジャーでの最初のシングル(配信限定)でした。編曲・プロデュースは亀田誠治です。
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メジャー1st 配信限定シングル(2020年8月17日発売)
2nd アルバム『開幕宣言』(2021年4月28日発売)収録
作詞:竹中雄大/作曲:竹中雄大・沖聡次郎/編曲・プロデュース:亀田誠治
レーベル:ユニバーサル・シグマ
アルバムはオリコン6位
ノーベルブライト:
2013年9月13日、竹中雄大[ゆうだい](1995年11月10日、兵庫県姫路市生まれ vocal, 口笛)他、キム兄(g)、Takuya (dr)、勇太郎(b)で結成。
2016年7月、キム兄とTakuyaが脱退し半年間活動休止する。
2017年1月、新メンバーとして山田海斗(g)、沖聡次郎(g, key)、ねぎ(dr)が加入。
2018年10月3日、ミニ・アルバム『SKYWALK』をリリース。
同年12月、勇太郎が脱退。
2019年1月27日、圭吾(b)が加入し、現体制となる。
同年7月5日、自主制作アルバム『AcoBright1』リリース。
同年9月4日、2nd ミニ・アルバム『「EN.」』リリース。
2020年5月、Emperor Diverレーベルより、アルバム『WONDERLAND』をリリース。
同日、配信シングル「Sunny drop」で、ユニバーサルシグマからメジャーデビュー。
2021年4月28日、2nd(メジャー1st)アルバム『開幕宣言』をリリース。
2022年6月23・24日、日本武道館でのワンマンライブを2日連続で開催。

⑦BØRNS「Dopamine」
BØRNSはバンド名ではなくソロアーティスト。米国ミシガン州生まれのSSWで、2015年に1st アルバム『Dopamine』を発売した時は23歳でした。先程の竹中雄大より3歳上です。やはり地声とファルセットの違いがよくわからないきれいな声です。
声とは関係ないのですが、10歳の時にはプロのマジシャンとしてお金を稼いでいたそうです。13歳で絵を評価されて、奨学金で美術学校へいったり、マルチな才能の持ち主です。
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1st アルバム『Dopamine』(2015年10月16日発売)収録
作詞・作曲:Garrett Borns, Tommy English, Nicholas Long/プロデュース:Tommy English
レーベル:Geffen / Interscope
アルバムは全米24位、Alternative 2位
ボーンズ(本名:Garrett Clark Borns):
1992年1月7日、米国ミシガン州生まれ
10歳の時には"Garrett the Great"という芸名でプロのマジシャンとして、パーティなどでお金をとってマジックを見せていた。
13歳の時には、国立スコラスティック・アート賞でゴールドキー賞を受賞し、ドローイングやビジュアルアートに対してケンダル芸術デザイン大学(フェリス州立大学の一部)から8,000ドルの奨学金を受けた。
青年期には映画製作にも携わりつつ、Grand Rapids Community Collegeでクラシック・ピアノ、Muskegon Community Collegeでジャズを学んだ。
2012年、“The Garrett Borns Trio”を結成して、ライブや音源制作を行う。
2014年11月10日、Interscope Recordsより、デビュー・シングル「10,000 Emerald Pools」とデビューEP『Candy』をリリース。
2015年5月6日、YouTubeのVevoチャンネルで「Electric Love」のMVを公開。(現在までに)1億ビュー以上観られる。
同年10月16日、1st アルバム『Dopamine』リリース。
2018年1月12日、2nd アルバム『Blue Madonna』リリース。

