インクルージョンとは?わかりやすくダイバーシティとの違いや事例を解説

インクルージョンとは?わかりやすくダイバーシティとの違いや事例を解説

  • U-NOTE
  • 更新日:2022/11/25

ダイバーシティと共に語られることの多い「インクルージョン」。属性に関係なくすべての従業員が活躍する企業になるには、インクルージョンな状態にすることが求められます。

今回は、そんなインクルージョンの意味や、ダイバーシティとの違いもわかりやすく解説します。自社でのインクルージョン推進を検討している方は、実際にインクルージョンに取り組んでいる企業の事例を参考にしてみてください。

本記事の内容をざっくり説明

インクルージョンとダイバーシティは別の状態を指す

企業がインクルージョンを推進させるメリットとは

大企業ほど「ダイバーシティ&インクルージョン」に積極的に取り組んでいる

インクルージョンとは

「インクルージョン」とは、従業員同士がお互いの多様な個性、思想、価値観などを認め合い、個々の能力や特性を活かした企業活動が行われている状態のことを指す言葉です。

例えば、外国で生まれ育った背景を持つ従業員に対して、日本人を対象とする教育を行うことはインクルージョンではありません。日本の文化や常識を前提とした教育を行うことは、彼らが持つ個性や経験を存分に活かしきれず、本来の力を発揮できなくなる可能性があります。

彼らの個性を認め、意見や価値観を押しつぶすことなく尊重し、それでいてチームや企業としての一体感のある状態。それがインクルージョンなのです。

インクルージョンが重視されている理由

インクルージョンが重視されている理由は、労働人口の属性の多様化です。

今までビジネスの世界で活躍し、重宝されてきたのは主に男性です。ほとんどの企業では男性が戦力として扱われ、女性はサポートの立場を担ってきました。

しかし、皆さんが感じているように近年女性の社会進出は進んでいます。日本は今後ますます少子高齢化が進むため、男性だけでなく女性や高齢者の働き手も増やしていく必要があります。さらには、日本人だけでなく海外から働きにやってきた外国人も労働人口に加わっており、今や彼らの存在は日本のさまざまな産業にとって必要なものとなっています。

そうした労働人口の属性の多様化が進むなかでは、ただダイバーシティとして多様性を受け入れるのではなく、彼らの考え方や経験、意見を取り入れることがイノベーションを生み出し、ひいては企業の成長にも繋がっていきます。

インクルージョンとダイバーシティの違い

インクルージョンとセットで重要とされる言葉に「ダイバーシティ」があります。

インクルージョンが従業員の個性や価値観、考え方を認め、各々の能力や特性を活かした企業活動が行われている状態を指すのに対して、ダイバーシティは個人の多様性を受け入れる体制そのものを指すのが大きな違いです。

まずはダイバーシティにより多様な個人を企業に迎え入れ、次に性別・国籍・年齢・学歴・経歴など、それぞれの個性や特性を活かして業務シナジーに繋げていくのがインクルージョンです。

インクルージョンとダイバーシティは、意味や言葉が指す状態はそれぞれ別物ですが、どちらも重要な概念であるためセットで語られることが多くあります。どちらもこれからより注目を集める概念・言葉のため、ぜひこの機会に覚えておきましょう。

関連記事:ダイバーシティとは?種類や背景、企業が推進するメリット・施策・ポイントなどの基礎知識を解説

インクルージョンを推進させるメリット

ダイバーシティとセットで語られることの多いインクルージョン。社会的な重要性が高まってきているのは事実ですが、導入するとなると人事評価制度や多様な働き方を叶えるための制度を見直す必要があり、コストがかかります。導入を検討している企業に向けて、インクルージョンを推進させることで得られるメリットは以下です。

インクルージョンを推進させるメリット

メリット1.離職率を改善できる

メリット2.従業員エンゲージメントが向上する

メリット3.企業のブランディングに繋がる

メリット4.優秀な人材の獲得に繋がる

それぞれの詳細について解説していきます。

メリット1.離職率を改善できる

インクルージョンを推進させる1つ目のメリットは「離職率を改善できる」ことです。

インクルージョンが実現できている企業では、すべての従業員が自分は会社にとって必要な人物であり、企業の発展に役に立っていると感じることができます。

そのような有用感を得られる企業になれば、自然と長く働きたいと思うだけでなく、様々な雇用体系で業務に取り組めるため、離職率が低下するでしょう。自然と定着率がアップして人手不足も改善され、人事採用にかかるコストのカットも期待できます。

メリット2.従業員エンゲージメントが向上する

インクルージョンを推進させる2つ目のメリットは「従業員エンゲージメントが向上する
」ことです。

従業員一人ひとりが自分の力を発揮し、会社や社会に貢献できるようになるインクルージョンでは、従業員のモチベーションを維持しやすいのが特徴です。

従業員は自分の考え方や意見が尊重されることがわかっているので、伸び伸び働くことができ、結果としてエンゲージメントが向上します。企業へのエンゲージメントが高いことで、生産性の向上も期待できるでしょう。

