「6冠」の藤井聡太王将、今秋に「完全制覇」可能性も 戦術に強み

「6冠」の藤井聡太王将、今秋に「完全制覇」可能性も 戦術に強み

  • 毎日新聞
  • 更新日:2023/03/19
No image

昼食休憩を終え、対局を再開した藤井聡太五冠=栃木県日光市の日光きぬ川スパホテル三日月で2023年3月19日午後0時56分(代表撮影)

将棋の藤井聡太王将(20)が、王将戦に続き棋王戦も制し、史上最年少6冠という新たな記録を打ち立てた。2016年10月のデビュー以来、6年5カ月での6冠到達は、羽生善治九段(52)の4冠達成よりも1年以上早く、驚異的なスピードでタイトルを積み重ねている。藤井王将は4月開幕の名人戦に初挑戦を決めており、早ければ今秋の王座戦で、八つあるタイトルの完全制覇を成し遂げる可能性もある。

【対局を振り返り笑顔を見せる藤井聡太新棋王】

初タイトル獲得までにかかった期間は、羽生九段が4年0カ月、藤井王将が3年9カ月で、それほど差はなかった。しかし、羽生九段はその後、竜王を2回失冠し、タイトル戦18回目で6冠にたどり着いた。一方、藤井王将は登場したタイトル戦を全て制し、13回目で到達した。17年から八つ目のタイトル戦として叡王戦が加わり、タイトル獲得のチャンスが増えたことも追い風となっている。

藤井王将がタイトル戦に強い背景には、両者の戦術の違いも影響している。羽生九段は「デビュー当初は序盤がメチャクチャで、実戦で磨いていった」と自身で認めるほど当初は粗削りで、「羽生マジック」と呼ばれる終盤の逆転術で制してきた。これに対して藤井王将は、AI(人工知能)を活用した研究でデビュー当初から序盤戦術の水準が高い。中盤以降は詰め将棋で培った読みの深さでミスが少なく、持ち時間の長いタイトル戦では付け入る隙(すき)がない。

7冠を懸けた名人戦七番勝負は4月5日に開幕する。1冠となった渡辺明名人が、タイトルを死守して「藤井8冠」への道に立ち塞がるか、藤井王将が渡辺名人を無冠に追い込むか。歴史の転換点となるタイトル戦となる。【丸山進】

毎日新聞

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加