⑧Jason Derulo「Want to Want me」
ジェイソン・デルーロは米国フロリダ州生まれ。両親はハイチ人。「Showtime at the Apollo」というニューヨークのアポロ劇場でのタレントコンテスト的なテレビ番組があるんですが、17歳の時、それの2006年度年間グランプリを獲得したのをきっかけに、2009年、デビューしました。デビュー曲の「Whatcha Say」でいきなり全米1位を獲得して、以降もヒットを連発してきました。この「Want to Want me」も全米5位、全英4週連続1位と好成績です。
彼はマイケル・ジャクソンにあこがれて歌手になったと公言していますから、歌唱も大きな影響を受けていると思いますが、けっこう独自の味もあると思います。
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先行シングル(2015年3月9日発売)
4th ソロ・アルバム『Everything Is 4』(2015年5月29日発売)収録
作詞・作曲:Jason Desrouleaux, Ian Kirkpatrick, Samuel Denison Martin, Lindy Robbins, Mitch Allan/プロデュース:Ian Kirkpatrick
レーベル:Beluga Heights Records / Warner Bros. Records.
全米5位、全英4週連続1位 アルバムは全米4位、全英16位
ジェイソン・デルーロ(本名:Jason Joel Desrouleaux):
1989年9月21日、米国フロリダ州ミラマー生まれ。両親はハイチ人。
10代で、ニューオリンズのラッパー”Birdman”に曲「Bossy」を提供する。
その後もLil WayneやDiddyらにも提供する。
2006年、テレビ番組「Showtime at the Apollo」の年間グランプリを獲得。Warner Bros. Records傘下のBeluga Heights Recordsを率いるJ.R. Rotemに気に入られ、契約する。
2009年8月4日、1st シングル「Whatcha Say」をリリース。Imogen Heapの「Hide and Seek」をサンプリングした作品。11月には全米1位となる。
2010年3月2日、1st アルバム『Jason Derülo』リリース。
2011年9月27日、2nd アルバム『Future History』リリース。5月20日に先行シングル「Don't Wanna Go Home」がリリースされ、全英1位となる。
2013年9月24日、3rd アルバム『Tattoos』リリース。
2015年3月9日、次アルバムの先行としてシングル「Want to Want Me」をリリース。この曲は全米156のラジオ局でTOP 40にランクインされ、これは史上最も多い。全米5位と全英1位を記録。 同年5月29日、4th アルバム『Everything Is 4』リリース。
2016年7月29日、初のベストアルバム『Platinum Hits』リリース。

⑨Tahiti 80 (Xavier Boyer)「Coldest Summer」
2000年代の初め頃に、渋谷系に近い感じで、日本でもかなり人気があったフランスのバンド、“タヒチ80”ですが、その後あまりウワサを聞かなかったんで、なんとなくフェイドアウトしたのかなと思っていたら、コンスタントに活動していました。
ボーカルは、すべての作詞を担当する中心人物、グザヴィエ・ボワイエで、なんと言うか、「草食系ハイトーン」といった感じの優しい歌声です。
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6th アルバム『Ballroom』(2014年10月20日発売)収録
作詞:Xavier Boyer/作曲:Xavier Boyer, Médéric Gontier, Sylvain Marchand, Pedro Resende, Raphaël Léger/プロデュース:Richard Swift & Tahiti 80
レーベル:Human Sounds
タヒチ80:
グザヴィエ・ボワイエXavier Boyer - vo,g,key,p,b
メデリック・ゴンティエMédéric Gontier - g,vo,key
シルヴァン・マルシャンSylvain Marchand - dr,per,key,p
ペドロ・ルスンドPedro Resende - b,key,programming,per,vo
ラファエル・レジェRaphaël Léger - dr
1993年、フランス・ノルマンディー地方、ルーアンの学生だったグザヴィエを中心に結成。
1999年、ワールド・ツアーをまわっていた”Cornelius”こと小山田圭吾にデモ・テープを渡した事がきっかけで、小山田が選曲したコンピレーション・アルバム『Llama Ranch Compilation』に「HEARTBEAT」のデモ・ヴァージョンが収録される。
2000年4月21日、1st アルバム『PUZZLE』リリース。
同年夏、サマーソニックに出演。
2002年9月19日、2nd アルバム『Wallpaper for the Soul』をリリース。
2005年2月23日、3rd アルバム『FOSBURY』リリース。
2008年9月10日、4thアルバム『Activity Center』リリース。
2010年夏、3度目のサマーソニック出演。
同年9月8日、初のベスト・アルバム『Singles Club』をリリース。
2011年2月9日、5th アルバム『The Past, the Present & the Possible』をリリース。
2013年夏、フジロック・フェスティバルに初出演。
2014年10月20日、6th アルバム『Ballroom』リリース。
2018年10月8日、7th アルバム『The Sunsh!ne Beat Vol. 1』リリース。
2022年3月25日、8th アルバム『Here With You』リリース。