メリット3.企業のブランディングに繋がる

インクルージョンを推進させる3つ目のメリットは「企業のブランディングに繋がる」ことです。

多様な個性や背景を持つさまざまな従業員が働いているということは、企業イメージの向上に直結します。

業務に積極的に取り組み、能力や経験を活かせる環境が整っていることは、ステークホルダーにとっても魅力的です。提供している商品やサービスだけでなく、企業としてのあり方も意識していることがうまくアピールできれば、インクルージョンの実現は企業ブランディングにも効果的です。

メリット4.優秀な人材の獲得に繋がる

インクルージョンを推進させる4つ目のメリットは「優秀な人材の獲得に繋がる」ことです。

近年は、多様な働き方ができる職場かどうかや個性やスキルを発揮できる環境が整っているかどうかで、就職先や転職先を選ぶ傾向が強まっています。

インクルージョンを実現している企業は、求職者のそうしたニーズを満たせるのがポイント。応募が集まってきやすく、優秀な人材の獲得にも繋げられます。

また、様々な人々が活躍できる土壌が作られていることで、採用する人材の幅も広がるでしょう。

インクルージョンを推進している企業事例

インクルージョンに関する取り組みは、障害者・高齢者・外国人の雇用だけでなく、各種制度の整備や柔軟な働き方のバリエーションを用意するなど、さまざまな施策が考えられます。インクルージョン推進を検討している企業にとって参考になる、インクルージョンを推進している企業の事例を5つご紹介します。

事例1.江崎グリコ

食品事業を展開する江崎グリコは、ダイバーシティ&インクルージョンを推進している企業のひとつです。

まずは女性の活躍推進。女性の管理職や役員を増やすほか、キャリア開発研修なども行っています。子供を持つ女性に対しては、子育て支援に関する制度を充実させているのも魅力です。

再雇用の取り組みも実施しており、同社では最長70歳までの雇用延長が可能。これは、年齢に関係なく従業員が活躍できる取り組みのひとつです。

加えて、障害者雇用も積極的に行っており、障害を持つ従業員が活躍できる職場を実現するために新たな職場を施設内に新設。ただ雇用を推進するだけでなく、やりがいをもって働ける環境づくりも同時に行っています。

参考:江崎グリコ「ダイバーシティ&インクルージョン推進

事例2.第一生命

保険を取り扱う第一生命は、働きやすい職場づくりの一環として「ダイバーシティ&インクルージョン」の推進に力を入れています。

第一生命の「ダイバーシティ&インクルージョン」の取り組みは、女性の活躍・障害者の活躍・グローバルダイバーシティ・ワークライフマネジメント・LGBTQフレンドリー・キャリア採用人財の活躍と、非常に幅広いのが特徴です。

例えば、ワーク・ライフ・マネジメントに関する取り組みでは、柔軟な働き方を推進。状況に応じてテレワークやフレックスタイムを活用できたりします。従業員がイキイキと働く環境を整備するために制度の充実なども図っています。

参考:第一生命「ダイバーシティ&インクルージョン

事例3.NTTグループ

NTTドコモやNTT東日本など、数々のグループ会社を持つNTTグループでは、「ダイバーシティ&インクルージョン」推進の一部として、LGBTQに関する取り組みを2016年から実施しています。

任意団体「work with PRIDE」策定したPRIDE指標において、LGBTQに関する取り組みが評価され、2020年度はグループ18社が最高位に認定されています。

配偶者およびその家族に関わる制度全般を同性のパートナーにも適用したほか、LGBTQの従業員が安心して能力を発揮できるよう、管理者向けLGBTQ研修を実施。オンラインで開催した2021年には約100名が研修を受けており、彼らが活躍できる環境づくりを積極的に行っています。

参考:NTTグループ「LGBTQの取り組み

事例4.第一三共

幅広い医薬品の開発・販売を行う第一三共では、「ダイバーシティ&インクルージョン」の取り組みとして、多様な従業員のキャリア形成と働き方を実現するために、一人ひとりの成長を促す評価制度を導入しています。

また、さまざまな事情を持つ従業員が自分の力を最大限に発揮できるよう、コアタイムなしのフレックスタイム制度を作成したり、テレワークを推進したりと、柔軟な勤務体系を用意して働きやすい環境を整備しています。

「ダイバーシティ&インクルージョン」を実現させるため、制度の見直しや新制度の導入を積極的に行っているのが特徴です。

参考:第一三共「インクルージョン&ダイバーシティへの取り組み

事例5.凸版印刷

総合印刷会社である凸版印刷では、「ダイバーシティ&インクルージョン」推進のため2019年にダイバーシティ推進室を発足させています。

「ダイバーシティ&インクルージョン」の実現に必要な施策の企画・立案を担当し、各事業所の特色に合わせて具体的な施策を展開させていく体制を整えているのが特徴です。

女性の活躍推進や積極的な障害者雇用だけでなく、仕事と育児、仕事と介護を両立するための支援制度を充実させているのもポイント。従業員が安心して仕事に専念し、能力を活かすために柔軟な働き方の整備や制度適用要件の緩和などを行っています。

