【高校野球】「春に強いが夏に弱い」レッテル拭い去るために...元巨人の監督が打った大博打

【高校野球】「春に強いが夏に弱い」レッテル拭い去るために...元巨人の監督が打った大博打

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  • 更新日:2021/07/21
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東海大静岡翔洋・原俊介監督【写真:間淳】

いきなりの満塁弾 東海大静岡翔洋が“夏に強い”常葉大菊川を撃破

ついに壁を越えた。元巨人の原俊介監督率いる東海大静岡翔洋が20日、全国高校野球選手権静岡大会3回戦で、甲子園常連校の常葉大菊川に5-2で勝利した。2016年に監督就任してから勝てなかった因縁の相手。「夏に弱い」とレッテルを貼られた東海大静岡翔洋が、春から夏にかけて劇的に強くなる常葉大菊川を撃破した要因には、原監督の“賭け”があった。

吠えた。一塁ベンチの原俊介監督は誰よりも早く柵越えを確信した。ベンチから飛び出しそうなほど興奮したのは、この1打が持つ意味を誰よりも分かっていたからだ。

1回2死満塁。6番・長村理央内野手が捉えた打球は、常葉大菊川の左翼手が追うのをあきらめるほど会心だった。長村の公式戦初本塁打で、スコアボードに「4」が刻まれる。ベンチの原監督は、両手の親指を立てるサムアップで長村を迎えた。

「常葉大菊川は毎回、乗り越えられない壁だったので、自分自身も緊張していた。選手が相手の名前におじけづかずに戦ってくれた」

プロ野球選手の経験を持っていても、この試合は特別だった。元巨人の原監督は2016年、東海大静岡翔洋の監督に就任。その夏に、準々決勝で常葉大菊川と対戦した。結果は2-5で敗戦。常葉大菊川は、そのまま静岡県の頂点に立ち甲子園に出場した。リベンジのチャンスは、すぐにやってきた。翌年の夏、4回戦で顔を合わせた。しかし、シード校だった東海大静岡翔洋は、またも涙を呑んだ。

3度目の挑戦。原監督はセンバツ優勝校・東海大相模の次期監督就任が確実となっており、チームを指揮するのは今夏が最後になる可能性が高い。それだけに、何としても勝利したい相手だった。苦手意識を吹き飛ばす長村の一発を「きょうは、ある程度点数を取らないと勝てないと思っていた。勢いづけると止められない相手なので、先手を取れたのが大きかった」と勝因に挙げた。

「同じことを続けていても変わらない」高い“壁”乗り越えるための賭け

東海大静岡翔洋は、原監督が就任する前から「春の大会は強いが、夏に弱い」と言われることが少なくなかった。原監督にも、その意識はあった。就任6年目の今年、1つの賭けに出た。「春も夏も県の頂点を狙うのは客観的にチームを見たら難しい。春の大会を捨てるわけではないが、夏に勝つためにチームの調整方法を変えた。成功するかは分からないが、同じことを続けていても結果は変わらない」。冬場は走り込みや基礎練習を増やし、春に入ってからも継続。バッティング練習などの実戦練習を例年より遅らせた。全ては夏の大会に照準を合わせた戦略だった。

その成果は、夏の甲子園に6度出場し「春は存在感がなくても夏に仕上げてくる」と言われる常葉大菊川に勝利するという結果に表れた。実際、満塁弾を放った長村も、こう話している。「大会が近づくにつれて、打撃の調子が上がってきた」。大会直前の練習試合では毎試合のように複数安打を記録し、手応えを掴んでいた。

因縁の相手を倒して4回戦進出。長村は「原監督とは、この夏が最後になる。東海大相模の監督になる可能性があると聞いた時は愕然としたけど、監督を連れていくためにも甲子園を目指す気持ちが強くなった」とチームの思いを代弁する。

原監督の口からは「甲子園」の言葉は、まだ出ない。ただ、思いは選手たちと同じだろう。次戦はシード校の浜松工。「常葉大菊川は越えたが、まだ壁は続きますから」。勝利の余韻に浸るのは今ではない。高かった壁を越え、新たな壁に挑む。(間淳 / Jun Aida)

間淳 / Jun Aida

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