⑩Maroon 5 (Adam Levine)「Sugar」
2002年にデビューした時は5人組だったのでそういう名前にしたのに、一時期7人になって、今は6人の“Maroon 5”です。2020年にオリジナルメンバーでベーシストだったミッキー・マデンがDVの容疑で逮捕されたので外されました。結局不起訴でお咎めなしだったんですけど。
で、このアルバム、2014年8月に発売された5枚目の『V』は、サム・ファーラー(Sam Farrar)が入って7人になる前の6人組時代。
ボーカルはアダム・レヴィーン。ファルセットがきれいだし、歌がうまいですね。
このアルバムからの第3弾シングル「Sugar」は、もともとマイク・ポズナーというSSWが自分のニューアルバム用につくった曲で、デモを聴いたアダムがMaroon 5の次のアルバムに使わせてほしいとお願いしたところ、断られました。ところが、ポズナーが何らかのトラブルでレーベル契約が終了になって、アルバムがいつ出せるか見えない状況になったので、改めてMaroon 5に提供されました。ポズナーもコーラスで参加しているようです。
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第3弾シングル(2015年1月13日発売)
5th アルバム『V [ファイヴ]』(2014年8月29日発売)収録
作詞・作曲:Mike Posner, Adam Levine, Joshua Coleman, Lukasz Gottwald, Jacob Kasher Hindlin, Henry Walter/プロデュース:Ammo, Cirkut
レーベル:222 / Interscope
全米2位、全英7位 アルバムは全米1位、全英4位
・Ammo = Joshua Coleman / Cirkut = Henry Walter
・Adam Levine: lead and backing vocals
Jesse Carmichael: keyboards, backing vocals
Mickey Madden: bass
James Valentine: lead guitar, backing vocals
Matt Flynn: drums, percussion
PJ Morton: keyboards, backing vocals

⑪Ned Doheny「Thinking with My Heart」
デイヴィッド・ゲフィン(David Geffen)とエリオット・ロバーツ(Elliot Roberts)が1971年に設立した「Asylum Records」の第1号アーティストが、このネッド・ドヒニーでした。チャカ・カーン(Chaka Khan)が歌ってR&B 1位になった「What Cha' Gonna Do for Me」の作者は彼なんですが、自分のレコードはなぜかあまり売れず、米国より日本でのほうが人気があったようです。少年のような独特のハイトーン声で、歌い方にもなかなか味があるんですが。
1979年に出した3rdアルバム『Prone』は、「Yacht Rock」という、AORの中でも特に、「ヨットに乗って聴くような」、つまり金持ちの匂いがするというんですか、そういうジャンルの典型的な作品と言われているそうです。
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3rd アルバム『Prone』(1979年5月21日発売)
作詞・作曲:James Calire, Ned Doheny/プロデュース:Steve Cropper
レーベル:CBS
ネッド・ドヒニー(本名:Patrick Anson Doheny):
1948年3月26日、米国カリフォルニア州マリブ生まれ

⑫Neil Young「After the Gold Rush」
先程名前を出した、Asylum Recordsを立ち上げた2人のうちの一人、エリオット・ロバーツが1968年から2019年に亡くなるまでずっとマネージャーとして支えたのがニール・ヤングです。彼もほんとに変わった特徴的な声をしていますね。鼻が詰まって喉をしめたような。「蓄膿声」なんて呼んでいる人もいました。そんな声がよく分かる静かな曲を選びました。
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3rd アルバム『After the Gold Rush』(1970年9月19日発売)収録
作詞・作曲:Neil Young/プロデュース:Neil Young & David Briggs
レーベル:Reprise
アルバムは全米8位、全英7位
・共同プロデューサーのDavid Briggsはヒッチハイク中のヤングを拾ったことから意気投合し、この後も何枚も共同でプロデュースしている。

