
四回、南出玲丘人の当たりで生還した東邦・岡本昇磨。捕手は鳥取城北・河西華槻(撮影・林俊志)
第95回選抜高校野球大会第2日第1試合(東邦6-3鳥取城北、19日、甲子園)九回2死から遊ゴロに倒れて最後の打者となった鳥取城北・河西華槻(はづき)主将(3年)は「勝てていた試合を落としたのが心残り。夏にリベンジしたい」と振り返った。
父、そして兄への思いを背負っての甲子園だった。父・雄一郎さん(45)が昨年11月下旬に脳梗塞で倒れた。「最初に病院に駆け付けたときは面会謝絶で…。しゃべるのも難しい状態でした」。必死のリハビリで現在は急回復し、職場復帰も間近だという。
また、鳥取城北OBで3学年上の兄・威飛(いぶき)さん(20)=大商大=は2020年選抜大会に出場を決めていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会が中止に。電話をかけたとき、受話器の向こうから聞こえてきた「仕方ないことやけど、やっぱキツいわ」と落胆と苦悩の入り交じった声は今も耳にこびりついて離れない。それでも、兄は同年の甲子園交流試合の明徳義塾(高知)戦で八回に一時は逆転となる2点二塁打。「塁上でのガッツポーズが本当に格好良くて。その姿を見て、自分も(鳥取)城北に行こうと決めました」と明かした。
「5番・捕手」で先発出場したこの日は東邦(愛知)バッテリーに警戒されて3四球。「打ちたかったというのはあるけど、チームのために3出塁できたので、そこはお兄ちゃんも褒めてくれると思う。夏は勝って、校歌を歌って、アルプス席の家族に喜んでもらいたい」と前を向いた。(東山貴実)