参考:凸版印刷「ダイバーシティ&インクルージョン

インクルージョンを推進させる4つのポイント

実際にインクルージョンの実現を目指す場合、どのようなことを行っていけば良いのでしょうか。インクルージョンを推進させる際の4つのポイントを解説します。

インクルージョンを推進させる4つのポイント

ポイント1.時間がかかることを認識して開始する

ポイント2.インクルージョンの重要性を社内に啓蒙する

ポイント3.体制や制度を整える

ポイント4.数値だけで判断しない

それぞれの詳細を解説していきます。

ポイント1.時間がかかることを認識して開始する

インクルージョンを推進させる1つ目のポイントは、「時間がかかることを認識して開始する」ことです。

インクルージョンは短期的に実現できるものではありません。文化が根付くのに時間がかかるように、従業員が自然にインクルージョンの感覚を身に付け、自発的に取り組んでいくのにはある程度の時間を要します。

インクルージョンの実現には時間がかかることを認識し、短期間で結果を感じられないからといって中断しないように。長期的な計画を立てて行いましょう。

ポイント2.インクルージョンの重要性を社内に啓蒙する

インクルージョンを推進させる2つ目のポイントは、「インクルージョンの重要性を社内に啓蒙する」ことです。

インクルージョンの実現には、全従業員の協力と意識の改革が必要不可欠です。インクルージョン成功の鍵を握っているといっても過言ではありません。

インクルージョンに関する取り組みでは、さまざまな属性を持つすべての従業員が活躍できる環境の実現を目指します。

国籍や性別だけでなく、年齢や短時間勤務者など、従業員の個性や背景はさまざま。従業員同士がお互いを優遇されている、贔屓されているなどと考えるようになってしまっては、なかなかインクルージョンは推進できません。

まずは全従業員に対して、インクルージョンの基礎知識を身に付けてもらうこと。そのうえでなぜ自社で取り組むのか、実施した先でどのような効果を期待しているのか、従業員にとってどのようなメリットがあるのかを知ってもらいます。

あとは、日々インクルージョンについて意識するよう、社内での啓蒙活動を積極的に行いましょう。勉強会を実施したり、社内報などで取り組みを広く伝えるのも効果的です。

関連記事:意味のある社内報とは?効果的な社内報を作成する7つのステップ・コツ

ポイント3.体制や制度を整える

インクルージョンを推進させる3つ目のポイントは、「体制や制度を整える」ことです。

インクルージョンを実現させるには、多様な人材を活かすための体制や制度の整備が必要不可欠。例えば、外国からやってきてはじめて日本で働く従業員に対して、日本での慣習を強要した結果、本来の力を発揮できなくなってしまったら採用をした意味がありません。

人事部は、彼らが一番能力を活かせる体制や制度について考え、導入を検討する必要があります。

一方的に検討するだけではなく、どのような体制や制度があれば活躍しやすいのか、従業員と一緒に検討していくのもおすすめです。制度の検討を協業して行うことで、「自分の意見を聞き入れてもらえている」と実感しやすくなります。

ポイント4.数値だけで判断しない

インクルージョンを推進させる4つ目のポイントは、「数値だけで判断しない」ことです。

インクルージョンを推進させようとして、女性や外国人などの雇用を増やしたり、女性管理職の数を増加させるなどの施策を実行する企業があります。

そのこと自体は推進の一歩として問題ありませんが、重要なのは数値としての変化ではなく、多様な価値観や経験、個人が持つ背景を活かしたうえで議論や業務が進められているかということです。

ダイバーシティが認められるだけでは、インクルージョンが実現したとはいえません。個人の能力が発揮された事例や、それぞれの個性があったからこそ成功したプロジェクトの事例など、実績が伴ってはじめてその企業はインクルージョンであるといえます。

数値をKPIにして、数値にのみとらわれると、制度が形骸化する可能性も高いです。定量的な評価だけではなく、定性面の評価もできるような評価制度も検討しておきましょう。

本当の意味でのインクルージョンを進めよう

本記事のまとめ

インクルージョンとは、従業員同士がお互いの多様な個性、思想、価値観などを認め合い、個々の能力や特性を活かした企業活動が行われている状態

インクルージョンとダイバーシティはセットで考える

インクルージョン推進には、制度の整備が重要

インクルージョンの推進は企業イメージ向上や優秀な人材の採用に繋がる

インクルージョンに取り組む企業のなかには、実際にはダイバーシティ、つまり多様性の受け入れだけで施策が終わっているところもあります。インクルージョンは通常、ダイバーシティとセットで行われるものです。

多様性を受け入れ、そしてその多様性を活かせる職場を整えることが本当の意味での「ダイバーシティ&インクルージョン」なのです。

ダイバーシティで終わってしまっていないか、自社での取り組みを見直し、改めてインクルージョンを推進していきましょう。

U-NOTE編集部

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