⑬中孝介「花」
奄美大島出身で今も島に住みながら活動しているという中孝介。元ちとせの大学の後輩だそうで、デビュー前は奄美の「シマ唄」を代表する唄者[うたしゃ]、朝崎郁恵さんのライブで三味線を弾いていたそうです。沖縄の「島唄」は漢字の「島」で、奄美はカタカナの「シマ」。「アイランド」というより「地域」のことを指します。「縄張り」という意味で「シマ」という言葉を使いますが、そちらに近いですね。
「吟 [グィン]」と呼ばれるコブシが「シマ唄」の特徴です。そして、奄美は古くから女性を大事にするところで、シマ唄は男性も女性のキーに合わせて歌うのが一般的らしく、なので男性は自然とファルセットを多用することになるそうです。なんだかいい風習ですね。
代表曲である「花」は森山直太朗さんが作曲、作詞は彼の相棒の御徒町凧[かいと]さん。シマ唄の特徴を活かした名曲だと思います。
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3rd シングル(2007年4月11日発売)
1st アルバム『ユライ花』(2007年7月11日発売)収録
作詞:御徒町凧[かいと]/作曲:森山直太朗/編曲:河野伸
レーベル:Epic Records Japan
オリコン19位
・薩摩酒造「さつま白波」CMソング
・「ユライ(寄らい)は、奄美大島の方言で「寄り合う」という意味。
あたり・こうすけ:
1980年7月13日、鹿児島県名瀬市(現・奄美市)生まれ
1997年、島唄を独学で始める。
1998年5月、「第19回奄美民謡大賞」に初出場し、努力賞を受賞。
2000年、同大賞で新人賞。日本民謡協会奄美連合大会で総合優勝。
同年10月、ジャバラレコードから「シマ唄」の初アルバム『アタリ』をリリース。
2006年、琉球大学卒業。
同年3月1日、エピックレコードジャパンより、シングル「それぞれに」でデビュー。
同年10月11日、ミニアルバム『なつかしゃのシマ』リリース。
2007年4月11日、3rd シングル「花」リリース。作詞:御徒町凧/作曲:森山直太朗で、ロングヒット(オリコン19位)。
同年7月11日、1st アルバム『ユライ花』リリース。オリコン7位、台湾5位。

⑭The Police (Sting)「Bring on the Night」
Stingの声もかなりユニークですね。ポリスが売れたのはこの声も大きな理由のひとつだったと思います。
1stアルバム『Outlandos d'Amour』(1978)の時のStingは次々と曲ができたのに、この2nd『Reggatta de Blanc(白いレガッタ)』ではなかなかできなかったそうです。「Bring on the Night」はStingがポリスの前にいたバンド“Last Exit”の時につくった「Carrion Prince (O Ye of Little Hope)」という曲を作り直したものらしいです。英国ではシングル化されなかったのですが、米独仏でシングル発売されて、フランスでは6位になりました。ほとんどの部分をStingが一人でオクターブで歌っています。
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第3弾シングル(米・仏・独のみ 1979年11月22日発売)
2nd アルバム『Reggatta de Blanc(白いレガッタ)』(1979年10月2日発売)収録
作詞・作曲:Sting/プロデュース:Nigel Gray, The Police
レーベル:A&M
フランス6位 アルバムは全英1位、全米25位

⑮Art Garfunkel「All I Know(友に捧げる讃歌)」
ハイトーンの大御所。1970年にS&Gが解散して、1973年9月にリリースされたこの最初のソロアルバムの邦題が「天使の歌声」ですから、それがまあキャッチフレーズみたいなものでしたね。でも原題の『Angel Clare』は、声とは関係なくて、トム・ハーディというイギリスの作家の「テス」という小説の登場人物の名前だそうです。
このアルバムはすべて教会で録音したとのことです。サンフランシスコのグレース大聖堂というところ。ってことはリバーブは建物の自然のものなんでしょうね。非常に美しいリバーブです。アルバムのリードシングルとなった「All I Know(友に捧げる讃歌)」は全米9位、Adult Conpemporaryチャートで1位のヒットとなりました。
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1st シングル(1973年発売)
1st アルバム『Angel Clare(天使の歌声)』(1973年9月11日発売)収録
作詞・作曲:Jimmy Webb/プロデュース:Art Garfunkel, Roy Halee
レーベル:Columbia
全米9位、AC 1位 アルバムは全米5位、全英14位、オリコン7位

⑯山下達郎「悲しみのJODY (She Was Crying)」
E5月3日に発売された最新リマスター・アナログ盤の『FOR YOU』が、オリコン4位になって、これは1982年1月に発売されて、オリコン1位になったアルバムなんで、40年11ヶ月ぶりのTOP10入で、邦楽アーティストの「同一作品による週間アルバムランキングTOP10入りインターバル最長記録」を獲得したという山下達郎。その『FOR YOU』の次の7thアルバムが『MELODIES』でした。オリコン1位。もうこのへんは出せば1位でしたね。
「悲しみのJODY (She Was Crying) 」は、ほとんどファルセットで歌い抜いている名演です。サックスソロは井上大輔さん、それ以外の楽器はすべて達郎さん本人が演奏しています。
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7th アルバム『MELODIES』(1983年6月8日発売)収録
作詞・作曲・プロデュース:山下達郎
レーベル:MOON (ALFA MOON)
アルバムはオリコン1位 83年度年間7位
・アルファ・ムーン移籍第1弾アルバム。
次回の爆音アワーは・・・
